実はいろいろあるクラリネット族
2018年6月25日、今年6回目の合奏未経験者向けアンサンブルが行われました。
固定メンバーとなった3名に加え、本日は初めて特殊管吹きの方が体験に来て下さいました。
これは、先月に引き続き、またワクワクするシチュエーション!
演奏曲は、新曲の『ラルゴ(オンブラマイフ)』です。
特殊管って?
吹奏楽やオーケストラなど、大所帯の合奏経験がない方には「特殊管」というのは、耳慣れない言葉だと思います。
先日の発表会でも、合奏経験者向けアンサンブルで特殊管を使用したので、そちらでもご説明しましたが、もう一度お話しておきましょう。
tokyo-clarinet-school.com
普段、吹奏楽やオーケストラで私達が使っているクラリネットは「B♭(べー)クラリネット」または「B♭管」と呼ばれるものです。
この楽器だけでも、4オクターブ弱の音域を鳴らすことができますが、もちろんカバーできない音域というのも存在しますので、長い楽器や短い楽器を作り、低い音から高い音まで、クラリネットの音色で奏でられるようにしています。
これらは「クラリネット族」と呼ばれていますが、前述の「B♭クラリネット」以外の楽器を「特殊管」と言います。
現在、主に使われているのは「E♭(エス)クラリネット」「アルトクラリネット」「バスクラリネット」「コントラアルトクラリネット」「コントラバスクラリネット」の6種です。
どんなクラリネットも全て同じ指使い
「B♭」「E♭」などが何を意味するかと言うと、「その楽器の『ド』を吹いた時に、ピアノでなんの音が鳴るか」を示しています。
「B♭」であればピアノの「シ♭」、「E♭」であればピアノの「ミ♭」が鳴ります。
クラリネット族は、指が全て同じですので、一旦運指を覚えてしまえばどんなクラリネットも吹けるのですが、「B♭管」と「E♭クラリネット」の「ド」を「せーの!」で吹くと、実際に鳴る音が異なる、ということになります。
「E♭クラリネット」「アルトクラリネット」「コントラアルトクラリネット」はE♭管で、それぞれ1オクターブずつ音域がずれています。
「B♭クラリネット」「バスクラリネット」「コントラバスクラリネット」はB♭管で、こちらもそれぞれ1オクターブずつ違います。
楽器の長さとしては、短い順に
- E♭クラリネット
- B♭クラリネット
- アルトクラリネット
- バスクラリネット
- コントラアルトクラリネット
- コントラバスクラリネット
となっています。
E♭クラリネットとバスクラリネットあたりは、目にすることも頻繁にあるかと思いますが、それ以外の楽器はかなり大きな編成の吹奏楽か、クラリネットだけのオーケストラなどでしか使われていないことが多いので、もしそのような編成の団体を聴きに行く機会があれば、ぜひ注目してみて下さいね。
なかなかお目にかかれないコントラアルト!
さて、今回ご参加いただいたのは、その中の「コントラアルトクラリネット」です。
長いですねー!
楽器があまりに長く、普通の椅子では構えることすらできないので、ピアノ用の椅子を使います。
どうやら椅子の高さ調節機能が壊れていて、あまり高さを上げられずハラハラしましたが、辛うじて大丈夫だったようです。
せっかくなので、体験させていただきました。
口はゆるゆるにしないと、音が出ないそうです。
リードが大きいので、圧をかけてしまうと振動が妨げられてしまうのでしょう。
同じクラリネットなのに、全く力加減が違って難しい!
でも、無事に音を出すことができましたよ。
合わせるコツがわかると楽しい!
アンサンブルはというと、初合わせでしたが、思いの外すんなり行きました。
「合奏未経験」とはいえ、この場で徐々に経験を積んでらっしゃるわけで、確実に皆さんが「合わせるコツ」を掴んできているのが、よくわかります。
かなり上手に吹けていましたが、さらに上の演奏を目指して、来月に持ち越すことにしました。
おまけのアンサンブル
『ラルゴ』がとても順調に行ったので、お遊び、というわけではないのですが、過去に演奏した曲を急遽やることにしました。
以前だったら、「いやー、急に言われても…」という反応をなさっていたのではないかと思いますが、経験値がアップしている皆さんなので、「あぁ、そうですか」くらいの様子。
初見の方、過去の練習を思い出す方、前のめりで楽譜と向き合ってらっしゃいます。
譜面が人数分なかったので、1枚の楽譜を一緒に見る、という、ソロではなかなか体験できないことも、体験していただけました。
これ、慣れてないと、意外と難しいんですよ。
もはや未経験ではない!
結局、『トロイメライ』と『くるみ割り人形より 行進曲』の2曲を演奏。
今までたくさん練習してきただけあって、とても良い演奏でした。
初見のお二人も、前から演奏していたかのように、すらすらと吹いてらっしゃって、締めに相応しいアンサンブルとなったと思います。
また来月も、一緒に楽しみましょう。