曲や時代に合った音符の吹き分けを身につける
2024年4月22日、今年4回目の初級者アンサンブルが行われました。
発表会が終わり、また3名でのアンサンブルに戻ってしまった初級者アンサンブルクラス。
ご参加の皆さんで「なんとかメンバーが増えないものか」とよくご相談されてるようです。
発表会で「一緒にやりたいな」と思ってもらえる演奏をして、今後は倍くらいの人数になっていくといいですね。
今月は、全員揃われる予定でしたが、1名お休み・1名ドクターストップで聴講のみということで、演奏されるのは1名だけとなってしまいました。(通しの時は講師が他2パートをつなげて演奏)
演奏曲はパッヘルベル作曲『カノン』と、メンデルスゾーン作曲『歌の翼に』です。
クラリネット吹きに馴染みの薄いバロック音楽
クラシック音楽は、作曲家の生きていた時代によってジャンルがわかれていますが、パッヘルベルはバロック時代(1600年~1750年)の音楽家です。
バロック時代の有名な作曲家と言えば、J.S.バッハですね。(パッヘルベルは、バッハのお父さんと仲が良かったとか)
バッハの名前は、多くの方がご存知かと思いますが、クラリネットを演奏している方で「バッハのオリジナル曲を吹いたことがあります!」という方はいらっしゃらないでしょう。
なぜかと言うと、バッハの時代にはまだクラリネットは生まれていなかったのです。(厳密に言うと誕生はしてますが、バッハが亡くなる10年前くらいに、ようやく実際に音楽に使われるようになりました)
そんなわけで、意外と演奏機会の少ない音楽ではありますが、バロック音楽らしさを追求して演奏していきたいですね。
曲や時代に合った音符の吹き分けを身につける
そんなバロック音楽ですが、編曲されてクラリネット用の楽譜が出ていますので、私達も演奏することができます。
今回の『カノン』は、クラリネット三重奏用にアレンジされたもの。
音符の処理やアーティキュレーションは、元々画一的なものではなく、曲によってどう演奏されるか変わりますが、時代によってももちろん変わります。
簡単に言うと、今回求められている吹き方は「まっすぐ」。
例えば「付点八分音符と十六分音符」は、普段付点八分音符を軽く抜いて躍動感を出すことが多いですが、むしろべたっと伸ばします。
ただ、やりすぎてしまうと、アーティキュレーションがついていないのに、次の十六分音符とスラーに聞こえたり、同じ音であればつながって聞こえてしまうこともありますので、ぶちっと切れない程度にタンギングはしましょう。
また、八分音符2つや十六分音符2つずつのスラーは、大抵「前の音を強めに吹き、後ろの音は抜いてちょっと短く吹く(次の音と間を空ける)」という吹き方をしますが、全てをスラーで吹いている時と音の強さ・長さは変えず、ただタンギングをするだけに留めます。
説明だけだと、簡単にできそうに聞こえるのですが、実はこの吹き方はなかなか難しく、ついつい抜きたくなったり、短くなってしまったりします。
いつもは、そのような吹き方を求められることがほとんどですので、当然と言えば当然ですね。
まずはスラーで吹いてみて、どのように聞こえるべきか、「ただタンギングする」とはどんな感じなのかを、しっかり身につけていくようにしましょう。
いろいろバロック音楽を聴いてみよう
今回は、マンツーマンレッスンのようになってしまいましたが、楽器が吹けない生徒さんにも聴講していただけて、だいぶバロック時代の曲の雰囲気や、求められている演奏スタイルをおわかりいただけたのではないかと思います。
『カノン』はよく知っている曲でも、慣れない音楽ジャンルですし、もう1曲の『歌の翼に』とも全く違いますので、他にもバロック音楽を聴いてみて、イメージを膨らませておいていただけると、吹きやすさが増すはずです。
来月は、3人揃っていただけることを、楽しみにしています。