トリルキィを使ってクラリネットの難しい運指を簡単にしよう
2週前のレッスンで、風邪をひいて喉が痛いと言っていた生徒。
いろいろな症状が出て、なかなか良くならないそうで、今は鼻が詰まっているとのこと。
確かに、かなりの鼻声です。
寒くなってきたこの時期、体調を崩す方は多いと思います。
同じ話になりますが、くれぐれも「風邪をひいたら無理せずクラリネットの練習を休みましょう」です。
tokyo-clarinet-school.com
彼女は、もう長く私のレッスンを受けているので、自分でそのあたりはよくわかっていて、「あんまり吹ける気がしません。喉に力も入っちゃうし…」と、自己申告がありました。
しかし、せっかくレッスンに来てくれたわけですし、何もせずに帰ってもらうわけにはいきません。
喉や耳に負担がないよう、今日は小さめの音で吹くように伝え、アンサンブルの曲で苦手な部分が何ヶ所かあるようなので、そこを克服することにしました。
トリルキィを使おう
写真の一段目にある三十二分音符。
この曲は♯系なので、どのような速さにせよ「嫌な指」です。
このような音型が出てきた時、どうやって解決していますか。
もちろん、コツコツ練習するのが、今後のためにもなるいい方法ですね。
ただ、それでもやはり限界があるかと思います。
これは「クラリネットのこのキィって、一体いつ使うんだろう…」と誰もがきっと思ったことのある、上管横にあるキィを使います。
この4つのキィです。
「トリルキィ」と言います。
下の2つは、使う頻度も高いかもしれませんね。
トリルキィってなぁに?
名前の通り、トリルをやりやすく、より細かく吹きやすいようについているキィですが、今回のような「嫌な指」を解決するのにも使えます。
開放のすぐ上の「ラ」と「シ」のトリルなんて、通常の運指では、無茶とも言える指づかいですが、意外と出てきたりしますよね。
そんな場合は、このトリルキィの登場です。
「ラ」の音を吹きながら、一番上のキィを押すと「シ」の替え指になります。
音程があまり良くないため、伸ばす際には適しませんが、この三十二分音符や、トリルのように速い動きであれば、問題なく聞こえるはずです。
やや大変ですが、
このように、右手人差し指を伸ばして押さえます。
速い曲で威力を発揮するトリルキィ
他にも「ラ」に、上から2番目のキィを足せば「シ♭」になりますし、高い「ド(High B♭)」に同じく上から2番目のキィで高い「レ」が鳴ります。
ちなみに、開放の「ソ」と「ラ」のトリルも、通常の左手人差し指よりも、このトリルキィを使った方が速くできるはずです。(「ラ」は、これも上から2番目のキィです)
少ない指から、たくさん押さえる指になるトリルや細かい音符は、大抵このキィで解決できます。
真ん中の「ラ♯」と「シ」、「シ♭」と「ド」、高い「シ」と「ド♯」、「ド」と「ド♯」などなど…
残念ながら、トリルキィを駆使しても、どうにも代わりの音が見つからない場合もありますが、「え、これ、どうやってやるの?」という音に出くわした時は、いろいろ試して、簡単にできる指がないか、ぜひ探してみましょう。
運指表に載っていない指でも、その音が鳴ったりすることもあるので、どんどん試してみて下さいね。