最新動画 良かったら観てね

『ホールニューワールド』をクラリネットで吹く

62PV
レッスンで座って演奏する生徒

9月に入ってから一度秋の気配がしてきて「ちゃんと季節は進むのね~」なんて思ってたのに、また信じられないくらい蒸し暑いですね。

東京クラリネット教室の生徒さんでも、体調を崩されている方がちらほらいらっしゃって、心配な日々です。

これから、世間的にイベントも増えてくる時期ですので、睡眠と栄養をしっかり摂って、不安定な気候を乗り切っていきましょう。

教室は、先月発表会が終わったばかりですが、すでに皆さん次の発表会(年明け)に向けてスタートを切ってらっしゃいます。

ジブリの音楽と並んで人気なのが、ディズニー曲。

今回は、『ホールニューワールド』を素敵に演奏するコツを身につけていきましょう。

ゆったりした曲だからこその難しさ

「ソロに挑戦してみよう」と思った時、まず選曲から始まるわけですが、皆さんどのように演奏曲を決めてらっしゃるでしょうか。

好きな曲やジャンル、ずっとやってみたかった曲、苦手を克服するための曲など、着眼点はいろいろありますね。

そんな時に、「速い曲は練習が大変そうだから、ゆっくりな曲にしようかな」なんて思うこともあるかと思うのですが、当然ながらテンポが遅い曲には遅い曲なりの難しさがあります。

語弊を恐れずに極端な言い方をすれば、速くて細かい曲は勢いで曲を作ることもできますが、遅い曲はそうは行きません。(もちろん速い曲も難しいですよ!)

音楽的な演奏のためにどうすべきかを、より考えねばなりませんし、その部分ができているかが非常にあからさまになります。

また、たまに出てくる十六分音符なども、少しでも偏っていたりすると目立ちますし、遅い分ブレスも大変になったりするのです。(吸う余裕はあっても、一息で吹かねばならない時間が長くなる)

速い曲には速い曲の、遅い曲には遅い曲の難しさがありますので、「簡単そうだから」という理由でゆったりした曲を選ぶ、ということはないようにしましょうね。

それでは、そんなゆったりした曲に分類される『ホールニューワールド』の心地良い演奏について、考えていきましょう。

今回ご説明していく楽譜は「クラリネットレバートリー 赤坂達三のディズニー作品集」に収録されているものです。

『ホールニューワールド』をクラリネットで吹く

クラリネットを構えて笑顔の生徒

『ホールニューワールド』を演奏するにあたり、まず始めに「原曲は歌(デュエット)である」ということを、頭の片隅に置いておくようにしましょう。

「このメロディーを歌うとしたら、どんな感じになるかな?」という考え方は、音楽を作っていく上で、良い指標になります。

Aメロ

4小節のピアノのイントロを経て、前回お話した『いのちの名前』と同じく、楽器が一番長い「シ」の音で始まります。

「シ」の音は、たくさん指を押さえている、というだけで、特段鳴りにくい音ではないのですが、ついつい気合いが入ってしまって、詰まった感じになってしまったり、裏返ってしまう方が多い音です。

イントロの間に「来るぞ来るぞ…」などと思わず、息をたっぷり吸って、響きのある音を鳴らせるように練習しましょう。

優しくクリアな歌い出しを想像すると自然に吹き出せます。

8小節のフレーズを吹いたら、繰り返しで戻ります。
1回目と2回目で音量や抑揚に変化をつけるのは難しい(あまりやりすぎると不自然になる)ので、さらっと2回繰り返すといいですね。

2カッコは、特にクレッシェンドなどの指示はありませんが、サビに向けて少し音量を上げると雰囲気が出ます。

サビ

Aメロのあとは大抵Bメロが入るのですが、この曲はすぐにサビです。

Aメロは「シ」スタートで、それより下の音域で奏でられていましたが(「ド」は出てきますが)、サビは「シ」スタートで上の音域に進みます。

それにより、「明るさ」「空間の広がり」などを感じられるような演奏ができるといいですね。

頭の中でしっかりと情景や色、輝度などをイメージしながら、演奏するようにしましょう。

サビも、Aメロ同様8小節のフレーズが2回繰り返されますが、1回目よりも2回目の方の音量の幅を広げると、さらなる盛り上がりを表現できます。

転調後のAメロ

ピアノの2小節の間奏後は、♭1つ(クラリネットは♯1つ)から♭5つ(クラリネットは♭3つ)に転調します。

一般的に、♭の数が増えると暗く、♯の数が増えると明るく感じるのですが、この曲はメロディーの音が上がっている(「シ」スタートだったのが、上の「ソ♭」スタート)こともあり、暗さよりは明るさを感じるようになっています。

先程までより、さらにのびやかに演奏するように意識して下さい。

ここは8小節のフレーズでサビに進みますので、7小節目からは「次はサビだぞ!」と意識して、山場に向かって行く気持ちで吹きましょう。

転調後のサビ

上の音域に転調していますので、サビは音がだいぶ高くなります。

High B♭の上の「レ」「ミ♭」が出てきますが、決してむきにならず、フォルテの表記に惑わされず、その前の音に息をたっぷり入れて、裏声で歌うような軽やかなイメージで鳴らしましょう。

サビの終わりにあるデクレッシェンドは、落としすぎてしまうとその先に影響してくるので、「音が下がっていくから、少し小さくなったように聞こえるかな」くらいで大丈夫です。

音量を下げていくというよりは、盛り上がりが落ち着く、といったイメージで吹きましょう。

Coda(F1小節前から)

いよいよ曲の締めです。

同じ2小節のフレーズが、4回繰り返されます。

同じことを同じように吹いては、全くおもしろくありませんので、楽譜上は何も書いてありませんが、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目、というように、2小節単位で音量を変えて(下げて)いきましょう。

ただし、4回目がメゾピアノの指示ですので、しっかり計算して下げていって下さい。

4回目は、リズムは同じものの音が違い、その前からrit.もかかっていますので、よりのびのびと、気持ち良く曲を締めましょう。

クラリネットの出番はここまでで、ピアノの後奏4小節で曲が終わりますので、「こんな感じで終わりたいな」という希望があれば、遠慮なくピアニストに伝えて下さいね。

楽譜通りじゃなくてもいい!

組み立て中のクラリネットを持った笑顔の生徒

私達は、再現芸術という分野でクラリネットを吹いていますので、「音やリズムを楽譜通りに吹く」ということを第一に演奏しています。

ただ、今回の曲のように歌が原曲だったりした場合、採譜(音を聴いて楽譜にすること)した人や編曲者によって、「ん?ここのリズム、なんか知ってるのと違わない?」ということも起きてきます。

この編曲の『ホールニューワールド』に今まで取り組まれた方々が、初見で必ず引っかかるポイントがあるので、そこなどはきっと実際のメロディーと記譜に差があるのだと思います。

そんな時に、「大好きな曲だからここのリズムに違和感しかないけど、楽譜通りに吹かないと…」なんて思う必要はありません。

作曲レベルで変えてしまうのはちょっと良くありませんが、コンクールなどで正確性が求められる演奏とは違うので、多少は自由にしてしまいましょう。

その場合、ピアノパートが同じリズムで弾いていることもありますので、きちんと確認して揃えるようにして下さい。

微妙に違うリズムでクラリネットとピアノが動くと、演奏がおもしろいことになってしまいます。

細かいことに囚われすぎず、好きな曲を好きなように(ある程度)、気持ち良く演奏して下さいね。

クラリネット無料体験レッスン クラリネット無料体験レッスン
クラリネットの吹き方 ソロ 表現方法
合奏 326
基礎練習 154
音楽の知識 68
クラリネット 51
基礎 43
演奏技術 32
読譜 32
吹奏楽・オーケストラ 29
運指 28
拍子 22

全664件 1〜4件目を表示中

最新記事一覧
レッスン日誌一覧
アンサンブル一覧
講師ブログ一覧
クラリネットイベント一覧