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『愛の挨拶』をクラリネットで吹いてみよう

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座って演奏する生徒

今年は開花が遅く、入学式に合わせたかのように満開を迎えた桜。
素敵な記念写真を撮ることができた新入生も多かったことと思います。

しかし、毎年そうですが、満開になった途端、狙ったかのように花散らしの雨(強い風とともに)が降るのはなぜなのでしょうか。

満開後はずっと曇りだったのもあり、「青空をバックに、咲き誇る桜の写真を撮ろう!」と思ってたのですが、あっさり機会を逃してしまいました。

また来年…ですね。

そんなわけで、新年度が始まりました。

気持ちも新たに、クラリネット演奏により精力的に取り組もう!と思われている方も、多い季節だと思います。

基礎をコツコツ反復することももちろん大切ですが、ソロ曲に取り組むことで、基礎練習の成果を確かめることができますので、ぜひ「大好きな曲」や「気になっていたあの曲」に挑戦してみましょう。

今回は、中学生から大人まで、年代問わず「吹いてみたい!」という方がいらっしゃる、『愛の挨拶』を取り上げます。

『愛の挨拶』は愛のプレゼント!

曲名は知らなくても、きっと多くの人が耳にしたことがある『愛の挨拶』を作曲したのは、イギリスの作曲家エドワード・エルガーです。

これまた有名な『威風堂々第1番』を書いたのもエルガーなのですが、『愛の挨拶』と『威風堂々』では全然曲調が違うので、同一人物の作品とは、にわかに信じがたいかもしれませんね。

厳かな雰囲気の『威風堂々第1番』に対し、『愛の挨拶』はまるで生きる喜びに満ち溢れたような曲。

それもそのはずで、エルガーが婚約者・アリスに対して、婚約の記念として贈った曲だそうなので、きっと世界がキラキラと輝いて見えている中書かれたのだと思います。

この曲は、ピアノソロ・ヴァイオリンとピアノ・小編成の管弦楽など、エルガー自身の手によって、いろいろな版が残されていますが、婚約者に捧げたものはヴァイオリンとピアノだったそうで、もしかしたらヴァイオリニストでもあったエルガーと、エルガーのピアノの生徒であったアリスとのデュオ(人生の。)を想定して作られたのかもしれませんね。

そんな『愛の挨拶』誕生の背景を想像しながら、優美に演奏していきましょう。

『愛の挨拶』をクラリネットで吹いてみよう

座って演奏する生徒

元々はヴァイオリンとピアノのための『愛の挨拶』ですが、「ホ長調(♯4つ)」→「ト長調(♯1つ)」→「ホ長調」という、♯系で書かれています。

調にはそれぞれの性格があって、♯系の方が明るい響きになるので、あえてその調で書かれているのでしょう。

しかし、これをクラリネットで吹くとなると、♯6つと♯3つになってしまいますので、難易度が高くて音楽的に吹くどころではなくなってしまうかもしれません。

ヴァイオリンで弾く時ですら、「音程が取りにくいから」という理由で「ニ長調(♯2つ)」→「ヘ長調(♭1つ)」で演奏されることも多いそうなので、無理に原曲の調にこだわることはありません。

私が使用している楽譜は、「変ロ長調(クラリネットだと調号なし)」→「変ニ長調(クラリネットだと♭3つ)」→「変ロ長調」なので、すっかり♭系になっていて、明るさよりも、ちょっとしっとりした響きになっていますが、これはこれで美しいと思います。

自分が心地良いと思う調であったり、吹きやすい調であったり、好みに合わせて楽譜を選んでみましょう。

主題

『愛の挨拶』と言えば、という有名なメロディー部です。
4小節+4小節の8小節のフレーズ×2の16小節のフレーズが、2回繰り返されます。

伴奏の軽やかなシンコペーションにうまく乗って進んでいきましょう。

跳躍を美しく吹くには、下の音にしっかりと息を入れること(強く吹こうとするわけではありません)と、押さえておけるところは、右手の指を押さえたままにしておいて、下の音から上の音に戻る時に、一度に押さえる指を減らすと、なめらかに元の音に戻ることができます。

また、4小節のフレーズの後半(3・4小節目)に来る四分音符(同じ音3つ)をどのように吹くかが、この部分の鍵になります。

「クレッシェンド・デクレッシェンドがついているから」というだけでなく、「同じ音を同じように吹かない(1つ目よりも2つ目、2つ目よりも3つ目に気持ちを込める)」ということを心がけましょう。

4小節フレーズの3回目の四分音符は、音が一番高くなりますので、そこが山になります。

しかし、上記の通り、16小節のフレーズの繰り返しですので、1回目にあまり盛り上げすぎてしまうと、2回目はさらに吹き込まないといけなくなってしまいます。

やりすぎは、この曲の優雅さから離れてしまいますので、「2回目にこれくらいやりたいな」というのを決めて、1回目の吹き方を決めるといいですね。

中間部

ここで転調します。
♯が減ったり、♭が増えたりしますので、落ち着いた雰囲気に変わります。

強弱の指示も、前よりも弱くなりますので、少し控えめな、やや憂いを帯びたイメージを持つといいでしょう。

最初のメロディーにもあった「四分音符・八分音符2つ」のリズムで下行・上行を繰り返して、この曲で一番高い音まで到達します。
なめらかに、また、自然にその音に向かっていきましょう。

その後、少しだけ緊張感を感じる不穏な響きに変わりますが、フェルマータを経て、元の調に戻ります。

フェルマータは、四分音符1拍分をプラスするくらいの長さが自然に聞こえますが、あまりかっちり数えると拍子が変わったように聞こえてしまうので、あくまでも伸ばす長さは目安として捉えましょう。

元の調に戻ったあとの8小節も、先程までと同じリズム・フレーズが繰り返されます。

やっていることは同じながら、調が明るい方向に変化しているので、微笑みながら安堵しているような、柔らかさを感じながら演奏すると、自然に再現部へとつなげることができます。

再現部~Coda(終結部)

曲の冒頭のメロディーが戻ってきます。

「Tempo Ⅰ」の指示があるかと思いますが、これはテンポを曲の最初と同じにするだけではなく、演奏全体を同じにする、という意味もありますので、さも曲の吹き出しを初めて吹いているかのように演奏しましょう。

8小節+3小節まで(厳密に言うと4小節目の始めの音まで)は、曲の最初と同じメロディーですが、その後新しい展開が始まります。

明確に「Coda」と書かれているわけではありませんが、ここからは曲の終結部にあたります。

「アウフタクト(八分音符2つ・もしくは付点八分音符と十六分音符)・シンコペーション(最後だけ四分音符と八分音符2つ)・八分音符2つ」という音型が、少し高い音のフレーズと低い音のフレーズで2回繰り返されますが、これは女性と男性の会話を表していると考えるのが自然ですので、そのような切り替えの意識を持って吹くようにしましょう。

独り言ぶつぶつ、になってはいけません。

またその後は、今までに出てこなかった八分音符の連続で、跳躍しながらこの曲のクライマックスに向かっていきます。

先程まで会話していた2人が、お互いの想いを確認し、未来に向けて手を取り合っていく様子にも感じられますので、しっかり盛り上げていきましょう。

と言っても、きつい音・力強い音は禁物です。

この部分のフェルマータも、中間部と同じか少し長いくらいにすると、曲の流れを止めることがなくて良いと思います。

フェルマータのあとは、穏やかに曲の終わりに向かっていきますが、morendoが待っていますので、一気にピアノ・ピアニッシモに音量を落としてしまうと、最後の音を伸ばしている間に、消えかねません。

どちらかと言うと、音量よりも柔らかさで、ピアノやピアニッシモを表現するようにしましょう。

最後の伸ばしは、どこか遠くにふわっと飛んでいくようなイメージで吹けると、美しく終わることができ、奏者も聴いている人も幸せな余韻を感じることができます。

「よく知らない」で諦めたらもったいない!

笑顔で楽譜を指差す生徒

多くの人が思っているよりも(知っている部分よりも)、実は長い『愛の挨拶』。

特に、中間部以降は「こんなところがあったんだ」という感じかもしれません。

しかし、中間部があるからこそ、有名なメロディーがより引き立つので、「なんか長い…」「知らないところがある」などの理由で、この曲の演奏を諦めてしまうのは、もったいないことです。

しかも楽譜を見て長く感じても、演奏時間は2分30秒ほど。

見た目よりもぎゅっと凝縮された曲ですので、エルガーのアリスへの愛を、感じるままに表現してみて下さいね。

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