クラリネット演奏で使う筋肉・使わなくていい筋肉

クラリネットを演奏する時の、自分の体の状態や口周りの様子に、気を回したことはありますか?
「とりあえずお腹にぐっと力を入れて、口もぎゅっとくわえて、頑張って吹いておけば大丈夫でしょ」というのは、実は間違った奏法です。
今回は、クラリネットを吹く際に、使う筋肉と使わなくていい筋肉を、正しく知って、楽な演奏ができるようにしていきましょう。
クラリネットを吹くのに必要な力
まず、クラリネットを吹く際の大前提として、余分な力はどこにも入れないということを、常に頭の隅に置いておきましょう。
体・腕・口などに力を入れると、「楽器を吹いてる感」というのは存分に感じられるのですが、豊かな響きで演奏したり、素早く指を回したりするためには、その力は邪魔になります。
もちろん、だらりんと脱力しては、楽器を持つこともできませんので、最低限の支える力やホール(指穴)をふさぐ力というのは必要です。
最初に書いたように、あくまでも「余分な力」を入れないように、注意しましょう。
クラリネット演奏で使う筋肉・使わなくていい筋肉
クラリネットを演奏する時に使う筋肉というのは、実はほとんどありません。
「え、体中がっちり力入れて、頑張って筋肉使ってるけど?」という方は、この機会に吹き方を見直してみましょう。
クラリネット演奏で使う筋肉
先述の通り、全く力を入れずにクラリネットを吹くということは不可能ですので、腕も指も最低限の筋肉はもちろん使いますが、それ以外に「筋肉を使う」と意識するのは、口角の両サイドのみです。

よく「口が疲れて息がもれる~」と、皆さんが言っているのは、疲労により、ここの筋肉のコントロールができなくなっていることを指します。
こちらの筋肉の役割は、ぎゅうっと力を入れて口を締めることではありません。

右の写真のように、口角をぐっと横に引いたりするために使うのではなく、力は入れず、でも息がもれないように口を閉じるのが、この筋肉の使い方です。
ここの筋肉に関しての厄介なところは
- 力を入れない、かと言ってゆるすぎない状態でキープ
- クラリネットの練習を数日しないと、すぐに落ちてしまう
- 日常生活では楽器を吹くようには使わないので、ついでに鍛えることができない
という点でしょう。
なるべくコンスタントに練習をして、クラリネット演奏の際に、唯一と言ってもいいくらい大切な筋肉をしっかりつけて、落とさないようにしていきましょう。
クラリネット演奏で使わなくていい筋肉
クラリネットを吹く時に(むしろ管楽器全般)、最も勘違いされているのは腹筋の使い方ではないでしょうか。
腹筋を使おうと意識するあまり、お腹がカチカチになるくらい力を入れているとしたら、それは良いことではありません。
試しに、お腹にぐーっと力を入れて、声を出したり、歌ったりしてみましょう。
息がうまく流れず、変な声になりませんか?
クラリネットを吹いていると、声のようにあからさまな変化がないので気づきにくいのですが、その状況が不自然であることは、明白ですね。
そのような状態でクラリネットを演奏しても、良い音色は出にくくなりますし、余計な力を入れていることで、疲れやすくもなります。
「お腹に力を入れて、息を支える」というのは、はっきり言って間違いです。
当然、お腹を全く使わないわけではありませんが、腹筋は意図的に使おうとすると、確実にいらない力が入ってしまい、演奏の妨げになりますので、「使う!」と思ってはいけません。
「使う=力を入れる」ではないのですが、そうは思っていてもどうしても力が入ってしまう場合は、「腹筋は使おうとしない」「使わなくていい筋肉だ」と考えるようにしましょう。
楽な演奏のための筋肉の意識

クラリネットを吹く際に、使う筋肉も使わなくていい筋肉も、いずれも力を入れないことがカギになる、ということが、わかっていただけたと思います。
適切な構え方、ブレス、奏法ができれば、のびのびとした音で、指もすらすら回る演奏が目指せます。
がちっと体の隅々まで力を入れて、「頑張って吹いてます!」という状態にならぬよう、使う筋肉・使わなくていい筋肉を意識し(ただし、意識しすぎると力みます)、楽な演奏ができるように、少しずつ良い吹き方を身につけていきましょう。