東京クラリネット教室第11回発表会
2023年9月18日、東京クラリネット教室第11回発表会が行われました。
昨年9月も同じホールで発表会を行ったのですが、よりによって出演者の入り時間は土砂降りだったようで(講師はホール内にいて気づかず)、今回もハラハラしていましたが、雨が降ることはなく、真夏のような日差しにじりじりとやられるだけで済みました。(それはそれでどうかと思いますが)
前回発表会は2月でしたので、7ヶ月ほど空きましたが、ソロの方々もアンサンブルの出演者も、「まだ先だ~!」と油断することなく、コツコツと練習を積み重ねてこられました。
お仕事や学校の用事などと重なってしまった方もいらして、第10回発表会より出演者は少なめですが、皆さんが持てる力を存分に発揮できる本番にしていきましょう。
ホールの改修工事が昨年11月から今年の6月だったそうで、客席が新しく、そしてシートの色が真っ赤になったからか明るくなりました。
知っているホールではありますが、きれいになったことですし、気持ちも新たに本番に臨んでいきましょう。
本番前の音出しの加減
こちらのホールには、そこそこ広い(アンサンブルもできるくらいの)音出し室があります。
2月に使ったホールは、直前に音を出せる場所がなく、それはそれで困ったのですが、「音を出せる部屋がある」となると、時間が許す限りいろいろやりたくなってしまうのが人というもの。
「譲り合っていただければ、自由に使って大丈夫」とお伝えしてあったのもあり、「音出し」ではなく熱心に「練習」をされていた方達もいらっしゃいました。
しかし、本番前に焦ってあれこれやるのは、あまり良くありません。
良い状態で部屋を出られれば、もちろん気分良く舞台に立つことができますが、そうではないことも考えられます。
その場合は、「どうしよう…」という思いのまま、本番を迎えてしまうわけで、それでは思うようにのびのびと演奏することは難しくなってしまいます。
「リハーサルでは、もっと吹けていたのに!」と思いながら演奏するなんて、もったいなさすぎますね。
心配なところを、ぎりぎりまで練習したい気持ちは、とてもよくわかりますが、本番間際はある程度で見切りをつけて、「やるだけやってきたし!」と、前向きな気持ちで出番に臨むようにしていきたいものです。
第一部
ソロ・アンサンブルともに、順調にリハーサルも終わり、いよいよ開演です。
チャールダーシュ(V.モンティ)
第1回から、欠かさずご出演いただいている生徒さんです。
いろいろなジャンルに挑戦されるので、「今度はどんな曲かな?」といつも楽しみにしているのですが、今回はゆったりしながらも熱い前半と、とにかくすごいスピードで駆け抜けるような後半部分とでできている曲に取り組まれました。
何度も「できる気がしないんです…」と半泣き状態でレッスンにいらしていましたが、練習の成果がばっちり出て、本番は今までで一番良い演奏になりましたね。
今回得た技術は、これからかなり生きてくると思いますので、また次のソロも楽しみにしています。
ガブリエルのオーボエ(E.モリコーネ)
最初に発表会出演を決められた時は、「ソロで発表会に出るなんて…」とおっしゃっていましたが、「やはり成長のためには出た方がいいですよね!」と、すっかりご自身のクラリネット生活の主軸に、ソロ演奏を組み込んでいただけた生徒さんです。
美しい旋律をいかに吹くかや、細かい音符(十六分音符・三十二分音符)に苦労されていましたが、どうしたらいいかを掴まれてからの変化は、すごかったですね。
本番も、うっとりするようなメロディーを聴かせて下さいました。
これからもソロとアンサンブルの両立、よろしくお願いしますね。
メヌエット ト長調(L.v.ベートーヴェン)
こちらの生徒さんも、「自分の成長のために」と、今向き合うべき課題を考えて、発表会に出ることを続けて下さっています。
今回は、講師に「どんな曲をやった方が良いか」とご相談があったので、今までに取り組まれた曲とは違うタイプの曲をお勧めしました。
これまでの演奏曲にはなかった要素に、なかなか苦労されていましたが、その苦労も楽しみに変換して練習をされ、本番では堂々たる演奏となりました。
次の課題への取り組みも、楽しみにしています。
ワルツ(J.ブラームス)
初めて発表会にご出演の生徒さんです。
レッスン内で「ソロ曲でもやってみましょうか」と始めた曲で、発表会のために選んだ曲というわけではありませんでしたが、とても順調に仕上げていらしたので、発表会ご出演をお勧めしてみました。
技術的に難しい部分もあった曲でしたが、しっかり練習を重ねられ、堂々と吹かれている姿は、初めての発表会とは思えないほどでした。
実は、打楽器を演奏されたり、フルートも吹かれたりと、お忙しそうな音楽生活ですが、ぜひまたソロ曲に挑戦なさって下さいね。
銀河鉄道999(タケカワ ユキヒデ)
ソロもアンサンブルも、すっかり発表会常連となっていただいた生徒さんです。
やりたい曲を見つけるのがお上手な方で、2・3曲ストックを持っていらっしゃいますし、いつも「こんな楽譜があったのか!」と思う曲を持ってきて下さいます。
今回は他の方との兼ね合いを考えて、ほんの数ヶ月前にクラシックからこちらの曲に変更して下さったのですが、そんなことは微塵も感じさせない安定した演奏でした。
すでに、新曲の楽譜をいただいていますので、次の曲も素敵に吹いて下さるのが楽しみです。
アンダンテ・カンタービレ(P.I.チャイコフスキー)
いつも直前まで「発表会出なくてもいいですか?」とおっしゃっている生徒さんですが、今回もご出演下さいました。
ゆっくりなものの、十六分音符と三十二分音符の切り替えであったり、三連符のはめ方だったりと、リズムも難しい曲でしたが、回を重ねるごとに音楽的な部分がどんどん良くなられていることを感じる演奏でした。
本番でも、美しいメロディーをゆったり吹き上げられましたね。
これからもきっと「出なくていいですか?」とおっしゃることと思いますが、ご自身の成長をしっかり感じながら、ますます楽しくクラリネットを吹いていっていただけたらと思います。
亜麻色の髪の乙女(C.A.ドビュッシー)
何回も発表会にご出演いただいている生徒さんですが、今回はお得意の歌ものではなく、クラシックに挑戦されました。
ドビュッシーならではの曲の揺れや、音域の広さと格闘されていましたが、本番では不自然さなく、最初から最後までしっとりと演奏されました。
堂々とした立ち姿は、さすがでしたね。
いろいろなジャンルの曲に取り組むと、得意・不得意いずれの新発見もありますので、ご自身の音楽の幅を広げるためにも、「これは普段選ばないような曲だけど」というものにもまた挑戦してみて下さいね。
愛の挨拶(E.エルガー)
前回に引き続き、お好きな曲に取り組んで下さった生徒さんです。
誰よりも早く伴奏合わせを始められて、音楽的表現にどんどん磨きをかけていかれる様子は、レッスンでお聞きしていて楽しかったです。
本番も、曲の世界観をしっかり表現されていて、心地良い演奏になりました。
次回からは、アンサンブルにも挑戦していただけるとのことで、ソロとの両立は練習の配分が大変かもしれませんが、楽しみにしています。
また素敵な演奏を聴かせて下さいね。
第二部
今回も、後半はアンサンブルクラスの発表です。
ジムノペディ第1番(E.サティ)
エンターテイナー(S.ジョプリン)
前回発表会から比べると、人数が半分以下になってしまった初級者アンサンブル。
かなり寂しいですが、「それぞれの演奏がきちんと聞こえるチャンス!」と捉え、アンサンブル力アップを期待できる2曲に取り組みました。
本番は、やはり本番なりのハプニングがありましたが、それでも再集合できたり、最後の着地は揃うなど、皆さんの合わせる力が大幅に上がっていることを感じられる演奏となりました。
次の発表会の曲も、各自課題を持って取り組んでいただき、練習でやったこと・できたことを本番で発揮できるようにしていきましょう。
ファイナルファンタジーより メインテーマ(植松 伸夫)
フォスターラプソディー(鈴木 英史)
なかなか皆さんのご都合が合わず、少しずつご出演の人数が減ってしまっている、中級者アンサンブル・チームくらげ。
以前は、人数もいらしたので、パートを重ねてのアンサンブルでしたが、1パート1人ずつで五重奏に取り組まれました。
お一人ずつの音がはっきり聞こえて、責任も増す編成な上、楽譜のシンプルさに反して、「何かが難しい」2曲でしたが、それぞれに曲の理解を深めていただき、本番ではお客様から「涙が出ました」とおっしゃっていただける演奏を聴かせて下さいました。
次回はまた少しメンバーが変わりますが、心に響く演奏を目指しましょうね。
さくらのうた(福田 洋介)
魔女の宅急便メドレー(久石 譲・荒井 由実)
2回目の発表会となった、中級者アンサンブル・チームぞうさんの皆さん。
こちらのクラスも、ご都合の合わなかった方がいらしたので、1パート1人の五重奏を演奏されました。
「やりたい!」と選ばれた曲だったものの、「こんなに難しいなんて…」と予想外に苦労されながらの取り組みになりましたが、自主練習もたくさん計画していただき、メンバー同士の絆が感じられる演奏でした。
次の発表会は、またご出演人数が減ってしまう予定ですが、どんな曲を演奏されるのか楽しみです。
さらにまとまりのある演奏を聴かせて下さいね。
ピアノソナタ第8番ハ短調 Op.13『悲愴』より第2楽章(抜粋)(L.v.ベートーヴェン)
リベルタンゴ(A.ピアソラ)
全くジャンルの違う2曲に取り組まれた上級者アンサンブルの皆さん。
それぞれの曲の切り替えと表現力は、「さすが!」の一言でした。
月1回のアンサンブルクラスはなかなか6人揃わず、特に「ちょっとでも縦の線がずれると、締まりがなくなってかっこ悪くなる」曲の演奏は大変だったかと思いますが、びしっと揃った演奏になりましたね。
次の曲もすでに決まっている上級者アンサンブル。(今回やる予定で、持ち越しになった曲)
また圧巻の演奏を期待しています。
講師演奏
皆様の頑張りを堪能したあとは、講師演奏です。
伴奏は、齋藤 利理子さんにお願いして、D.ミヨー作曲『組曲「スカラムーシュ」より 第2・3楽章』を演奏しました。
元々はピアノ2台のための曲なのですが、今回はアルトサックスとオーケストラのために編曲された楽譜を使用しました。
楽譜の表紙には、ちゃんと「クラリネットとオーケストラのための」と書かれているのに、ピアノの伴奏譜にある楽器パートの表記はアルトサックス。
ピアニストにとっては、関係あるようなないようなパート部分の楽譜ではありますが(いや、あるはずです)、なんだかアバウトですね。(齋藤さんは「へ音記号で読むと、ちょうど聞こえてくる音と同じになるから気にならないよー」と言ってくれていました)
ミヨーの曲は、以前も演奏しましたが、簡単そうに思えて、実に緻密な曲の作り方をしてあるなぁと、感じることがしばしばあります。
今回は第1楽章は演奏しませんでしたが、第2楽章に同じような音の並びが出てきたり、ちょっと前に提示されたメロディーが、別のメロディーの裏に見え隠れしたり。
細かなところに気づくと、とてもおもしろい作曲家だなと思います。
ぜひ、原曲の2台ピアノや、アルトサックスの音源も聴いてみて下さいね。
早速次回発表会に向けて
第11回発表会は、ソロ・アンサンブル合わせて、23名の生徒さんにご出演いただきました。
前回に比べると、少し減ってしまいましたが、初めてご出演いただいた方も、何回も出て下さってる方もいらして、ありがたい限りです。
出演者の皆様には、本番を経ると、一段と成長・上達することを、感じていただけたのではないでしょうか。
ホールの確保の都合で、次の発表会は今回の本番からぴったり5ヶ月後。
「はぁ~、終わった~!!」と少しのんびりしたいところですが、そうも言ってられないので、早速スイッチを入れていきましょう!
ご出演の皆様、ご来場いただいた皆様、スタッフの方々、今回もありがとうございました。
これからもよろしくお願い致します。