最新動画 良かったら観てね

アンブシュアから考える効率の良いブレス

5,437PV
マウスピースと楽譜

クラリネットを吹くには、当然ブレスが必要になりますが、気づいていないけれど、意外とブレスが苦手だったり、うまくできていない方が多いように感じます。

ブレスが上手にできないと、演奏に必要な息を取り込めないだけでなく、リードミスにも繋がり、安定した演奏から遠ざかることになってしまいます。

今回は、アンブシュア(マウスピースのくわえ方)の面から、効率の良いブレスについて考えていきましょう。

クラリネットのアンブシュアの基本

クラリネットのマウスピースのくわえ方ですが、特に部活では、しばしば間違った情報が広がっていることを感じます。

私も、小学生の時に吹奏楽クラブに入ってクラリネットを始めましたが、アンブシュアについて同じパートの人からいろいろ教わったことが、残念ながらほぼ全部間違っていました。

若さとは恐ろしいもので、それでも難なく吹いてはいたのですが、中学生で個人レッスンに通い始めたところ、先生に駄目出しをされまくり、全て修正するのがとても大変だった記憶がありますので、なるべく早いうちに自分の状態を知って、正しいくわえ方を身につけていきましょう。

マウスピースのくわえ方の基本は、「無駄がない」ことです。
余分な力が入ったり、余計な動きをすることは、「スムーズなブレス」の妨げになりますし、良い音とは程遠くなってしまいます。

マウスピースの固定の仕方

まず、マウスピースは固定が必要ですが、決して噛んではいけません
上の歯と、唇越しの下の歯で、挟み込むようにします。

歯を上下に閉めるというよりは、歯のくっつかない「い」の口をして、そこにマウスピースをつっかえ棒のように挟むイメージですね。

マウスピースのくわえ方

うまく挟めたら口を閉じるわけですが、口角をぎゅっと引いて、口を締めていませんか?
マウスピースをくわえる際には、「口を閉める」であって「口を締める」ではないんです。

マウスピースには厚みがありますので、口角を引いてしまうと、

横に引きすぎた良くないアンブシュア

こんな風に、上下の唇は限りなく近くなるものの、隙間が空きます。
隙間があると、当然息が漏れてしまうので、それを避けるために、上唇と下唇にぎゅっと力を入れて、口を締めてしまいます。

力を入れて、息漏れしないようにした写真がこちらです。

横に引きすぎた良くないアンブシュア

先程の写真よりも、上下の力がかかっているのがわかりますか?

わかりやすいように、並べてみましょう。

横に引きすぎた良くないアンブシュア

左がくわえただけの状態、右が吹く時の状態です。
口角の力の変化はそうでもないですが、右の写真では特に上唇に力が入っていますね。

上下に力がかかれば、マウスピースとリードの隙間が狭くなり、息が入りにくくなりますし、リードの振動も妨げてしまいます。
そうすれば当然、音色にも影響が出ます。

「口を横に引いて!」というのは、よく聞くワードではありますが、実は間違いです。

先程書いた「閉める」と「締める」の違いはここですね。
ぎゅっと引っ張って締めるのではなく、ただ閉じるだけ、が求められます。

また、横に引いてしまうと、先程の写真のように、吹いていない時も、上下の唇が「閉まってないけど、たくさん息を吸うほどの空間はない」という感じになってしまうので、ブレスの時にいちいち口をゆるめて形を変えないといけなくなり、スムーズな息の出し入れができませんし、安定した音が出せなくなります。

さらに、余分な力が入っていれば、疲れるまでの時間も早くなってしまい、口の脇から息が漏れ始めてしまいますので、口角に力を入れるのはやめましょう。

もう一つの良くないアンブシュア

また、たまに見られるのが「う」の口になってしまうくわえ方。

口がとがって良くないアンブシュア

このように「うー」と言っているかのような形は、上唇に力が入っているにも関わらず、口全体はゆるんでしまうので、音程含め、音が汚くなってしまいます。

大切なのは、普段何もない状態で口を閉じているのに、限りなく近い形です。

バランスの良いアンブシュアを身につけよう

では、音もしっかり出て、ブレスのしやすいアンブシュアを考えていきましょう。

口角を引かず、歯を固定した状態が、こちらの写真です。

正面と横から見た良いアンブシュア

上の歯は浅め(5~7㎜くらい)に、下は少し深めで、口の中に入るリードが7~10㎜くらいの位置でくわえると、このように自然に口が開きます。

この時に、吹いている時と同じ圧力で歯を当てておく(挟んでおく)ことが大切です

この状態のまま、開いている部分から、体の中の余分な息を吐き出し、そして目一杯空気を吸い込みます。
これくらいの幅で口が開いていると、かなり楽に、たくさん吸い込めるはずです。

よく見られるのが、圧力を維持したままでも、充分な量の息を吸えるのですが、なんとなく口を大きく開けないとたくさん吸えない気がして、唇はリードにくっついているものの、唇越しの下の歯の当て方が変わってしまう、というブレスの仕方です。

より多く吸おうと、口をゆるめてしまわないように気をつけましょう。(マウスピースから口が離れてしまうなんて、絶対駄目ですよ)

たくさん吸ったら、そのまま口を閉じます。

正面と横から見た良いアンブシュア

これ以上、どこかに力を入れることなく、息を吹き入れましょう。

口は、本当にただ閉じるだけです
もちろん、息が漏れないようにしなくてはならないので、「ゆるゆる」というわけではありませんが、意図的に力を入れることをしてはいけません。

このアンブシュアであれば、力が入っていないので、口角を引いて口を閉じた場合のように、マウスピースとリードの隙間が狭くなることも、リードの振動を妨げてしまうこともなく、音がすんなりと鳴ります。

また、上下の歯で圧力はかけているので、リードの余計な部分が振動しようとすることもなく、良い音で鳴らすことができます。
(口がゆるいと、音が汚くなってしまうのは、本来震えなくていい、リードの少し厚くなっている部分が、振動しようとするからです)

そして、次にブレスをする時には、これまた上下の歯の圧力を維持したまま、先程の口の開いている状態に戻しましょう。

元々、口が開いている状態でマウスピースをくわえているので、「ブレスのために口を開ける」ではなく「単に口を閉じるのをやめる」という考え方がいいですね。

正面から見た良いアンブシュア

一番大切なのは、「歯を固定した上で」この2枚の写真のように、ただ開け閉めする、ということです。

リードミスをする原因は、リードにかかる圧力がブレス時に下がり、吹き始める時に締めすぎてしまう、もしくは、「ブレスのあとに締めてはいけない」という意識が強すぎて、必要な圧力に戻せないまま吹き始めてしまうからです。

リードミスは、締めすぎてもゆるすぎても起こります

そしてその「締めすぎ・ゆるめすぎ」を引き起こすのは、前の音を吹き終わった時に「よし、この音終わり」となんとなく口をゆるめたり、急いで息を吸わねばと、パッと口を離してしまうことにあります。

最初のブレスの際に、口をしっかり作っておくことも大切ですが、それ以上に、前の音を吹き終わった時に、口をゆるめてしまわないように気をつけることが、素早く安定したブレスをもたらしますし、何度ブレスしても、同じクオリティーの音で鳴らせることに繋がります。

ゆっくりと繰り返し練習しよう

良いアンブシュアがわかったら、何度も練習してみましょう。

鏡を見ながら、口を開けてくわえる→ブレスをして閉じてみる→また開けてみる、のように、ゆっくりと、上下の歯の圧力や、口の形を変えなくても、マウスピースの脇の唇を開閉できるような練習をして、慣れてきたら、実際に音を出してみましょう。

ここで慌てると、曲の中で生かせるアンブシュアとブレスは、身につきません。

この2点が正しくできれば、演奏は見違えます。
ゆっくりと繰り返し練習して、安定したアンブシュアとブレスを手に入れましょう。

クラリネット無料体験レッスン クラリネット無料体験レッスン
クラリネットの吹き方 ブレス 基礎練習
合奏 320
音楽の知識 68
クラリネット 51
基礎 43
読譜 32
演奏技術 32
運指 28
リード 22
拍子 22
リズム 21

全624件 1〜16件目を表示中

最新記事一覧
レッスン日誌一覧
アンサンブル一覧
講師ブログ一覧
クラリネットイベント一覧