吹奏楽曲でクラリネットの高音を自由に吹くための準備

新年度・新学期も、あっという間に半月以上が経ちました。
小・中・高などの部活やクラブでクラリネットを吹いている方は、進級に伴って、今までよりも難しいことを求められるパートを任されたり、高い音の演奏が必要になることがあると思います。
しばらくは、新入部員や新入団員の勧誘があったり、吹き方を教えたりで、合奏などから少し遠ざかることもあるかと思いますが、来月あたりに一息ついて、いざみんなで合わせよう!という時に、焦らなくていいようにするには、今この時期がとても大切になります。
いろいろ忙しい時ではありますが、夏のコンクールなどに向けて、今のうちにしっかり基礎を安定させておきましょう。
自分の現状を把握しよう
吹奏楽部の指導などに行くこともしばしばありますが、共通して見受けられるのが「自分でやっておかねばならないのに、合奏などに追われてやっていないこと」を抱えている方々。
音を出すことに問題はなくても、ドレミを読むことやリズムに自信がなかったり、#♭を含めた、必要な音の運指がわかっていなかったり、安定した高音を出すことが苦手だったり、ついつい先送りにしてきたことが、意外とあるはずです。
そこに目をつぶってしまっては、「先輩」という立場になった時に、不都合も出てきますし、なにより自分自身演奏を楽しむことができなくなってしまいます。
合奏をやることが少なくなっているこの時期だからこそ、自分の不得手をきちんと見返して、しっかりつぶしておきましょう。
吹奏楽曲でクラリネットの高音を自由に吹くための準備

今回は、先程も挙げた「安定した高音を出すことが苦手」という点に注目して、克服の仕方を考えていきましょう。
音域をなるべく広げておく
吹奏楽曲に関して言えば、高い音と言っても、クラリネットが担当するのは「ミ」くらいまでのことが多いですが、まれに「ファ」や「ソ」も出てくることがあったりします。
そこでまず、ロングトーンや音階練習などで、自分の中の最高音を上げる作業をしましょう。
クラリネットを教えていると、「渡された曲に高い音が出てきてびっくりした」という話をよく聞きますが、それは普段からHigh B♭(高いド)あたりまでしか基礎練習で吹いていないことが原因であることが、多々あります。
いつもHigh B♭(高いド)までしか出してない人にとっては、「ソ」はおろか「ミ」も相当高い音なわけで、見ただけで心がぽっきり折れてしまう、ということになってしまいます。
ですので、先程書いたように「ミまでは、曲に出てくることがしょっちゅうある」と踏まえて、ロングトーンでは少なくとも「ソ」、余裕があれば「ラ」くらいまで出すようにしておくことを、お勧めしています。
例えば、基礎練習で「ソ」まで鳴らしている人にとって、「ミ」は特別高い音ではありませんが、「ミ」までしか出してない人にとっては「曲の中に、自分が出せる最高音が出てくる」というのは一大事で、なかなか恐ろしい状況です。
五線の外の「レ」や「ミ」を、「ひー!高い音だっ!」と思わないようになれることを目標に、ちょっとずつでいいので、最高音を上げるようにしておきましょう。
考えなくても指が動くようにしておく
高音を難なく鳴らせるようになっても、曲の中で使えなくては、意味がありません。
クラリネットにとっての高い音は、鳴らすことが少し難しいことに加え、指が複雑に感じることが、ネックだと思います。
これは実は、複雑に感じるだけで、運指の規則性に関しては下の音域と変わらないのですが、多くの運指で左手人差し指を離すことと、右手小指を押さえることが、「なんでこんなに指が飛び飛びなんだ!」という印象を与え、いざ使おうとするとこんがらがってしまう原因になっています。
「とりあえず指を押さえてみたけど、違っていたから別の指で吹いてみる」というやり方で運指をインプットすることは、結局何が正解なのか自分の指が見失ってしまいますので、確実に覚えられるまでは、一つ一つ確認しながら、丁寧に吹きたい音の指を押さえるようにしましょう。
ロングトーンで正しく押さえられるようになったら、ゆっくり音階で吹いてみたり、半音階をやってみたりと、考えながら指を動かす練習をして、徐々にぱっと押さえるようにしていけば、下の音域でそうであったように、いずれは頭で考えるよりも先に、指が動いてくれるようになってきます。
焦らずに、1音ずつ身につけていきましょう。
高音こそ軽く吹こう

「クラリネットの高い音」というのは、他のパートからも嫌がられがちで、吹くのが嫌という方も多いと思いますが、それは「高い音を鳴らすぞ!」と頑張って吹くことにより、キンキンとした響きのない音になってしまうせいです。
もちろん音の特性として、低音に比べ高音の方が細いのですが、口を締めたり力をかけたりせずに鳴らすクラリネットの高い音は、実はきつい音色ではありません。
音域を広げたり、運指を覚えたりすることと併せて、裏声で歌う時のような軽やかさをイメージしながら、美しい高音を手に入れておきましょう。
これからの合奏が、もっと楽しくなりますよ。