演奏曲のきもになる部分をしっかり見極めよう
本日は上級者アンサンブルが開催されました。
先週は、まさか3月の半ばを過ぎて、真冬の寒さに見舞われるとは思っていませんでしたが、皆さんお変わりないご様子でなによりです。
今日も、お仕事の都合でお休みになってしまった方がいらっしゃったのですが、中級者アンサンブルにご参加いただいている生徒さんが、こちらのアンサンブルも体験してみたいとのことで、B♭クラリネット4名・バスクラリネット1名の計5名で演奏できることになりました。
演奏曲は、ゼキーニャ・ジ・アブレウ作曲『Tico-Tico』と、チック・コリア作曲『スペイン』です。
曲のイメージを膨らませよう
音楽を演奏する上で、技術というのはもちろん大切なことですが、より深みのある演奏のためには、イメージというものが必要になってきます。
自分がどう吹きたいかのイメージもそうですし、その曲が何を題材に書かれたものなのか、吹いていて(聴いていて)どんな風景が浮かぶのか、色・明るさ・広さなどなど、それらが頭の中にあるかないかで、演奏はがらっと変わってきます。
「考えるだけで、演奏が変わるの?」と聞かれることも多いですが、何も考えずただひたすら楽譜を追っている演奏と、「こんな感じの曲なんじゃないかなー」と想像しながら吹いているのでは、全くと言っていいほど、聞こえ方は違います。
そんなわけで、今回演奏する曲の1つ『Tico-Tico』ですが、この曲名はどんな意味なんだろう?と調べてみました。
「ティコ・ティコ」というのはスズメに似た鳥のポルトガル語の愛称で、その鳥がエサをついばんでいる様子を表した曲だそう。
そう聞くだけでも、この曲のかわいらしい(ちょっと嫌な指の)音の進みが「鳥がちょこちょこ動いている様子なのか~」と思え、「じゃあ、曲全体のアクセントはそんなにきつくないか」とか「小さい鳥を表すにはスタッカートをどう吹こうかな」など、どんどんとイメージは膨らんでいきますね。
そうすれば、曲としての表現は増し、聴いていても吹いていても楽しい演奏になるのです。
アンサンブルの場合は、強制的に全員のイメージを揃えることはしたくありませんが、それぞれのイメージを共有し、すり寄せていけるといいですね。
演奏曲のきもになる部分をしっかり見極めよう
曲を吹く際に、先程のイメージのお話含め大切な要素はいろいろありますが、その中の一つに「演奏している曲の『その曲らしさを作るもの』を見極める」ということがあります。
それは、例えばハーモニーだったり、雰囲気だったり、リズムだったりと、曲によって様々です。
今回のように、ジャズやラテンというのは、「ここを決めれば、かっこよさアップ!」という伴奏のリズムがあり、逆を言うと、そのリズムがぴしっとはまらないと、なんだかしっくり来ない演奏となってしまいます。
『Tico-Tico』では、メロディーとそれ以外の数パートで伴奏、というように分かれていることが多いですが、この数パートがばらけてしまったり、揃っていても本来はまるべき位置とちょっとずれていたりすると、メロディーと噛み合いませんし、いくらメロディーがおしゃれに吹いてくれても、そのおしゃれさを引き立てることができません。
特に、八分休符のあとに入る音のタイミングというのは、速い2分の2拍子だと実に難しいですが、このリズムが曲全体を支配すると言っても過言ではない、というくらい大切です。
今はまだ、「それぞれのタイミングがたまに合うと、かっこよく聞こえるよね」という状態に近いので、まずは各自がメトロノームを使って、正しいタイミングで吹けるように練習して、アンサンブルをする時にはそれを確実に再現できるようにしていきましょう。
バランスよく仕上がるように練習を進めていこう
今回、上級者アンサンブルで演奏するのは2曲ですが、複数曲演奏するのはここ最近ではなかったことですね。
何曲かあると、ついつい気になる方ばかり練習してしまいがちですが、思わぬ落とし穴があったりしますので、仕上がりが同じくらいになるよう気にしながら、まんべんなく吹くようにしましょう。
また、慣れないジャンルでもありますので、簡単に見えるところも飛ばしたりせず、しっかり練習しておいた方が、いざみんなで合わせる時に焦ったりすることなく済みます。
2曲間でも、各曲の中でも、仕上がりのバランスを気にかけて練習を進めていって下さいね。