合奏の効果を上げるために気をつけること
2021年5月22日、今年3回目の中級者アンサンブルが開催されました。
先月のアンサンブルがとっても遠い日のような、1ヶ月あっという間のような、なんだかよくわからない感覚に陥っていますが、今日も楽しく、かつかっこいい演奏を目指していきましょう。
本日も、7月の発表会ご参加予定のE♭クラリネット1名・B♭クラリネット5名と、講師のバスクラリネットの計7名でのアンサンブルです。
前回に引き続き、グリフェス作曲『幻想小曲集より スケルツォ』を、少しずつ仕上げていきましょう。
仕上げのテンポでも個人練習しよう
各自音出しが済んだら、まずは通しから。
個人練習は重ねていただいていますが、やはり1ヶ月経つと「アンサンブル勘」というか、合わせる点において、抜けてしまっていることも多いですね。
ただでさえ、探ってしまうと音楽は後ろ向きになってしまうのですが、それに加え、メトロノーム練習をした時のテンポを、遅めに設定されている方が多いため、いざ合わせてみても、ちょっと「よっこらしょ」という感じの演奏になってしまいました。
メトロノームで練習することは大切ですし、ゆっくりから丁寧に練習していくことも大切です。
しかし、遅いテンポでの練習のみを繰り返していると、「そういう速さの曲」として、だんだん自分に馴染んできてしまいます。
ですので、いざ「インテンポで吹いてみよう!」と思ってみんなで通してみても、先に進むにつれて、ついついちょっと遅めのテンポに落ち着いてしまう、ということが起きます。
これを回避するには、「この曲の本来の速さはどれくらいか」という経験を、個人練習の段階で積んでおく必要があります。
「速いテンポで吹くなんてまだまだ先」などとは思わず、「実際のテンポ」というものを、体感しておくくせをつけておきましょう。
合奏の効果を上げるために気をつけること
この『スケルツォ』をみんなで演奏できるのも、実はあと2回です。
音の並び自体はそこまで難しくない曲ですので、曲をより効果的に聞かせるために気を回さねば、単調な演奏になりかねません。
そこで大切になってくるのが
- 楽譜に書いてあることを、楽譜を見てない人にも伝える演奏
- これから起こることの種明かしをしない演奏
の2点です。
楽譜に書いてあることを、楽譜を見てない人にも伝える演奏
これは、アンサンブル以外の場でもよく聞くことではないでしょうか。
奏者は楽譜を見ていますので、例えば強弱一つ取っても「ここはクレッシェンド」「この部分はピアノで吹く」など、視覚で情報を得ることができます。
この表現が、楽譜を見ていない人にも伝わるレベルになっているか、という点が、お客さんを惹きつけ、「素敵な演奏だった」と思ってもらえるかを分けます。
ということは、「やりすぎかも」と思うくらいやって、ちょうどいい可能性がある、ということになります。
やりすぎが心配であれば(めったにないことですが)、スマートフォンなどでさっと録音して、その場で確認する、という作業を入れていくと、「自分達がどんな表現をしたくて、どのように演奏すればそれが伝えられるか」ということが具体的にわかり、求めているものに近づけやすくなるでしょう。
これから起こることの種明かしをしない演奏
今回気になったのは、特にこの点です。
奏者は、先を見据えながら演奏しているわけで、「このあと遅くなる」「このあと弱くなる」ということを、当然知っていますね。
それが徐々にではなく、求められているのが急な変化だとしても、その先に待っていることがわかっていると、ついつい身構えてしまい、「来るぞ、来るぞ」を演奏に反映させてしまうことが多々あります。
さっとした切り換えだからこそ活きるテンポチェンジや、強弱の移り変わりの前に、「あれ、なんか様子が変わったな」とお客さんに伝わってしまっては、その先の変化を「あぁ、やっぱりね」と思われてしまい、演奏効果という点では、おもしろみが半減(下手したらもっと)してしまうことにつながります。
「この先、Poco meno mossoか」と思いながらなんとなく遅くなってしまったり、「このフォルテの先に、急なピアノね」と思っているのに、フォルテがキープできずだんだん小さくなったり、などということが絶対にないようにしましょう。
録音でわかったことを次回に生かそう
最後の通しの前に、「録音がしたい」というご希望があり、この曲で初めて演奏を録ってみました。
約4分10秒の曲のはずなのに、録音時間は5分20秒ほど。
いかに遅めの演奏になっているのか、数字ではっきりわかりましたね。
また、やはり遅くなってはいけないところで遅くなってしまったり、強弱の差があまりなかったりなど、客観的に聞いてみてわかることが、いろいろとあったと思います。
各自今日の演奏をしっかり聞き込んでいただき(できればスコアを見ながら)、次回はどのような点に気をつければより良い演奏になるか、ということを、考えておいて下さい。
そして、本番まで残り4時間のアンサンブルの時間を、有意義に過ごしましょう。