バスクラリネットを任された時の心得
まだ梅雨も明けていないというのに、ここのところの暑さはひどいですね。
特に今日は、今年初の約37℃ということで、立ってるだけでも暑いし、息苦しいし…と、真夏が恐ろしくなるほどでした。
レッスンにいらっしゃる生徒さん達も、スタジオに着くなり皆さん「暑かった…」と言葉を失うような状況です。
今のスタジオは、レッスンの15分前から待合室に入っていただけますので、早めに来て、呼吸を整えてからレッスンに臨んでいただくことができます。
もちろん待っている間に水分補給も可能ですので、涼みながらレッスンの準備をしていただけたらと思います。(お食事の類は我慢して下さいね)
さて最近、「部活でバスクラになった」「次の本番はバスクラで出ることになりそう」という方が増えてきました。
基本的にはB♭クラリネットが大きくなっただけなので、運指などは難しくないのですが、とはいえ、メロディー楽器であるB♭管とは役割が異なりますので、バスクラリネットを吹くにあたっての心構えをきちんとしておきましょう。
B♭クラとバスクラの違い
B♭クラリネットからバスクラリネットに持ち替えた時に、難なく吹きこなせる方と、「(一切)音が出ない」という方に二分されます。
大小が違うだけで、同じ楽器なのに、不思議だと思いますが、これはマウスピースの形・大きさの違いによるものです。
音が出ない方というのは、B♭クラリネットと同じようにマウスピースをくわえてしまっているために、バスクラリネットを鳴らすことができません。
B♭管のアンブシュア(口のくわえ方)は、下唇と下の歯が非常に大切で、リードに圧をかける必要があります。
一方バスクラリネットは、どちらかと言うと下はゆるめで、上の歯に押し当てるようにくわえないと、リードがうまく振動してくれません。(あくまで「どちらかと言うと」です)
音自体を鳴らすことができない場合は、下の歯の当て方をゆるめてみましょう。
息が入るようになって、音が鳴るはずです。
また、楽器の組み立ての点でも、B♭クラリネットとバスクラリネットでは違いがあります。
上管と下管のジョイント部分を組み立てる時に、押さえるキーも違いますし、バスクラリネットは上管とネック・下管とベルにも連結がありますので(楽器によってない場合もあります)、自分が使っている楽器をちゃんと見て、適切な取り扱いをしましょう。
「組み立てられてるからいいでしょー」と、適当に扱っていると、修理が必要になってしまうこともありますよ。
バスクラリネットを任された時の心得
バスクラリネットは、B♭クラリネットの仲間なので、吹奏楽などで「じゃあ次からバスクラやって」と、先生や先輩・指揮者に気軽に言われることが多いと思いますが、最初に書いたように役割は全く違いますので、「楽譜が簡単そうでいいかも」もしくは「つまらなそうだなー」なんて思っていてはいけません。
一番大切な役目は、クラリネットパートを始めとした、木管パートをしっかり支えるということです。
ですので、音量のバランスを常に気にしていなくてはいけません。
強い音量が求められている時はもちろん、「ピアノって書いてあるから」と弱々しく吹いてしまっては、支えることなどできませんね。
元々の音量が、B♭クラリネットより大きいのは確かなのですが、よほどの大編成でない限り、バスクラリネットは何本もいないはずです。
ということは、1人対数人~十数人になりますので、ピアノと書かれていようが支えるだけの音量で吹かねばなりません。
バスクラリネットが適切な音量の範囲で太く鳴っていると、B♭クラリネットの人達はとても吹きやすくなりますので、「音量のピラミッドの下部を担当している」と意識して演奏するようにしましょう。
また、吹奏楽であれば、バスクラリネットはテューバの音の芯という役割もあります。
テューバは音が低い分、輪郭の大きな音になるので、ともするとぼやけてしまうことがあるのですが、バスクラリネットやバリトンサックスが、はっきりと演奏していると、テューバの音もクリアに聞こえるようになるのです。(もちろん同じ動きをしている場合ですが)
コントラバスがいる場合も、同じような相乗効果があります。
バスクラリネットをやる時には、「合奏全体を支える」という気持ちを持って演奏するようにしましょう。
低音の楽器の楽しさをぜひ感じて
バスクラリネットの楽譜はB♭管に比べると音数も少なく、メロディーを任されることも少ないので、おもしろくなく感じる方も多いかもしれません。
しかし、みんなの吹きやすさに大きく関わるパートですし、バスクラならではのやりがいがたくさんあります。
楽譜のシンプルさに反して難しい部分もありますが、楽しさを見出して、生き生きと演奏して下さいね。