高くて弱くて短い音をクラリネットで美しく出すには
ゴールデンウィークも間近に迫ってきました。
東京クラリネット教室は、特にお休みは設けていないので、いつも通りご希望があればレッスンを行いますが、いろいろと予定があってワクワクの方も多いのではないでしょうか。
すっかり世間も元に戻ってきた今となっては、休日(特に晴れた日)の吉祥寺の混雑は恐ろしいところではありますが、皆さんが楽しいお休みを過ごされるよう、念じています。
教室の生徒さんの中には、「普段はゆっくり練習する時間がないけど、連休中はたくさん吹くぞ!」と気合いの入ってる方もちらほら。
そこで今回は、多くの人が苦手であろう「高くて弱くて短い音」の克服に焦点を当ててみましょう。
高くて弱くて短い音が難しい理由
まずきちんと鳴らすのが難しいし、頑張って出そうとするとキンキンしてしまったり、強く鋭くなってしまったりで、クラリネットでの高くて弱い音の演奏は、長くても短くても、あまり好きでない方が多いと思います。
そうは言っても、楽譜にあれば「嫌です」とは言っていられないので、きれいに吹けるようにしていきたいですね。
そのためには、なぜ弱い高音が難しいのかを、きちんと知っておきましょう。
一番の理由は、高い音をきれいに出すには息のスピードが必要だからです。
しかし、音を弱くすると、つい息のスピードを落としてしまいたくなるため、「出だしからすっと音が立ち上がらない」という事態になります。
さらに音自体が短ければ、音が立ち上がる状態の前に、どんどん先に進んでいくことになりますので、「ちゃんと音になっていない音が連続している」ことになり、納得いく演奏とは程遠くなっていきます。
その「音にならないまま進む」ことを解消しようと、瞬間的に息のスピードを上げたり、圧をかけたりすると、きつくなってしまって、「弱い高音嫌だ…」ということになってしまうのです。
高くて弱くて短い音をクラリネットで美しく出すには
そのような練習を、ぐるぐると繰り返していても、なかなか求める音を手に入れることは難しいので、発想の転換をしましょう。
先程も書いた通り、高い音をきれいに出すには息のスピードがなければいけないので、まずは自分が吹きやすい大きめの音量で練習をしていきます。(大きい音を鳴らそうとすると、自然に息の速さは上がります)
メトロノームを用意して、好きなテンポでかけます。
もし、具体的に曲の一部がうまくできないようであれば、その曲の速さにするといいでしょう。
そして、メトロノームにバシッとタイミングを合わせて、気になる音を伸ばしてみます。
出だしに「う」という音が入らず、きれいに出られたでしょうか。
頭からすっと鳴らせれば、息のスピードが充分にある、ということですが、少しでも「う」が聞こえたら、まだ恐る恐る吹いている、または、力んで息のスピードが落ちている、ということになります。
これを何度も繰り返して、音の引っかかりがなくなったら、今度は少し音を短くします。
さっき伸ばした時の半分くらいにしてみて、また音の立ち上がりをチェック→何度やっても同じようにできる、まで持っていきましょう。
それができたら、いよいよ求められている音の長さに挑戦してみます。
この段階では「短く吹かねば」という感情が乗っかってくるので、吹き方や息、アンブシュアが変わってしまいがちですが、絶対に変えてはいけません。
もし変わってしまって、何が正解かわからなくなってしまったら、前の長さに戻して感覚を確認して、また進んでいきましょう。
吹きやすい音量で、短くても美しく吹けるようになったら、音量を落としていきます。
音量を落とす際は、せっかく安定して入れられていた息のスピードが落ちてしまわないよう、細心の注意を払って下さい。
「息のスピードを変えないで音量を落とせない」という場合は、遠回りに思えますが、そちらの練習を先にやった方がいいですね。
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この練習のポイントをまとめると
- 吹きやすい大きめの音量で、長い音を出だしから確実に鳴らす
- だんだんと短くしていく
- 息・口・吹き方を、何も変えずに音量を下げていく
で、特に大切なのが「吹きやすい音量で、長く吹くことから始める」という点になります。
メトロノームに合わせて、時差のない音の立ち上がりを意識していきましょう。
これは、弱い音ではない時でも大切なことですので、普段の演奏の質も上がっていきますね。
目の前の楽譜に囚われない練習法を考えよう
目の前に、高くて弱くて短い音の楽譜があれば、それを何度も練習したくなる気持ちは、とても良くわかります。
しかし、高い上に「弱い音」「短い音」というだけで、いつもの吹き方がどうしてもできなくなってしまいますので、まずは吹きやすい大きさで、安定して音を鳴らすことに重きを置いて、クリアな出だしを心がけ、「音を短くする時は、そのクリアな出だしのみを切り取る」という意識で吹けるようにしていきましょう。
コツが掴めれば、高くて弱くて短い音も、きれいに演奏することができるようになって、怖くなくなりますよ。