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『糸』をクラリネットで情感豊かに吹くには

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レッスンで座って演奏する生徒

新しい年になりました。
今年もどうぞよろしくお願い致します。

年明け早々いろんなことがあって、2024年がまだ10日しか経ってないなんて、にわかには信じ難いくらいですね。

北陸ご出身の生徒さんや知人も多く、未だ気持ちは落ち着きませんが、なるべく早く、穏やかな日々になってもらいたいものです。

クラリネットを吹いている皆さんにとっては、それぞれ目標や、クラリネット吹きとしてなりたい自分があると思いますので、少しでもそこに近づけるように、今年も楽しみつつ上達していけるといいですね。

東京クラリネット教室は、来月第12回発表会を控えていますが、発表会で人気な曲の一つが『糸』。

どなたかが発表会で演奏されて、聴いていた方が「私もやりたい!」と思う曲ナンバーワン(講師調べ)ですので、今回は「より伝わる演奏」の目指し方を考えていきましょう。

理想の演奏を持とう

ご存知の方も多いと思いますが、『糸』は中島みゆきさんの名曲です。

なんと、延べ20組以上のアーティストにカバーされているそうで、もしかしたら「オリジナルって、中島みゆきさんなのか…!」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

かく言う私も、櫻井和寿さんがBank Bandでカバーされた演奏を聴いて、きちんと知った次第なので、「『糸』と言えば櫻井さん」というイメージです。

ですので、私が吹くとしたら、「櫻井さんの歌みたいに演奏できたらいいな~」と思いながらになるかと思います。

もちろん、どなたかが歌っているのではなくて、「この前、発表会で演奏された方、とっても素敵だったな」でもいいですし、「すごく美しいサックスの演奏聴いたんだよね」でもいいので、理想とする演奏を持つようにしましょう。

ただ、その人の演奏をコピーするのでは意味がないので、あくまで心惹かれた雰囲気を目指すようにすると、自分らしさもあり、かつ人の心に届く演奏ができるはずです。

『糸』をクラリネットで情感豊かに吹くには

座って笑顔で楽器の掃除をする生徒

世間でも人気の曲だけあり、クラリネット用にもいろいろな編曲がありますが、今回は「めちゃモテクラリネット」の楽譜に沿って、聴く人の心に響く演奏方法をご説明していきます。

1番(A~C終わりまで)

レジスターキーを使わない音域で始まりますので、クラリネットらしい、太くて豊かな音を鳴らしたいところです。

強弱記号としては弱めの指示になっていますが、音が低いこともあり、たっぷり息を吹き込んだ方が美しく聞こえます。(強くはならないように注意)

ここではあまり感情を込めすぎない方が良いですが(まだ1番なので)、低い「ソ」に向かって軽くクレッシェンドをかけ、6度上の「ミ」は少し引くような気持ちで吹くと、自然な流れが生まれます。

B以降も同じく6度の進行(「ミ」→「ド」、「ド」→「ラ」)が出てきますが、これも下の音をしっかり鳴らして、その響きの中で上の音に進むようにすると、スラーもきれいにかけることができますので、特にレジスターキーを押す音域に飛ぶ時に「上の音を鳴らすぞ!」と気合いを入れてジャンプしないように気をつけましょう。

Cからはサビです。

このあたりは、どこでブレスを取っていいのか迷ってしまいますが、Cの前で丁寧かつ素早く吸うと、歌詞(フレーズ)を損なわずにブレスができます。

Cはまた低い音域になりますので、気持ち良く吹き切りましょう。

下の「ド」からチューニングの「ド」に飛ぶ箇所も、上の音は裏声を出すような、軽い吹き方を心がけて下さい。(軽さはあくまでイメージなので、息のスピードは維持します)

その後の「ドレミ」はしっかり息を入れるといいですね。

1番の終わりで伸ばしている「ド」の音は、穏やかに消えていくようにデクレッシェンドをかけられると、ピアノがイントロと同じことを弾いているのと、自然に入れ替わることができます。

2番(D~F終わりまで)

1番よりも1オクターブ上で演奏されます。

強弱記号は1番よりも強くなっていますが、音域が上がっていることを考えると「音量を上げるぞ!」と思ってしまうと、うるさくなってしまうことがありますので、気をつけて下さい。

1番と同じくらいの音量で吹く気持ちでいていいかもしれません。

ただ、1番よりも歌い込むようにしましょう。

下行形の時にクレッシェンドをかけること、上の音に跳躍する時に下の音を出すことは同じで、さらに気持ちが込められると(大げさに抑揚をつけられると)、Gに向かって盛り上げることができます。

2番は、サビの終わりに音を抜いていくことはしません。

エンディング(G~)

この部分は、今までこの曲に取り組まれてきた生徒さんがほぼ全員、曲に慣れるまでよれよれになってしまった場所です。

主な原因は、装飾音が出てくることと、三連符の登場です。

ベースとしてはサビと同じなのですが、独特のアレンジをされていて難しいので、まずは装飾音を取って練習し、骨組みをきちんと作り上げましょう。

三連符はなめらかに吹きますが、はめ方はきっちりかっちり、「自然な、流れるような三連符」にしないことがポイントです。

Gからは伴奏も派手になりますので、それに乗ってのびのびと、朗々と吹き上げましょう。

フェルマータは、あまり長すぎるとかっこ悪いので、ゆったりカウントの2拍分くらいに収め、その後1拍お休み(空間を作る)、拍の頭を感じてアウフタクトを吹き出すと、すっきりしつつも、終わりに向けてまとめることができます。

しかし、「いかにも数を数えてます!」という感じでフェルマータを伸ばしたり、間を取ったりすると、これまたかっこ悪くなりますし、音楽的ではなくなってしまいます。

カウントが表に出てしまわないように気をつけましょう。

その後の「ド」の音も、1番の終わりと同じく、自然に消えていくようなイメージで伸ばせると、美しく聞こえます。

このアレンジの最後は、サビの吹き出しと同じですが、曲の終わりに向けてテンポをゆるめる(曲をまとめる)必要があります。

2拍目にかけてかかっているタイが伸びたり、十六分音符をゆっくりしてしまうと、遅くするタイミングが少し早いので(間延びします)、3拍目の裏くらいからブレーキをかけるようにすると、不自然にならずに曲を終わることができます。

4拍目は、クラリネットは四分音符で、裏拍では動いていませんので、ピアノ伴奏の八分音符が入るタイミングが重要になります。

ピアニストに、どんなふうに弾いてもらいたいか、自分の理想を遠慮せずに伝えておきましょう。

最後の「ミ」の音は、短かくなってしまうと変ですが、多少長めでも大丈夫ですので、気持ち良く終われることを優先して構いません。

そしてその音は、自分の前にそっと置く感じなのか、それとも、どこまでも遠く飛んでいくイメージなのか、というところまで気を回せると、最後まで思いのこもった演奏として、聴いている人の心に届き、響く音楽となります。

歌の曲を楽器で吹く難しさ

レッスン後に楽器の片づけをする生徒

「好きな歌をクラリネットでも吹いてみたい」と思った時に難しいのは、歌には歌詞があり、クラリネットではその歌詞を表現できない、という点です。

言葉の持つ力はやはり偉大で、多少淡々と歌っていても伝わるものがありますが、クラリネットはそうはいきません。

「やりすぎなんじゃないだろうか」というくらい吹き込んでちょうどいい、ということも多々あります。

「ららら」や「あー」で、大げさに感情を込めて歌ってみると、イメージが掴みやすいと思いますので、ぜひやってみて下さい。

もちろん、あまりに過剰な表現になってしまうと、演歌のようになってしまうこともあるので、加減は大事ですが、伝えたいことがしっかり伝わり、誰かの心を揺さぶる演奏ができるように、表現力を磨いていきましょう。

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