クラリネットで賛美歌を吹く時のイメージ作り

2023年10月23日、今年10回目の初級者アンサンブルが行われました。
2月の発表会のあと、人数が半分以下になってしまって、ちょっと寂しかった初級者アンサンブルですが、お一人戻ってきて下さいました!
以前は人数もいたので、四重奏の楽譜を使っていても、パートを重ねて取り組んでいましたが、今回は初めての「4人で四重奏」に挑戦していきます。
1人1パートは責任も重大ですが、本来のアンサンブル形態ですので、さらなる成長のために頑張っていきましょう。
今日は4名揃ったのですが、お一方長引くのどの痛みでクラリネット練習はお休み中ということで、アンサンブルはB♭クラリネット3名(通し演奏の時のみ講師も参加)で進めていきます。
演奏曲は、モーツァルト作曲『アヴェ・ヴェルム・コルプス』とF.チャーチル作曲『いつか王子様が』です。
アヴェ・ヴェルム・コルプスとは
今回演奏するモーツァルト作曲の『アヴェ・ヴェルム・コルプス』。
アヴェ・ヴェルム・コルプスというのは、賛美歌の種類で、決まった文章があり、それにいろいろな作曲家がメロディーをつけた音楽です。
上記曲名に「モーツァルト作曲の」とつけたのも、「他の作曲家が作ったアヴェ・ヴェルム・コルプスもあるから」なのです。
テキスト(歌詞)は、少しずつ逸脱したり変化したりしているようですが、なんと1300年頃から伝承されているそう。
そんな歴史も感じつつ、厳かに演奏していきたいですね。
クラリネットで賛美歌を吹く時のイメージ作り

私の友人・知人にもクリスチャンはいますが、私自身、寺の娘の孫ですし(すなわち祖母の実家がお寺)、仏教が比較的多い日本では、賛美歌になじみがない方もたくさんいらっしゃると思います。
「賛美歌に触れるのなんて、チャペルで行われる結婚式の時だけだなー」なんて方も多いのではないでしょうか。
※とても余談ですが、音大の声楽科が参列者として複数人いる結婚式だと、式次第に書かれた賛美歌の楽譜がメロディーのみでも、勝手にハモってくれるので、かなり豪華な演奏になります。
そのため、「賛美歌を吹く」と言われても、どんなふうに吹くべきなのかわかりにくいと思いますので、本来の賛美歌を理解し、しっかりイメージを持つようにしましょう。
まず、演奏される場所についてです。
教会というのは、多くの場合天井が高く、特に石造りであったりすると、とても良く響きます。(お風呂などの響く感じともまた異なった聞こえ方です。もちろん広さの問題もありますが)
ささやくように歌うパートなどでは、天から音が降ってくるような感覚すらあるくらい、普段私達が耳にする音楽とは異なった聞こえ方をします。
次に、演奏される目的です。
「賛美歌」は読んで字のごとく、自分達の信じる神を賛美する曲ですので、畏敬の念を持って奏されるものです。
また、歌う相手が神様なので、細部にわたって、気持ちを込めて演奏することが当たり前の楽曲になります。(本来は、少し上の方を見ながら歌うものだそうです)
以上を踏まえて、「では、クラリネットで吹くのであれば、どのように演奏すべきか」ということをイメージしていきましょう。
できることなら、一度皆さんにも石でできた教会に足を運んでいただきたいものですが、それもなかなか難しいかと思いますので、具体的な想像でも、動画などで見るのでも構いません。
そして、そのような空間で奏されるピアノやフォルテは、どうあるべきなのかも考えてみましょう。
決して、ただ単に弱々しかったり、荒々しかったりしないはずです。
「賛美歌」という、普段ほとんど演奏しないジャンルですので、強弱に関しても通常の吹き方とは異なる表現を探していく必要がありますね。
どうしたらいいのか迷ってしまったら、自分のパートかメロディーパートを、聖歌隊になったつもりで熱唱してみると、クラリネットでの演奏のヒントになるかもしれませんので、試してみて下さい。
簡単だからと後回しにしない

今回、まだ合わせるのは2回目ということで、「賛美歌らしさ」を考える前の段階という感じでしたね。
神を讃える歌で、細かい音も出てこないので、「まぁ、吹けなくないでしょ」と判断してしまいそうですが、この曲こそきっちりと読み込んで、ぴったり揃った混声四部合唱のように聴かせることを目標にしていましょう。
それぞれがイメージしてきて下さる『アヴェ・ヴェルム・コルプス』を、楽しみにしています。