ピアノ伴奏によって左右されるソロ演奏の出来
2月もあと数日しかないと思うとびっくりしますが、外を歩いていると梅の香りが漂ってきて、冬から春への移り変わりにウキウキしますね。
おかげさまで、東京クラリネット教室第10回発表会も無事に終わり、少しほっとしているところですが、すでに次へ目を向けている生徒さんも多く、ありがたい限りです。
今回の発表会も、13名の方がソロ演奏に挑戦して下さり、現役音大生の生徒以外は、講師がピアノ伴奏を行いました。
当然、講師はクラリネット専攻なので、ピアニストではないのですが、過去のとある経験から、「弾ける曲である限りは自分が伴奏をしよう」と決めて、毎回の発表会に臨んでいます。
「伴奏」と聞いて、人それぞれイメージはあるかと思いますが、とても大切で、私達クラリネット吹きを含む管楽器奏者には、欠かせない存在です。(1人で演奏する曲もありますが。)
そして、伴奏者がどう弾いてくれるかで、ソロ演奏の吹きやすさや仕上がりは、大きく変わっていきます。
発表会も終わったばかりで、ちょうど良いタイミングですし、今回は「ピアノ伴奏」について、改めて考えてみましょう。
「伴奏」を「しょせん伴奏」と侮っては駄目
私は以前、大手の特約店の教室で教えていたのですが、その時は、「管弦楽器の先生は、同じ曜日の同じ教室で働いているピアノの先生に、発表会に出る生徒の伴奏を頼む」というのが、当たり前のことでした。
もちろん私も、同じ曜日にレッスンをされていた先生にお願いをしたのですが、初めての伴奏合わせでびっくり。
「この曲は簡単だからいいや」と思われたのかどうかはわかりませんが、多分練習されていなかったのだろうなぁという、たどたどしい演奏。
当然、生徒のタイミングやブレスに気を配って下さる余裕もなく、ピアノとの合わせに慣れていない生徒はおろおろですし、気を遣いまくっているのが痛いほど伝わってきて、申し訳なさでいっぱいになりました。
「これなら、私が必死で伴奏の練習をした方が、よっぽど彼女の演奏を引き立てられたのでは」と、後悔と反省をしたのが、今できる範囲でピアノ伴奏に取り組んでいる理由です。
その先生の真意はわかりませんが、「しょせん伴奏でしょ」と思われていた可能性も、ゼロではなかったのではないかと思っています。
しかし、私達クラ吹きにとっては、伴奏者というのはいてもらわないと困りますし、ソロと伴奏は対等であるべきです。
ですので、自分で伴奏者を探す際には、「伴奏を、ソロの付属のように思っていない人」というのが、重要になってきます。
ピアノ伴奏によって左右されるソロ演奏の出来
先程書いた話は、ピアノ伴奏が良くない方向に出てしまった顕著な例ですが、もちろん良いピアニストと出会えれば、気持ち良く演奏することができます。
私も、高校時代から何名もの方に伴奏をお願いしてきましたが、相性の良い伴奏者だと、なんのストレスもなく自分自身の演奏ができる上、一緒に音楽を作り上げている感覚もありますし、ブレスなども察してくれて、相談をすることがなくても合わせてもらえます。
余計な気を回さなくて済めば、より集中できますし、良い音楽を奏でられますね。
また、「1人だとなんだか吹きにくく感じていたけど、ピアノが入ったら吹きやすい!」ということも、発表会に向けて練習されている生徒さんに、よく言っていただける言葉で、ありがたい話なのですが、その「単に別のパートが増えたから、吹きやすくなった」ということから、「音楽を作り上げてくれる相棒ができた」に、ピアノパートのポジションが上がると、ソロ演奏がパワーアップできます。
「いやいや、私は伴奏者なんで」という、引いたピアニストではなく、一緒に曲を作ってくれる方と、演奏していきたいですね。
淡々と楽譜通り弾けば良い、と考えている伴奏者だと、吹いていてしんどくなってしまいます。
邪魔をせず盛り立ててくれるのが良い伴奏
発表会本番では、「生徒さん達の演奏を邪魔しないように」と常々思っているのですが、ちょいちょい違う鍵盤を押してしまい、びっくりさせてしまっているのではないかと思います。
しかし、曲の出だしの呼吸、途中でのブレス、生徒さんが表現したい音楽の手助けなど、「一緒に音楽をする」感覚を味わっていただきたく、寄り添って演奏をするように心がけていますので、いつか「あ、この人のピアノ、吹きやすいかも」と思っていただけたら嬉しいです。
ピアノ伴奏が超絶難しい曲を生徒さんが吹かれるまでは、共に音楽を作り上げていきたいと思いますので、要望があれば、遠慮なくおっしゃって下さいね。
素敵な音楽を、これからも一緒に演奏していきましょう。