十六分音符とそれより細かい音符の演奏上の注意
関東は、しれっと梅雨入りしましたね。
雨が降っている日ではなく、晴れている中の宣言だったので、なんだかとっても不思議な気分です。
そして早速、ムシムシじめじめがひどいので、クラリネット本体やリードの扱いも少し難しくなってきます。
楽器ケース内の湿度の調整には「モイスレガート」という優れもののシート(吸湿・放湿してくれるシート)もありますので、うまく活用して下さいね。
また、リードは一旦使用したあと(水分を含ませたあと)にしばらく放置してしまうと、カビの危険もありますので、その辺も気をつけていただけたらと思います。
梅雨に入ったということは、吹奏楽コンクールの季節も近づいてきていますね。
もちろん、コンクール以外でも曲を吹く機会はたくさんあり、クラリネットは宿命的に「なんだか黒い楽譜」に出会うこともしょっちゅうです。
この「黒い楽譜」、正しく吹けているでしょうか。
イメージで演奏するのはよそう
黒い楽譜を見ると、反射的に「速い!」「細かい!」と思ってしまっていませんか。
十六分音符がずらーっと並んでるだけでも黒いのに、五連符や六連符、さらに細かければ十三連符(!)なんて出てくることもまれにありますが、当然ながらこれらの速さ(細かさ)は、曲の速度に左右されます。
もちろんテンポが速い曲であれば、軽く遠い目をしたくなるくらいの難易度ですが、ゆったりした曲にももちろん連符の類は出てくるわけで、その場合は「わーっ!」と吹いてはいけません。
そして意外に感じるかもしれませんが、速い曲の連符を、必要以上に速く吹いてしまっているという方も、実はレッスンでよく目にします。
どちらも「黒い=速い」のイメージのせいですね。
楽譜から受ける印象で、本来求められているものから外れてしまわないよう、冷静に楽譜と向き合いましょう。
十六分音符とそれより細かい音符の演奏上の注意
先程お話したように、十六分音符と、さらに細かい音符を演奏する際に、「線がいっぱいある音符は速い!」と思い込んでしまってはいけません。(もちろん、実際に速いこともあります)
まずは、練習するにあたり、
- 音符が連なっている(2拍以上続いている)時は、拍のあたまを意識する
- 2で割れるものは割ってはめる(4分の〇拍子の場合)
ことをしましょう。
これは、どこにどう音がはまるかの整理の作業です。
ともすると、細かい音が続いていると、わちゃっと勢いで吹いてしまいがちですが、それではきれいに聞こえませんし、周囲とも合いません。
「小節に収まればいい」のではなく「拍単位(できれば八分音符単位)」に、細分化して収めることを第一に考えましょう。
四分音符、または八分音符で手を叩きながら、どれくらいの速度ではまるものなのか歌って確認することも、とても効果的です。
これをすることで、「速い曲で、連符を吹き始めたはいいけど拍に収まりきらなかった」「ゆっくりの曲なのに、連符だけやたら速い」という、どちらの事態も避けられます。
特に、テンポが遅い曲の連符を、すごい勢いで演奏してしまうと、当然ながら次の拍のあたまが前に来てしまうので、拍子感が崩れてしまい、その後がなし崩し的に詰まってしまったり、間延びしてしまう原因になります。
レッスンで、私が「これくらいの速さですよ」と吹いてみると、「え、そんなに遅いの!」とびっくりされる方が多いのは、「連符は速い」の刷り込みがなせるわざですね。
適切な動き方を掴んで、「連符嫌だなぁ…」から脱しましょう。
余裕のある演奏を目指そう
細かい音符が苦手だと思っているほとんどの方は、自身の吹き方によって、さらにそれが増長されていることが多くあります。
焦ってしまって、暴走気味になり、収拾がつかなくなってしまうのです。
気持ちに余裕があれば、どんな速さの曲でも連符を確実にはめられるようになっていきますので、その曲のテンポに合った演奏ができるように、普段から十六分音符~三十二分音符あたりを、その時に思いついた速度で手を叩きながら「タタタタ…」と歌ったりしておきましょう。
自分の中に細かい音符の基準を作っておくことで、曲の中での対応力が確実に上がっていきますよ。