クラリネット初めてのオーバーホール
自分のクラリネットを、オーバーホールに出したことはありますか?
「オーバーホールってよく聞くけど、実はどういうことをするのかよくわかってない…」
「どれくらいの頻度で出せばいいのかな」
「出してみたいけど、失敗されたらどうしよう」
なんて方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、クラリネットのオーバーホールがよくわかるように、お話をしていこうと思います。
クラリネットのオーバーホールとは
まず、わかっていそうで実はわかっていないかもしれない「クラリネットのオーバーホール」について、確認していきましょう。
普段の調整や修理と大きく違うのは、全てを分解して行うという点です。
そして、パッドの全交換を始め、トーンホールやキーなどを含めた管体の掃除、傷んでいるコルクやバネの交換、キー磨きなどをして、全体のキーバランスを整えてもらうことが、クラリネットのオーバーホールです。
(もちろん、万一割れていた場合なども、きちんと埋めてもらえます)
オーバーホールが必要なのは
- 数年間しまったままにしていた
- 久しぶりにケースを開けたら、管体やパッドがかびていた
- クラリネットを購入してからだいぶ経つが、一度も調整や修理に出していない
など、ごく限られたケースのみで、定期的に調整に出している場合は、都度良い状態に戻してもらっているわけですので、必要ありません。
ですので、「オーバーホールに出す頻度」については、全く出さないでいい方もいますし(私も今使っているB♭クラリネットは出したことがありません)、多くても上記理由による1回か2回くらいではないでしょうか。
クラリネット初めてのオーバーホール
「久しぶりにクラリネットを再開する」などで、オーバーホールが必要そうだな、と思った時に、気になることについてご説明します。
コストはどれくらいかかるのか
「分解して、徹底的に直してもらう」となると、やはりお金もかかってきます。
しかし、あまり大きな声では言えませんが、例えば「8万円」などの見積もりを出されて、詳細が説明されないとしたら、ちょっと考えた方がいいかもしれません。
修理代金はお店や工房によって設定がいろいろありますので、一概には言えませんが、私が先日A管のオーバーホール(カビあり)をお願いした時は、キー磨きを除いて43,000円ほどでした。
それでも、そのお店では「結構かかった方」です。
過去にオーバーホールに出された生徒さんや知人に聞いても、3~4万円の方が多く、ごくたまに「5万円」「6万円」などの方がいらしたな、という感じでしたので、もし見積もりをしてもらって、少しでも疑問があれば、病院ではないですが「セカンドオピニオン」も大切になってきます。
きちんとしたお店・工房であれば、料金表を元に、何にお金がかかるかをきちんと説明してくれます。
時間はどれくらいかかるのか
「全部を分解して修理するなんて、めちゃめちゃ時間がかかりそう…」と思われるかもしれませんが、きちんと仕事をしてくれるお店にお願いすれば、1泊もしくは2泊で仕上げてもらえます。
予約もせず、飛び込みで持っていけば、当然順番が回ってくるのに時間がかかるので「2週間後に取りに来て下さい」などと言われると思いますが、実際に作業をするのは1~2日のはず。
信頼できるお店に予約を入れて、最短時間でオーバーホールしてもらいましょう。
どこに出したらいいのか
これに関しては、営業妨害になってしまうといけないので、あまり細かくは書けませんが、やはりお勧めはクラリネット専門のお店・工房です。
「クラリネット担当の人がいるお店」「クラリネットを直せる人がいるお店」ではありませんので、お間違いなく。
失敗されることはあるのか
オーバーホールして下さる方はプロですので、「失敗」ということはないはずです。
しかし、自分の気に入らない仕上がりになることや、職人さんによって上手い下手があることは否めません。
それを「失敗」と思うかどうかは、個人個人の感じ方によりますが、せっかくお金と時間をかけてオーバーホールをするわけですから、「出して良かった!」と思えるお店に出したいですね。
お友達やお知り合いがお世話になって、満足したお店が一番良いわけですが、「周りにそんな人いない…」という場合は、インターネットなどで徹底的に調べましょう。
東京クラリネット教室にご連絡いただければ、私のお勧めのお店をいくつかお伝えすることもできますので、心配な時はぜひお問い合わせ下さい。
専門店でのキー磨き
オーバーホールの内容の中にあった「キー磨き」。
私がお世話になっているザ・クラリネットショップでオーバーホールをお願いすると、キー磨き込みと、キー磨きを除いた場合の料金設定があります。
「お金がもったいないし、そんなのシルバーポリッシュで磨けばいいんでしょ?」と思われるかもしれませんが、私達が簡単に手に入れられる銀磨きの製品には、かなりの確率で研磨剤が入っています。
研磨剤というのは、使えば一時的にきれいになりますが、要は汚れごと表面を削っているので、使いすぎればメッキがどんどん薄くなってしまいます。
一方、専門店でキー磨きをお願いすると、削るわけではなく、変色を化学反応させて戻すので、キーのメッキが薄くなることはなく、また、新品のような輝きを、取り戻すことができます。
こちらは、お店で売っていた中古のクラリネットですが、お店に持ち込まれた時点では、全体がかなり黒ずんでいたので、オーバーホールと同時にキー磨きをしたとのこと。
実際に目にしましたが、黒くなっていたとは信じられないくらい、本当にピカピカでした。
全てを分解して修理するオーバーホールだからこそやってもらえる、キー磨き。
見えないところも、もちろんきれいにしてもらえます。
せっかくオーバーホールをするのであれば、一緒にお願いしてはいかがでしょうか。
きれいな楽器だと、ますますやる気が起きますよ。
気になったらお店に持ち込んでみよう
自分の楽器をオーバーホールするべきか迷った時は、まずお店に持っていってみましょう。
良心的なお店であれば、「オーバーホールをしなくても大丈夫」「別々に修理するよりも、オーバーホールの価格の方が安価なので、そちらでやりましょう」など、きちんと説明をしてくれます。
自分のクラリネットが良い状態になれば、やる気も出て、練習もはかどります。
オーバーホール後は、定期的に調整に出して、その良い状態を維持するように努めて下さいね。