各パートの役割を知った上でのパート分け
本日は、合奏経験者向けアンサンブルの日でした。
今日は朝から、ここ最近の中でも特にひどい、蒸発してしまいそうな暑さでしたが、久しぶりにB♭クラリネット6人と講師のバスクラ、合わせて7人の大所帯。
少人数もいいですが、やっぱり大きめ編成でワクワクするのは、吹奏楽育ちだからでしょうか。
今日の演奏曲は『星に願いを』です。
きれいなメロディーとジャズアレンジ
様々なアレンジが出ている、この『星に願いを』ですが、今回は若手作編曲家・福田洋介さん編曲の楽譜を使うことにしました。
最初はゆったり美しく、途中からはノリのいいスイングの、クラリネット五重奏用アレンジです。
音源を聞いた様子だと、華やかな、楽しげな感じ。
少し複雑な部分もありそうですが、頑張っていきましょう。
パート分けの仕方
このアレンジでは、B♭クラリネットは4パート。
講師が、スコアを見て頭を悩ませた結果、1・2番は1人ずつ、3・4番を2人ずつにすることにしました。
吹奏楽では、クラリネットは3パートに分かれていることが多いかと思いますが、メンバーが3の倍数でない場合、どのようにパート分けをしていますか?
顧問の先生や、パートリーダーがやってくれるから、考えたこともない、という方も多いかもしれません。
あくまで1つの例ですが、人数に偏りが出る時は下のパートを多くすると、バランス良く聞こえます。
例えば5人なら、1番1人・2番2人・3番2人。
7人なら、1番2人・2番2人・3番3人、と言った分け方です。(2番3人・3番2人でも、場合によってはいいかもしれません)
1番パートがしっかり聞こえた方が良くて、人数が多い方がいい気もしますが、実はそんなことはないのです。
各パートの役割分担
下パートを多くした方がいい理由を、各パートの役割を考えながら、見ていきましょう。
メロディーパートは聞こえやすい
1番が担う主な役割は、メロディーであったり、キラキラとした飾りだったりします。
このパートは音も高いことが多く、また、フルートやピッコロ、オーボエなどと同じことをやっていることが、しばしばあります。
ですので、人数を多くしなくても、自然と耳に入ってきやすいパートなのです。
クラリネットの高音は、キンキンしやすいですし、音程も合わせにくいので、人数が少ない方がいい、という側面もあります。
2番は調性を操っている
2番は、内声と言って、音の高さとしては目立たないけれど、とても大切な音を吹いていることが、多々あります。
1・3番と共にハーモニーを吹いていて、他のパートは伸ばしているのに、自分達だけ途中で半音下がる、なんて経験はないでしょうか。
これは、和音を変える大切な役割。
はっきり聞こえないといけない、大切な音なのです。
また、1番パートの吹くメロディーのハモりを吹いて、音楽に厚みを出す、といった役目も担っています。
良い演奏は土台がしっかりしてこそ
他のパートに比べて、低音を吹くことが多い3番パートは、上の2パートの土台です。
土台はしっかり、大きい方が当然安定性が増します。
ピラミッドを想像すると、わかりやすいかもしれません。
上が大きく、下が細かったら、成立しませんね。
しかも、低い音は高い音に比べて、人の耳に届きにくいという特性があるので、大きめに吹いたり、絶対的な人数を増やすと良いのです。
状況に合わせたパート分けを
ただ、上記の内容はあくまで一例ですので、曲によって、吹く人によって、また、他の楽器のバランスによっても変わってきます。
アンサンブルでは、パートを重ねること自体少ないかもしれませんが、もしその必要がある場合には、当然他の楽器の人達はいませんので、より頭を悩ませる必要があります。
今回も「どこのパートが、よりはっきり聞こえたら、曲としての完成度が上がるだろうか」というのを、しっかり考えて分けていますので、「下は絶対に多くしなきゃいけないんだ!」なんて、思い込まないように注意して下さいね。
メンバーの音量や、向き不向きも考えられると、より演奏が良くなりますよ。
安定のじゃんけん
とはいえ、このアンサンブルでは、どのパートを吹くかは、じゃんけんと、その勝者の希望によって決まります。
これは、決して適当なわけではなくて、誰にどのパートを任せても、きちんと吹いてもらえる、という信頼と、案外いろいろなパートを体験してもらえる、という利点があるからです。
今日も、なかなかおもしろい感じに、パート分けができました。
自信のない箇所こそしっかりと
スコアで受けた印象通り、やはり4番パートは大変そうでしたが、2人で助け合って、かっこよく吹いてくれました。
アンサンブルでは特に、メロディーやそのハモり以外で動いているパートがはっきり聞こえてくると、音楽に厚みが増し、聴いていて楽しい演奏になります。
「リズムに自信がない…」なんて時も、まずは大きく吹いてみましょう。
合っていればそれに越したことはないですし、間違っていても、しっかり吹いていれば、その間違いを指摘してもらえます。
小さい音で間違っていると「なんか違和感あるんだよなー」と思われていても、スルーされてしまいかねません。
それは、吹奏楽やオーケストラなど、大きな編成になればなるほど、気をつけた方がいいことです。
無事に仕上がりました!
もちろんアンサンブルですので、他のパートも重要。
拍を刻んでいるパートがなくなったり、裏拍で入るリズム盛り沢山だったり、一瞬躊躇してしまうような、ちょっと凝った作りになっているアレンジでした。
全員揃うはずのところで、バラバラッとなってしまったのは、みんなが探り合っているのがわかって、ちょっとおもしろかったですね。
最終的には、1時間ちょっとで無事仕上がり、本日の成果を録音して終了。
暑くてぐったりな一日でしたが、良いアンサンブルになったと思います。
来月もまた楽しいアンサンブルをしましょう!