東京クラリネット教室第10回発表会
2023年2月19日、東京クラリネット教室第10回発表会が行われました。
ついに節目の10回目。
2017年12月に第1回発表会を行ってから、年に2回のペースで行ってきたのですが(2020年7月は泣く泣く断念)、出演して下さる方、聴きに来て下さる方、支えて下さる方のおかげで、無事に10回を迎えることができました。
本当にありがとうございます!
今回は、全10回ご参加の方もいらっしゃれば、発表会初挑戦の方もいらっしゃいますが、楽しく時間を過ごしていきましょう。
天候に左右される楽器・クラリネット
週間天気で発表会当日の予報が出た当初は、「曇り(少し雨)で寒い」とのことで、不安しかありませんでしたが、その後気づいたら「晴れて、他の日よりだいぶ暖かい」に変わっていました。
実際は、そこまで暖かくはありませんでしたが、寒くもなく、本番にちょうどいい天候となりました。
クラリネットは、管体自体が木ですし、リードも使いますので、演奏のしやすさが天気や温度・湿度に影響されます。
晴れている時に選んだリードは、雨だと(湿度が高いと)吹き心地が変わったりしますし、寒すぎると楽器が全然響かなくなって、大きな音が鳴りにくく、音の輪郭が細くなったように感じることもあります。
さすがに、私達クラリネット奏者が、天候などをどうこうすることはできませんので、どんな状況になっても、自分のベストパフォーマンスを発揮できるように、想定して、対応を考えておかねばなりません。
と言っても、何をすべきかというのが難しいところですが、
- 本番直前に楽器をしっかり温めておく
- 良いリードを複数枚用意しておく
- あらかじめ、天候の悪い日にも本番の曲を吹いてみる
などの準備をしておくことで、本番の時に「いつもと違う…!」と焦らなくて済みます。
なお、楽器を温める時に、冷えた楽器にフーフーと一生懸命息を入れることは、楽器の割れにつながりかねないことと、水が溜まってしまって、本番中に思わぬところから水が出てしまうことになるので、まずは厚手の布などでくるんで、キンキン状態ではなくしてから息を入れたり、家を出る前に軽く音を出しておくなど、一手間を惜しまない方が良いでしょう。
また、リードに関しては、リハーサルや音出しの際に、「その日一番良いもの」を探すようにしましょう。
できる限りのことをして、本番で今までの練習の成果を最大限発揮できるようにしていきたいですね。
さて、ソロ・アンサンブル共にリハーサルが終わったら、いよいよ本番です。
第一部
クラリネットソナタ第1楽章(C.サン=サーンス)
ご出演のたびに「すごく緊張するので、なるべく早い出番にして下さい!」とおっしゃる生徒さん。
今までは、なかなか最初に吹いていただく機会がなかったのですが、今回は念願かなってトップバッターを飾っていただくことができました。
間際まで「本当に仕上がるんでしょうか…」と、不安を口にされていましたが、いつも通り、全く緊張を感じさせない堂々とした演奏を聴かせて下さいました。
音楽的にも素敵な仕上がりでしたので、また次に選ばれる曲も楽しみにしています。
タイスの瞑想曲(J.マスネ)
常に「自分が成長できる曲を」と、難曲に挑戦される生徒さんです。
今回の演奏曲も、元が管楽器の曲ではないため、非常に表現が難しく、次々に湧き上がる課題と格闘されていた印象ですが、本番では心のこもった演奏を届けて下さいました。
本番を経ることで、数十回の練習以上に得るものがあったかと思いますので、ぜひそれを次の曲に生かして、さらに引き出しを増やしていって下さいね。
指を動かす系の曲への挑戦も、楽しみにしています。
タンゴ(I.アルベニス)
今回から、アンサンブル2組に参加されることになり、「ソロはやめておきます」とおっしゃっていた生徒さんですが、レッスンでせっかく取り組まれているし…ということで、ソロ曲でもご出演いただきました。
ただでさえ、私達は外国のダンスにはあまり馴染みがなくて、演奏するのが大変ですが、タンゴは自由度の高い踊りの曲ということで、演奏技術とイメージの表出の双方が求められ、ますます難しく感じる曲でしたが、本番が近づくにつれ、かっちり真面目な演奏がどんどん良い方向に変化していきましたね。
今後も、吹いたことのないジャンルに挑戦していただき、表現力を上げていきましょうね。
クラリネットポルカ(ポーランド民謡)
発表会出演も、早数回目の生徒さん。
今回からは、アンサンブルにも参加されることになり、そちらの曲との両立で、練習時間の捻出にかなり苦労されていました。
特に、こちらの曲は「苦手克服のために」と選ばれたため、そういう点でも練習が大変だったかと思いますが、本番は楽しく演奏していただけたとのこと。
ちょっとした事故もありましたが、立て直しはさすがでしたので、次回に向けてまた頑張っていきましょう。
What A Wonderful World(G.ダグラス・G.D.ワイス)
楽団にも所属されながら、ソロにアンサンブルにとご出演いただいた生徒さんです。
ソロ曲の決定が、他の出演者の皆様より遅かったのですが、本番では安定感のあるのびのびとした、美しい演奏を聴かせて下さいました。
ご本人も、緊張せずに楽しく演奏できた、とおっしゃっていましたので、楽団との兼ね合いが取れる時は、ぜひまたご出演いただけたらと思います。
演奏していて楽しい曲、また探していきましょう。
Just The Way You Are(B.ジョエル)
発表会ごとに、いろいろなジャンルに挑戦される生徒さん。
前回のバッハから一転、今回は洋楽を演奏曲に選ばれました。
どんな曲に取り組まれても、さらっと涼しい顔で演奏される姿は、さすがですね。
また、今回は、歌の曲らしくおしゃれに吹き上げられました。
演奏したい曲を見つけるのもお上手なので、毎回「どんな曲を選ばれるのかな?」と、楽しみです。
次の曲も楽しみにしていますね。
ソロ ドゥ コンクール(A.メサジェ)
ソロ演奏はちょっとお久しぶりの生徒さんです。
レッスンでは、ソロ曲に取り組まれていたものの、お仕事がお忙しくなってなかなか練習時間も取れず、ご本人が納得いく仕上がりになってからのご出演となりました。
以前発表会で披露された同名の曲よりも、さらに難易度が高く、練習も大変だったかと思いますが、本番ではまさに堂々と、練習の成果をしっかり発揮された演奏となりました。
またご無理のないスケジュールで、ソロ演奏にも挑戦して下さいね。
You’ve Got a Friend(C.キング)
「いやいや、人前で演奏するなんて…!」とおっしゃりながら、前回からソロで発表会に挑戦して下さっている生徒さんです。
今回は、大好きな曲をご自身で移調し、演奏されました。
歌の曲は、クラリネットで演奏するとなると、歌詞がない分伝える難しさがあるのですが、歌っているかのように、素敵な音楽を奏でて下さいました。
本番は、気持ち良く演奏していただけたようですので、また好きな曲を演奏なさって下さいね。
やさしさに包まれたなら(荒井 由実)
お仕事がお忙しいことがずっと続いていて、久しぶりの発表会ご出演となった生徒さんです。
歌の曲は、楽譜になると一気にリズムが難しくなるので、レッスンでは吹き分けに苦労されていましたが、熱心に練習に取り組まれていました。
また、日曜日独特の交通事情で、ホールへの到着がギリギリになられたそうで、音出しをする暇もなくリハーサルに臨まれたりで、ばたばただったようですが、本番では落ち着いた、爽やかな演奏となりましたね。
ご無理のない範囲で、また新しい曲も進めていきましょう。
You’ll Be In My Heart(P.コリンズ)
すっかり歌の曲の演奏がお得意な生徒さんです。
今回も、映画の中の1曲を選ばれました。
こちらの生徒さんも、歌の楽譜をクラリネット譜に移調されての演奏です。
クラリネットには少ない、♭だらけの曲で大変だったと思いますが、思いのこもった音楽を聴かせて下さいました。
本番は、リハーサルと聞こえ方が違って焦った、とおっしゃっていましたが、それも経験ですね。
いろいろな曲をご存知なので、次に選ばれる曲も楽しみにしています。
春の歌(J.L.F.メンデルスゾーン B.)
今回、初めて発表会にご出演下さった生徒さんです。
大好きな曲に挑戦して下さいました。
かなり余裕を持って練習を開始されたので、ピアノとの合わせもたくさんできたのですが、発表会も近づいたある日、きっちり吹かれていたのが、やりたいことを存分に表現された演奏に変わり、講師も突然の変化(開花)にびっくり!
発表会でも、温かく美しい演奏となりました。
本番の多い楽団に入られていて、そちらも大変かと思いますが、ぜひ次回もソロ演奏を聴かせて下さいね。
シチリアーノ(G.U.フォーレ)
実は、第1回発表会から欠かさずご出演いただいている生徒さんです。
ご都合で数ヶ月レッスンをお休みされていたのですが、1月からクラリネットを再開されて、早速発表会にご出演下さいました。
「今回は、技巧的な曲よりも音楽的な曲を」ということで、この曲をお勧めしましたが、とても上手に吹き上げて下さって、気持ち良く吹いていただけたのではないかと思います。
次回発表会までは時間もありますので、ちょっと難しい曲にぜひ挑戦してみて下さいね。
クラリネット協奏曲第2番 第1楽章(C.M.v.ウェーバー)
音大に通ってまもなく1年になる生徒さんです。
前回の発表会で演奏してくれた曲と同じく、音大生は大抵取り組む曲なのですが、人前で安定して演奏するとなるとなかなか大変なこちらの曲。
コツコツと積み重ねた練習の成果を存分に発揮してくれました。
大学では、フランス人の先生に師事しているとのことで、次回はぜひフランスものの演奏を聴けることを、楽しみにしています。
第二部
第二部は、アンサンブルステージです。
ロンドンデリーの歌(アイルランド民謡)
人生のメリーゴーランド(久石 譲)
まずは初級者アンサンブルから。
今までで、一番多い人数でのアンサンブルとなりました。
ここ数年は、初級者アンサンブルで使っている楽譜は、皆さんがちょっとずつできることを増やせるよう、講師が編曲をしていますので、前回よりも少し難しさがアップしていましたが、本番ではとても素晴らしい演奏を聴かせて下さいました。
次回は、「合わせる」という点に重きを置いた選曲で、技術的な部分よりも、美しいハーモニー作りなどができたらいいな、なんて思っていますので、さらにアンサンブル力を向上していきましょうね。
たなばた(酒井 格)
2番目は、中級者アンサンブルです。
昨年10月から、中級者アンサンブルが2つになりましたので、チーム名を皆さんに考えていただき、こちらのグループは「チームくらげ」に決定しました。
今回、4つのアンサンブルクラスの中で、一番難易度が高いなと講師が感じていたのが、こちらの『たなばた』ですが、いつもより少ない人数ながら、一人一人しっかりと演奏していただき、本番ではかっこよく最後まで疾走されました。
次の発表会は、また雰囲気の違う曲に取り組まれる予定なので、そちらも楽しみにしています。
世界の車窓から(溝口 肇)
星に願いを(L.ハーライン)
新しい中級者アンサンブル、「チームぞうさん」の皆さんです。
元々面識のない方に講師がそれぞれ声をかけてご参加いただいた上、他のクラスに比べて、発表会までの合わせの回数が1回少なかったのですが、本番ではとてもまとまりのある、美しい音楽を届けて下さいました。
アンサンブルは、お互いの吹き方がわかってくると、さらに溶け合った演奏となりますので、回数を重ねて、より一体感のある演奏を目指していきましょう。
アルヴァマー序曲(J.バーンズ)
最後は上級者アンサンブルです。
こちらも、『たなばた』同様、原曲は吹奏楽曲なのですが、ほとんどの方が過去に部活などで演奏されたことがあるとのことで、早々に仕上がり、発表会に向けて音楽的にかなり詰めることができましたので、本番はかなりかっこいい演奏となりました。
新しく入られた方と、久しぶりに復帰された方がいらっしゃいましたが、まるでずっと一緒に吹いてきたかのような仕上がり具合でしたね。
次回もとても楽しみにしています。
講師演奏
皆様の素敵な演奏を楽しんでいただいたあとは、講師演奏です。
今回は、伴奏を齋藤利理子さんにお願いし、R.シューマン『アダージョとアレグロ』を演奏しました。
原曲はホルンのために書かれたこちらの曲、アダージョの美しさとアレグロの軽快さの切り替えがポイントなのですが、しっかりお届けできたでしょうか。
また、シューマンの曲は、「クラリネット(ソロ楽器)とピアノ伴奏」というよりは、「クラリネットとピアノのアンサンブル」という要素が大きいので、その点にも気づいていただけていたら嬉しいです。
これは、大学時代に勉強した曲ですが、年を経て、当時と違う部分も見えてきたりして、楽しく演奏することができました。
またシューマンの別の曲も演奏できたらと思っていますので、私もますます練習に励みたいと思います。
第10回、ありがとうございます!
今回は、ソロとアンサンブル合わせて、30名の生徒さんにご出演いただきました。
出演者9名、お客様30名(出演者含む)で始まった、東京クラリネット教室の発表会ですが、出演して下さる方も、足を運んで下さる方も、嬉しいことにとても増えました。
最初の頃は、お客様も出演者のご家族がほとんどでしたが、今は当教室の発表会ファンの方もいらして下さっているようで、本当にありがたい限りです。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
出演者も、どんどん募集中ですので、気になる方はぜひ挑戦してみて下さいね。
躊躇されていた方も、いざ出演されると「病みつきになりそうです!」とおっしゃっていますよ。
ご出演の皆様、ご来場いただいた皆様、スタッフの方々、今回もありがとうございました。
これからもよろしくお願い致します。