アンサンブルの精度を上げるための2つのポイント

2021年9月25日、今年7回目の中級者アンサンブルが開催されました。
皆さん、変わらず参加して下さっていますが、以前のように「みんなで集まる」ということに、ちょっとした逡巡や抵抗がなくなる日が、早く来てほしいものですね。
今日もご都合でお休みされた生徒さんがいらっしゃいましたので、B♭クラリネット6名と講師のバスクラリネット、合わせて7名で演奏していきます。
演奏曲は、先月から練習を始めた『千と千尋の神隠しメドレー』です。
よく知られている曲ならではの難しさとは
今回の演奏曲の元となった曲は、「すごく好き!」という方も多いですし、詳しくは知らないけれど聞いたことはある、という、「よく知られている曲」に分類されると思います。
また、楽譜を見ても、そこまで音が入り組んでおらず、先月のアンサンブルクラスでも「知ってる曲なのもあって、1回目の合わせでも形になるものだなぁ」と思ったのが正直なところですが、しかし、そういう曲ならではの難しさというものがあります。
まず、知られていることのハードルの高さ。
なんとなくでもメロディーを知っている人が多ければ、ちょっとしたミスも「あれ、こんな曲だったっけ」につながってしまいますし、好きな人にとっては理想の演奏があることが多く、「え、これじゃない」と思われてしまいがちなのです。
さらに、シンプルな楽譜であればあるほど、粗が目立ちやすくなりますので、より正確な演奏が求められます。
かと言って、きっかりきっかり吹けばいいのか、と言われれば、それではおもしろみがなくなるわけで、音楽的な演奏も目指さなければなりません。
みんなが知っていて、自分も好きな曲が演奏できるのは、とても楽しいのですが、意外と難易度が高いことなので、アンサンブルでは特に、丁寧な練習を心がけるようにしましょう。
アンサンブルの精度を上げるための2つのポイント

さて今回、特に力を入れて向上していきたいと思っていることに「演奏の精度」があります。
7月の発表会でも、難しい曲をしっかり演奏された中級者アンサンブルの皆さんですが、本番の録音を聴いてみると「この部分が良くなったら、演奏がさらに締まって聞こえるのに」と思ったことが2つあります。
まず、出だし(音の出)のタイミングです。
指揮者がいないアンサンブルで、出だしを揃えるためには、ブレス自体のスピード感(吐く・吸う、の速さ)とタイミングを合わせることが必須ですが、そこにプラスして「みんなで音の出を揃える意思」というのが不可欠となります。
ブレスが合わなければ、出だしを揃えることはとても難しくなりますが、ではブレスが合えば勝手に揃うのか、というと、そういうわけではないのです。
そして、随所にある「音の出を揃えるべき箇所」が揃うことで、演奏の質は一気にアップします。
他の部分の演奏が、全く同じだとしてもです。
逆に言えば、大切なフレーズの出だしがなんだかふにゃっとした演奏になってしまうと、それ以外でいかに素晴らしく吹いていても、全体の印象として、もったいない感じになってしまいます。
また、もう一つ外せないのは、要所の音程です。
各奏者の音程が、常にぴったり合っているのが理想ですが、なかなかそうもいかないのが現実だと思います。
そこで目を向けるべきは、ずれが目立ちやすいところの音程を、確実に合わせていく、という点になります。
例えば、
- 複数人、または全員が同じことをやっている
- 伸ばし
- 曲の最初・最後
- 小さい音量での演奏
などなど、ポイントをしっかり押さえて、音程をぴたっと合わせられれば、聴いている人達に違和感を与えないどころか、「お!きれいだな」と思ってもらうことができます。
「出だし(音の出)のタイミング」「要所の音程」を揃えることを、常に念頭に置いておきましょう。
演奏が確実に見違えます。
「アンサンブル」をするための準備をしておこう

初回練習では、「結構すぐに仕上がっちゃうかも」なんて思っていましたが、精度の高い演奏をしようとすると、なかなか一筋縄ではいかなそうな曲なのが、今回よくわかりましたね。
譜面のシンプルさで、さーっと流した練習になりがちですが、各々が楽譜に書いてある通りの、確実な演奏をすることがまず大切です。
さらに、スコアを見ながら自分のパートを吹いて、他のパートとの関わり、特に押さえるべき箇所、全体像などを把握しておけるといいですね。
メドレーということは、テンポチェンジもありますし、いずれは各曲のイメージの共有も必要となりますので、まずは今できることをしっかりとやって、曲を掴んでおいていただけたらと思います。
来月も無事に開催できることを念じつつ、楽しみにしています。