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クラリネットで可憐に吹こう『春の歌』

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楽器を吹こうとして構えたものの満面の笑顔の生徒

もう5月だというのに、昨日は肌寒かったですね。
かと思えば、「もう夏だっけ…」という暑さの日も。

この時期は、爽やかで過ごしやすいはずなのに、なんだか年中体調管理が難しいですね。

そういえば、ドイツに友人が住んでいるので、スマートフォンのワールドタイムを開くとドイツ時間がわかるように設定しているのですが、今日何気なく見たら、あちらはサマータイムが始まっていました。(調べてみたら、3月31日からだそう)

ついこの前夏時間が終わったばかりな気がしていたので、時の流れに衝撃を受けましたが、よくよく考えたらもうすぐ今年も半分終わるんですもんね。

ということは、東京クラリネット教室の夏の発表会も、刻々と近づいてきています。

季節がタイトルに入っている曲は、演奏のタイミングがちょっと難しいですが(そんなことは気にしない、という手もあります)、今回は当教室の生徒さんに密かな人気の『春の歌』の演奏方法を考えていきましょう。

『春の歌』の原曲はピアノ曲

メンデルスゾーン作曲の『春の歌』は、「無言歌集」という、ピアノのために書かれた6曲×8巻(全48曲)の小品集の中の1曲です。

その48曲の中でも、一番有名と言ってもいいくらいの『春の歌』ですが、このタイトルはメンデルスゾーンが名づけたのではなく、楽譜の出版社が曲想などからつけた題名だとか。(なんとなくショックな私…)

実はこの曲は、私が小6の時に初めて吹いたソロ曲なので思い入れもあり、生徒さんが「吹きたいんですけど」と言って下さると、こっそりにやにやしています。

先程書いた通り、原曲はピアノ曲ですが、「クラリネット用に書かれた曲なのではなかろうか」というくらい、クラリネットの音色にも合っていますので、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の首席奏者であるアンドレアス・オッテンザマーさんも、コンサートで演奏されたりしていますね。

メンデルスゾーン本人の命名ではないとは言え、タイトル通り穏やかな春の情景が浮かぶような美しい曲ですので、ポイントを押さえて気持ち良く演奏しましょう。

クラリネットで可憐に吹こう『春の歌』

座って演奏する生徒

「春」と聞いて、思い浮かぶイメージや風景は、人それぞれだと思いますが、重苦しかったり、暗い色合いだったりする方はほとんどいらっしゃらないかと思います。

事あるごとに、「曲から感じ取った情景・色・明るさなどを頭の中に想像しながらその曲を吹くと、音楽に深みが出る」ということはお伝えしていますが、今回の曲は特に、「春」という言葉や曲から受けた印象を、鮮明に頭の中に描くことができるかが重要になります。

この曲は、途中で春の嵐がやってくることもなく、全編を通して、抑揚はあるものの、ほほえみたくなるような穏やかさを持った曲ですので

という点を意識して演奏すると、「春らしさ」を表現できます。

特に下から上への跳躍では、下の音をしっかり鳴らして、その勢い(というとやや語弊がありますが)で上の音へ進むようにすると(地声から裏声に切り替えるようなイメージ)、上がった音が飛び出すことなく、自然に進んでいけます。

曲の最後のhigh B♭への跳躍も、チューニングの「ド」をピアニシモよりも少し息を入れて吹くことで、上がりやすさが増して、きれいに鳴らすことができます。

また、運指上重要なのが右手中指の「ファ♯」の替え指です。

何回も「ファ」→「ファ♯」・「ファ♯」→「ファ」の進行が出てきますが、そのたびに人差し指と中指をさっと切り替える、というのは、当然スラーもかかりませんし、間に音が入る可能性も高くなります。

前後に「ファ」がある「ファ♯」は、右手人差し指と薬指(細いキー)を使うようにしましょう。

とてもなめらかに演奏することができますので、この曲以外でも、いつでも使えるようにしていきたいですね。

ちなみに、「クラリネット名曲31選」の楽譜だと、途中2ヶ所に「opt.tacet」の表記がありますが、これは「オプションとして休んでもいいですよ」という指示になります。

この部分は、ピアノがメロディーを弾いていますし、直後にもう一度同じ旋律が出てくることと、疲労度を考えて(ここで休まないと、八分休符より長い休符が一切ありません)、ピアノにお任せした方が良いと思います。

もちろん「4小節ずつ表情を変えて吹きたい!」ということでも構いませんので、お好みに合わせて下さいね。

春のひだまりを感じる温かい演奏を

座って演奏する生徒

『春の歌』の最初の音は、クラリネットにとって鳴らしやすい「ミ」の音です。

この音をどのように鳴らせるかが、曲全体の雰囲気を左右する、と言っていいくらい、重要な鍵を握っていますので、明るくのびやかに、クリアな音で出られるように、繰り返し練習しましょう。

そしてうららかな春の日が思い浮かぶような(花粉のことは一旦忘れましょう)、温かみのある、心地良い演奏を目指して下さいね。

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