音を伸ばしている時のテンポチェンジのコツ
2023年12月2日、今年第12回目の中級者アンサンブル・チームぞうさんが開催されました。
あっという間に年内最後のアンサンブルとなりました。
「次のアンサンブルクラスは年明けなので…」と皆さんにお伝えすると、「えー!!」との声。
お気持ちはよくわかります。
早すぎますよね。
そして、当然発表会も近づいてきましたので、残り3回のアンサンブルクラスを大切にしていきましょう。
今日も発表会参加者全員が揃われましたので、B♭クラリネット3名と、バスクラリネット1名の計4名で合わせていきます。
演奏曲は、グランドマン作曲『Caprice for Clarinets』と、賛美歌『アメイジング・グレイス』です。
見直そう!聞こえ方と吹いている感覚の差
以前からお話してきて、最近も繰り返しお伝えしていますが、人に聴いてもらうための演奏をしている時、自分が吹いている感覚よりも、どう聞こえているのかということを、常に意識するようにしましょう。
曲の表情や作り方などもそうですが、特に強弱に関しては、より気をつけねばなりません。
中でも、
- 音の高さが変わる時(下行形・上行形)
- メロディー・伴奏に関わらず、他のパートから受け継ぐ時
- そもそもの音量の基準
が、自分の感覚と聞こえている音に差が出やすいポイントです。
自分では楽譜からの情報を得ている上、「やっている」と思っているので、実際どんな演奏をしているかを、客観的に聴く耳を持たねばなりません。
とはいえ、吹きながら聴くというのはなかなか難しいので、やはり録音するのがいいですね。
お客さんにどう聞こえているのかを考えながら、音楽的にも音量も、自分達が伝えたいことをしっかり届けられる演奏を目指しましょう。
音を伸ばしている時のテンポチェンジのコツ
今回演奏している『Caprice for Clarinets』は、「急ー緩ー急」の作りになっています。
同じように「急ー緩ー急」だとしても、曲によっては、遅くなる前に一度止まり、速いテンポに戻る前にもフェルマータなどでストップすることがありますが、『Caprice for Clarinets』は中間部の前にrit.(リタルダンド)をかけて減速して、再現部に入る時にはaccel.(アッチェレランド)をかけてそのまま元の速さに戻ります。
一時停止する曲の方が、次のテンポも掴みやすいですし、何より吹きながら速度が変わるわけではないので(多少rit.がかかったりする場合もありますが)、かなり吹きやすいのですが、そのまま止まることなく行く曲は、難易度が増します。
さらに『Caprice for Clarinets』の難しさは、rit.の始まりでほとんどのパートが伸ばしている、もしくは休符の人がいるという点にあります。
ここでポイントになるのが、伸ばし後に入るタイミングです。
この部分は4分の2拍子で、2小節でrit.をかけます。
rit.の1小節目が伸ばし(合図を出す役目の1stは休み)、次の小節で1stが入ってくるのですが、それまでと同じ速さでカウントしてしまって、テンポを変えない状態のままrit.の2小節目に入ると、結果的に1小節だけでゆっくりしなくてはならなくなりますので、急ブレーキをかけることになるか、思ったように遅くできずに次の部分に突入するかになってしまいます。
1stは休みではありますが、ベルの先を指揮をするように動かして、rit.2小節目の入りがどのタイミングになるのか、しっかり合図を出しましょう。
どこのパートも動いていないのにrit.をかけるというのは、本当に難しいと思いますので、伸ばしている音をみんなで四分音符や八分音符で刻んでみたり(1stもどこかのパートと同じ音で)、歌いながら大きく指揮をしたりして、ブレーキをかける感覚を掴んでいけると、自然なrit.がかけられるようになってきます。
「習うより慣れよ」の気持ちで、繰り返し練習して、身につけていきましょう。
あとは精度を上げていこう
今日は、何度もテンポチェンジの練習をしましたので、だいぶ掴めてきたかと思います。
ただ、今は手拍子ありで吹いているので、それがなくなると急に不安感が出てくるはず。
誰かが迷ってしまうと、その迷いが伝播しますので、それぞれが自信を持って吹けるように、しっかりイメトレと個人練習をしておきましょう。
次回は、ぴしっと締まりのあるテンポチェンジを聞かせて下さいね。