仕上がりのまんべんなさに目を向けよう
2023年12月9日、今年12回目の中級者アンサンブル・チームくらげが開催されました。
着々と、各アンサンブルクラスが年内最後の回を迎えていますね。
年が明けたら、結構あっという間に発表会がやってきます。
年末年始にお時間が取れるようであれば、しっかり練習に励まれて下さいね。
本日は、お一方どうしてもご都合がつきませんでしたので、B♭クラリネット3名・バスクラリネット1名の計4名で合わせていきます。
演奏曲は、鈴木歌穂作曲『ある冬の日、子ぎつねの物語』です。
インテンポを体感しておこう
この曲は、どちらかと言うとゆっくりから始まり、テンポの変化を経て、最後に向けてだんだんとテンポアップして、疾走感溢れる終わり方をします。(終わりは、子ぎつねが走っているシーンだそう)
十六分音符も多く、楽譜の指示通りのテンポまで上げるのが難しかったとしても、できる限り曲の世界観は表現したいですね。
しかし、まだまだインテンポ(やりたい速度)には遠い速さで練習している方が多いのが現状です。
中には「目標のテンポでは、まだ一度も吹いたことがない」という方も、いらっしゃるかもしれませんね。
ただそれでは、今できることと、目指しているところの開きが、具体的にわかりませんので、前回お話した「骨組み作り」同様、「吹けても吹けなくも、インテンポというのはこんなもの」という体感を、一度はしておきましょう。
tokyo-clarinet-school.com
やってみたら、「意外にできそうな気がする!」かもしれませんし、「これはまずいぞ…」かもしれません。
それを知っておくことで、今後の練習の進め方や、どう取り組んでいくのが良いかを見つけられますので、次回アンサンブルまでに、必ずやってみるようにして下さいね。
仕上がりのまんべんなさに目を向けよう
『ある冬の日、子ぎつねの物語』は、細かい音が多く、その分楽譜も黒いわけですが、そうなるとどうしてもそういう部分ばかり練習したくなってしまうもの。
しかし、以前からお話しているように、簡単そうに見える箇所を後回しにしてほとんど吹かずにおくと、いざアンサンブルで合わせる時に、思ったように演奏できなかったり、他の部分の仕上がりと差が出てしまったりします。
特に今回の曲では、ゆったりしていて難易度の低そうに見えるところは、クラリネット吹きが苦手とする♭系な上、その♭が4つもついていますので、先送りはとても危険。
通しのあと、そこからやるとお話した時に、「え、ここあんまりやってないんだけど」と思われた方も多かったのではないでしょうか。
案の定、「練習をしていることで生まれる、気持ちの余裕」が感じられず、音数は少ないのに、あまり縦の線が揃っているように聞こえない、という事態になってしまいました。
細かい音の並びを克服したい気持ちは、よくわかります。
だからと言って、その練習にばかり集中し、「よくよく考えると、通しの時くらいしか吹いてないかもな」という部分を作ってしまうことは、避けなければなりません。
「練習したけどまだ吹けない」というところと、「あんまりやってないんだよね」という部分は、聴いていてわかります。
「吹ける・吹けない」はともかく、「やってる・やってない」が伝わるのは良いことではありませんので、そういう意味での「まんべんなさ」を追求して、仕上げを均等化することを、忘れないようにしましょう。
「吹けないからたくさん練習する」の反対は、「できそうだから練習しない」ではありませんよ。
音楽的な表現も考えていこう
今日はお一人いなくて寂しかったですが、徐々に形にはなってきたと思います。
前にもお話したように、今回の演奏曲は物語がベースになっていますので、より具体的に「このフレーズは何を表しているのか」などを考え、表現できるようにしていきましょう。
そして、音楽表現をするためには、楽譜通りの音を鳴らすことが必要ですので、技術の向上も併せて取り組まれて下さいね。
残りあと2回。
かわいらしい子ぎつねと、優しく愛に溢れたお母さんぎつねが目に浮かぶような、温かい演奏を目指していきましょう。