クラリネットソロ演奏での伴奏合わせのポイント
今年の夏のあまりの暑さに、「もはや秋など来ないのでは…」と思うくらいでしたが、不思議なもので9月に入った途端、少し秋めいた風が吹くようになりましたね。
今月は、高校生の文化祭を始め、楽団の演奏会やイベントを控えている生徒さんも多く、「楽しみにしつつも、なんとなく焦っている」という様子でレッスンを受講されている方が、多いように思います。
かくいう当教室も、あと1週間ほどで第11回発表会。
すでに発表会前最後のレッスンを終えられた方もいらっしゃいますので、「自分が納得いく演奏」と「楽しい演奏」の両立を目指して、あと一息頑張って下さいね。
東京クラリネット教室の発表会と言えば、ソロ演奏とアンサンブルがありますが、今回はピアノ伴奏つきのソロ演奏をする際の合わせ方のポイントを押さえていきましょう。
伴奏なのかピアノとのアンサンブルなのか
これは最近、特に意識することなのですが、教室の発表会では、編曲もの(クラリネットのために書かれたわけではない曲)を演奏する方が多くいます。
原曲が歌だったり、別の管弦楽器だったりする曲もあれば、ピアノのソロ曲をメロディー(クラリネット)と伴奏(ピアノ)に分けている場合もあります。
そうなると、ピアノの立場は変わり、
- 原曲が歌や別の楽器→ピアノは伴奏
- 原曲がピアノ曲→ピアノはアンサンブルの仲間
ということになります。
ピアノが伴奏の時には、クラリネットの演奏を盛り上げてくれる存在、アンサンブルの仲間として一緒に演奏する場合は、1曲を共に作り上げてくれる一員、というわけです。(もちろん、伴奏でも曲を一緒に作り上げてくれていますので、誤解のないよう)
そうなると、原曲がどういうものかによって、「ソロの立場で堂々と吹いていいのか」「ピアノと一緒に、1人の人が両手でピアノを弾いているように吹くべきなのか」が変わってきますので、クラリネット奏者として求められているもの、やらなければいけないことが変わります。
その辺も踏まえて、曲の練習や伴奏合わせに臨むようにしましょう。
曲の仕上がりが大きく変わってくるはずです。
クラリネットソロ演奏での伴奏合わせのポイント
先程お話した、原曲がどのタイプかによらず、伴奏のある曲を吹く時に、ソロ楽器の奏者として押さえておきたいポイントを考えていきましょう。
まず、演奏中は必ず伴奏を聴き、一緒に演奏しましょう。
「そんなの当たり前じゃん」と思う方もいらっしゃると思いますが、これが意外とできません。
特に、その曲を合わせ始めてから間もなかったり、合わせること自体の経験が少ないと、「ピアノが鳴っているのはわかる」という状態から抜け出すのが、非常に難しいのです。
伴奏が合いの手を入れてくれていたり、メロディーと一緒に動いていたり、はたまたピアノにメロディーが移ることもあります。
これを聴けていない演奏は、私がアンサンブルでよく言う「同じ曲を同じタイミングで演奏しているだけ」になってしまいます。
全てを完璧に把握し、聴き続けることは大変かもしれませんが、ピアノにしっかり耳を傾けましょう。
次に大切なのが、ブレスをきちんと決めることです。
テンポ通りに、いつでもさっとブレスができるのであれば、「フレーズの邪魔をしないところで息を吸えばいいやー」くらいのざっくり具合でもいいですが、そうもいかない箇所が多いはずですので、その場合は伴奏者にブレス位置を伝えて、不自然にならないくらい一瞬待ってもらわなければなりません。
しかし、気まぐれなブレスは、ピアノとの微妙なずれを生みますし、自分も「えっと、今回はどこで吸おう…」と迷う原因になります。
伴奏合わせは、ある程度のテンポで演奏できるようになってから行うはずですので、その時にはちゃんとブレスを決めておくのが当たり前、と考えられるようにしていきましょう。
可能ならたくさん合わせてもらおう
今回は、ピアノの方に伴奏合わせをしてもらうにあたって、特に大切な2点をお伝えしました。
吹奏楽などの経験が長いと、自分以外の音が鳴っていることに慣れていますが、ずっと1人で練習してきた方だと、伴奏合わせでピアノの音が聞こえてくる、というのは、結構な動揺を誘います。
そんな方にとって、「ピアノを聴く」「そして一緒に演奏する」というのは、相当ハードルが高いと思いますが、必ず慣れてきて、徐々にできるようになっていきますので、可能であれば、なるべく多く合わせの回数を設けてもらいましょう。
ピアノ伴奏を味方につけられると、演奏もしやすくなりますし、当然音楽の質も上がります。
発表会を控えた生徒の皆さんも、さらに素敵な演奏に向けて追い込みをかけていきましょう!