クラリネットで連符を練習する時の着眼点

毎週のように台風がやってきて、なかなか落ち着いて秋晴れを楽しめる日が続かないですね。
そんな中ですが、東京クラリネット教室第9回発表会も無事に終わり、出演された方々も講師も、ほっと一息ついているところです。
とはいえ、個人でレッスンに通われていることに加え、楽団やアンサンブルに所属されている方も多いので、皆さんひっきりなしに何かの曲の練習に励まれていることが多く、頭の下がる思いです。
そんな方達からよく相談をされるのが「指が回らないんですけど」という、クラリネット吹きなら誰もがぶつかる壁。
「もう何も考えずに、とにかくできるようになるまでひたすら練習時間が取れる」といった時間の使い方ができるのであれば、ただ練習あるのみ!というのも良いですが、それぞれやらねばならぬことはたくさんありますので、そうもいかないですよね。
練習の仕方については、以前もお話していますので、今回は練習の効率を上げるために着目すべき点について考えていきましょう。
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クラリネット練習の基本は「量より質」
先程書いたように、皆さん無限に練習できるわけではありませんし、実際に吹ける時間というのは、とても限られていると思います。
「学生の時には、一日中吹いていたこともあったなぁ…」という大人の方も、今では週に数時間吹ければ良い方なのではないでしょうか。
また、当教室に通っている小・中・高校生も、本当に多忙で、クラブや部活には入っていても、個人で練習できる時間はほとんど取れていない子達ばかりです。
そんな時、「できないところは、とにかく無心で繰り返し吹く」というのは、あまり良い方法ではありません。
「何ができないのか」にプラスして「どうできないのか」を冷静に分析して、その箇所がすらすら吹けるようになるために、質の高い練習をしていきましょう。
クラリネットで連符を練習する時の着眼点

細かい音が並んでいると「わ!こんなのできない!」と、ついつい拒否反応を示してしまいがちですが、この「できない」をきちんと掘り下げることが、効率の良い練習には欠かせません。
例えば
- 音が跳躍した時に、きれいに音が移らない(間に音が入ってしまう)
- 指がぱっと鳴らしたい音に行かない
- 続けて吹くと転んでしまう
など、「できない」の中にもいろいろあり、これらは全くと言っていいほど、違う「できない」なので、克服するための練習方法はそれぞれに合ったものを考える必要があります。
にも関わらず、これらの「できない」をひとくくりにしてしまっては、「ただ繰り返し吹いている」だけになってしまい、上手に吹けるようになるには、相当な時間がかかってしまいますし、それまでに「やっぱりこんなのできないんだ…」と、めげる原因になってしまいます。
「ここの連符がどうできなくて、どんな練習をしたらいいのか」を考えるくせをつけて、集中的に苦手克服に努めていきましょう。
念のため、練習方法の一例をそれぞれ書いておきます。
音が跳躍した時に、きれいに音が移らない(間に音が入ってしまう)
「なんだか間に音が入ってる気がするんだよな」という時は、「間に入ってる音」の正体を突き止めましょう。
例えば下の音域の「シ」から「レ」に跳躍した時に、「ド」が入って聞こえるのであれば、左手薬指の動きが遅い(もしくは右手中指が早い)ということになります。
「いや、なんか音ではない音だな」ということであれば、逆に右手中指が遅いか左手薬指が早く上がっているわけです。
このように原因がわかれば、どの指に注意を払うべきなのかわかりますね。
あとは、指が揃うように意識しながら(特に、弱い方の指を気にすると良いです)、ゆっくり大きな音で反復練習をしましょう。
指がぱっと鳴らしたい音に行かない
これは、「指が、次にどの音に進むのか動き方を覚えていない」か「それぞれの指のポジション取りがうまくできていない」のどちらかに分かれるはずです。
動きが把握できていない時は、まずは前後の音とゆっくり行ったり来たりして、意識しなくても指が動くようにしていきましょう。
使ってない指がホール(指穴)から離れてしまっていたり、左手人差し指がうまくキーを押さえられていなかったりするようならば、それは鏡を見ながらの修正が必要です。
続けて吹くと転んでしまう
この場合は、それぞれの指の強い・弱いが関係あるので、付点練習で自分の思い通りのタイミングで指を動かせるようにしていくことをすると良いですね。
付点練習は必ずメトロノームを使って、「付点八分音符と十六分音符」「十六分音符と付点八分音符」2パターンを、できるだけまんべんなく、苦手なものがあればそのパターンの回数を増やして、同じクオリティーで吹くことを心がけてやりましょう。
最後に必ず「付点なし」で吹いて、均等にできるようになってるかを確認してから、テンポを上げていくようにして下さいね。
分析力を上げて練習効率も上げる

お話してきたように、「できない」にもいろいろあることがお分かりいただけたと思います。
ざっと挙げただけでも、練習方法は違っていますので、必要のない練習を続けていると、できるようになるのに相当な遠回りをしてしまうことになります。
「ここできないな」→「連符ができないならこの練習だ!」と考えず、何に自分が引っかかってしまってるのか、客観的な分析をして、その状態を脱却するために最適だと思われる練習を選んで、積み重ねていきましょう。
だんだん良くなっていくことが、早い段階で実感できるはずですよ。