東京クラリネット教室
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クラリネット急に音が出なくなる原因

座って演奏する生徒

すっかり秋ですね。

急に寒くなりましたし、雨が続くこともあったりして大変ですが、自身の体調も、クラリネットやリードの調子も、良い状態を維持できるように過ごしていきましょう。

日々レッスンをしていると、「急に音が出なくなってしまう」という状況に遭遇することがあります。

「さっきまで出てたのに…!」と思うと、焦ってしまいますが、意外と単純なところに理由があったりしますので、急な事態に慌てなくて済むように、原因をしっかり知っておきましょう。

音が出なくなった…!の原因とは

「クラリネットの音が出ない、ってどういうこと?」と思われるかもしれませんが、少なからず皆さんが体験していることだと思います。

主な原因として考えられるのは

です。

自身の問題(吹き方・指)と、使っているものの問題(リード・リガチャー・楽器)、どちらも考えられる、ということになりますね。

自身の演奏の仕方の問題である場合

座って演奏する生徒

吹き方

吹き方が原因の場合、本人の意思とは裏腹に音が出なくなっている場合が、ほとんどです。

楽器を始めたばかりの時、特に低音で、息を入れても入れても音が全く出ない、という経験はありませんでしたか?
実はこれは、楽器に息を入れているつもりにも関わらず、体から全く息が出ていないのです。

この原因の厄介なところは、脳の錯覚である点です。

脳は、「何かを頑張っている時は、めちゃめちゃ息を出している」と認識するらしいのですが、実際には息は止まってしまっています。

例えば重い荷物を持ち上げる時に「ンッ!」と息が止まりますね。
この時、脳は「息を出してる!」と思っているそうです。

恐ろしい現象ですね。

これが、クラリネットを吹いている時にも起きると、「こんなに頑張っているのに、なんで音が出ないの!!」という状況に陥り、抜け出せなくなります。

音が低くなってくれば、当然使う指も増えてくるため、知らず知らず楽器を握ってしまい、力も入りますし、ますます体は「すごく頑張ってます!」という状態になるため、息は止まり、クラリネットに息は入らなくなり、音が全く出なくなってしまうのです。

ふさげない

クラリネットのトーンホール(指穴)は、フルートやサックスのようにカバーがついていませんね。
それにより、的確に穴をふさぐことができないと、音は出なくなってしまいます。

特に、左手薬指は唯一リングがついておらず、かつ、弱い指のため、どうしてもずれやすくなります。

そしてクラリネットは、楽器の下方に向かうにしたがって、穴のサイズは大きくなっていきますので、右手の薬指が担当しているトーンホールは、もっとも大きな穴が開いています。

右手薬指も弱いですし、トーンホールをふさぎきれない、というのは、よく目にする状況です。

指に力が入っていると、よりずれやすくなってしまいますので、「トーンホールを確実に押さえたい!」と力を入れることは、逆効果になります。

もう一点、レジスターキーを使う時に、左手親指のトーンホールに隙間ができてしまうような押さえ方になってしまうこともあります。

レジスターキーの押さえ方が良くない左手親指

この写真は、レジスターキーのみを押さえているので、少し違いますが、このような親指の使い方をしてしまうと、トーンホールから指が浮いてしまうことに繋がります。

トーンホールを確実に押さえながら、レジスターキーも押さえられる指の使い方を身につけましょう。

余計なところを押さえている

また、ここまで「指がずれて穴がふさげない」というお話をしましたが、逆に「押さえてはいけないキーを押さえてしまっている」という場合もあります。
いずれも、「開いていてはいけないところが開いている」ことが原因ですが、ちょっと状態が違います。

多いのは、両手ともに人差し指。
トリルキーや「ソ♯/ラ♭」のキーにうっかり力をかけてしまい、ほんの少し浮いてしまうことがあるのです。

特に、左手の「ソ♯/ラ♭」のキーは、レジスターキーを押さえる時に親指と人差し指にきゅっと力が入り、押さえているつもりがないのに、なかなかの高確率でキーが下がってしまうことがあります。

クラリネット上管のアップ

こちらのキーですね。

キーに常に触れておくことは、スムーズな運指のために大切ですが、力をかけてしまっては駄目です。

伸ばしている音がぷつぷつと途切れてしまったり、レジスターの練習で上の音に上がった時に「キー」と鳴ったりすることも、このキーが原因のことが考えられますので、親指の動かし方とともに、余分な力を入れてしまわないように気をつけましょう。

使っているものの問題の場合

リード・リガチャー

リードには寿命があります。

完全に音が出なくなることは、ほぼないですが、ずっと使っていたリードの鳴りが急に悪くなった時は、寿命である可能性が考えられます。

また、「リガチャーがきちんと締まっていない」「リガチャーが歪んでいる」など、ちょっとしたことで、いきなりリードがずれてしまうこともあります。

「リードがきちんとついていないと音が出ない、なんて当たり前じゃん!」と思われるかもしれませんが、結構あることなのです。

さっきまで普通に吹いていたのに、音が出なくなるとびっくりしてしまいますが、リードがずれてないか、確認してみましょう。
慌ててくわえた時など、起こりやすいですよ。

楽器

楽器のせいで突然音が鳴らなくなったとしたら、それは残念ながら調整・修理が必要なレベルです。

私は、ある日急に、とっても静かにバネが折れたことがあります。
別にキーをいじっていたわけでもないのに、です。

この時は、たまたま上管を手にした時に、見た目の違和感があったため気づきましたが、吹いている最中にも、充分に起こり得ることで、その場合は異常にも気づかないかもしれません。

他にも、急な故障に見舞われることもある、という可能性を頭に入れておいた方がいいですね。

今までもお話してきたかと思いますが、クラリネット吹きにはストイックな方が多いので「もののせいなわけがない!自分に問題があるはず…」と思い込んでしまいやすいのですが、吹き方でも指でもなく、リードもちゃんとついている、周囲の人に吹いてもらっても、やっぱり音が鳴らない、となったら、いよいよ楽器のせいでしょう。

速やかに、楽器屋さんに連絡を入れて下さいね。

状況を見極めて対処しよう

演奏の合間に笑顔の生徒

ついさっきまで普通に吹いていたのに、いきなり音が出なくなってしまったら、軽くパニックを起こしてしまうと思いますが、そこは落ち着いて対応しましょう。

まずは、自分の問題なのか、楽器やリードのせいなのかを判断して、自分が原因だなと思ったら、リラックスして吹くようにして下さいね。

焦って無理に吹くと、ますますドツボにはまってしまいます。
どうしても抜け出せなくなった時は、長めに休憩を取ったり、その日は練習を切り上げて、気分を切り替えるようにしましょう。

「なんであんなに音が出なかったんだろう…」と不思議になるくらい、すっと抜け出せる時が必ず来ますよ。



この記事を書いた人

吉祥寺教室
中村 珠美 先生

この記事を書いた人

のべ10,000人以上の生徒を指導。 笑いの絶えない楽しいレッスンで、あなたのクラリネットスキルを次のステージへと導きますよ! ごはん大好き、お酒も大好き、ミスチル大好き。


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