東京クラリネット教室第13回発表会
2024年8月11日、東京クラリネット教室13回発表会が行われました。
三連休の中日かつ、お盆休みの始まりと重なりましたが、27名の方にご出演いただき、多くのお客様も足を運んで下さいました。
アンサンブルのみの発表会では使ったことがある会場ですが、ソロの演奏はしたことがないホールでの開催で、しかも前回は「近づいてアンサンブルしては駄目」と言われていた期間でしたので、離れてのセッティングとなったことも影響したのか、「隣の音が聞こえなかった」と恐ろしいことをおっしゃっていた出演者もいらっしゃって、どんな音響なのか見当がつかずドキドキ。
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吹きやすいホールであることを願いつつ、今回も楽しく演奏していただけたらと思います。
発表会に出るということ
東京クラリネット教室では、発表会に出ていただくことは強制ではありません。
それは私(講師)が、過去にたくさん「発表会が嫌でピアノ(もしくはその他の楽器)をやめたんです」という話を聞いてきたから。
「習っている以上は、人前で弾きましょう(吹きましょう)」という、先生や教室側の言い分もとてもよくわかるのですが、生徒さんみんながみんなそれを望んでいるわけではないわけで、「楽器は好きだけど、発表会が嫌すぎる」とレッスンに通うことはもとより、楽しく練習していた楽器自体をやめてしまうなんて、もったいなさすぎると思うのです。
そんなわけで、「出たい方だけ出て下さいね」という方針の当教室ですが、一度出て下さった方は不思議とまたチャレンジしたくなる、という、「実は魅惑の場」が東京クラリネット教室の発表会なのです。
それはやはり、短期の具体的な目標を置くことで、自分の演奏を見直して、上達につなげることができるからでしょう。
「いつまでに仕上げねばならない」と締め切りを意識することは、「これは得意」「こんなところが苦手」と気づけたり、自分に合った練習方法を考えることにつながったり、ゴールに向けてのスケジュールを考えたり、練習・演奏に具体性を持たせることができますので、漠然とやりたい曲を吹いているよりも、成長や上達のスピードが格段に上がるわけです。
また、発表会で吹いたことにより、「本番であそこがうまくいかなかったから、次はもっと上手に吹きたい!」という気持ちも生まれ、今後のモチベーションにもなります。
あとは「お客さんの前で吹くのは嫌だったけど、出てみたらなんか楽しかったから、また出よう!」とも思っていただけるようなので、「発表会は気になっているけど、勇気が出なくて…」という方は、ぜひ講師にご相談下さいね。
ピアノ伴奏のソロはちょっと、という方も、講師とのクラリネット二重奏という出演の仕方もありますよ!
第一部
今回も、ソロ→アンサンブルのリハーサルが終わったら、少しの休憩を経て開演です。
まずはソロ演奏から。
我が心のジョージア(H.カーマイケル)
ソロやアンサンブルで、13回全ての発表会にご出演いただいている生徒さんです。
今回は、以前から継続的に取り組まれているジャンルであるジャズ曲の中から、演奏曲を選ばれました。
ただでさえおしゃれに聴かせるのが難しい楽曲な上、曲の後半では音域も高くなり、安定して音を鳴らすのに苦労されていましたが、本番では思い切ってのびのびと演奏されましたね。
立ち居振る舞いも堂々とされていて、発表会のオープニングを素敵に飾って下さいました。
次回もぜひ、ソロもアンサンブルもご出演下さいね。
タイスの瞑想曲(J.E.F.マスネ)
すっかり発表会の常連さんとなった生徒さんです。
前回からは、アンサンブルでもご出演いただいています。
今回も、お得意のゆったりした楽曲を選ばれました。
「高音なのに、フォルテでの演奏を指示されている」という箇所が多く、曲の雰囲気を変えずに高音をのびやかに吹くことは、とても難しかったと思いますが、本番では練習の成果をしっかり発揮されました。
歌い込む曲も極めていただきたいですが、いつか速い曲にも挑戦して下さいね。
無伴奏チェロ組曲第1番より プレリュード(J.S.バッハ)
第9回以来のソロに挑戦して下さった生徒さんは、その時と同じく、アルトクラリネットを演奏されました。
今回の曲はピアノ伴奏がないので、好きに吹けるように思えますが、その分曲を作り上げるのが全て自分の力な上、本来はブレスの必要のないチェロが、ずっと十六分音符を奏でる曲ですので、「息つぎをしても壊れない雰囲気作り」というのも大変だったと思います。
自分の音しか聞こえない空間は、不安もあったとは思いますが、聴いている人が一つ一つの音に引き込まれる演奏となりました。
ぜひまた、アルトクラリネットのソロを聴かせて下さいね。
風笛~あすかのテーマ~(大島 ミチル)
こちらの生徒さんも、第9回発表会以来のソロ演奏となりました。
邦人作曲家の曲をよくご存知で、「おぉ、こんな曲もあるのか」といつも教えていただいています。
他の生徒さん達もそうですが、練習時間の確保が大変な中、コツコツと練習を重ねられ、本番では曲の世界観が存分に出た演奏となりました。
次回は、過去に取り組まれた二重奏+ピアノの曲に、パートを変えて挑戦されるとのこと。
時間を経て、成長された演奏を楽しみにしています。
アシタカとサン(久石 譲)
発表会初出演の大学生です。
早い段階で「発表会、出たいです!」と表明してくれていましたが、学校がかなりお忙しそうで、発表会が近くなってから詰めてレッスンに通われました。
まるでショートムービーのような、具体的なイメージやストーリーを考えて演奏に取り組まれ、本番ではそれを充分に表現した演奏となりましたね。
この数ヶ月で一段と成長されましたので、次の発表会もぜひ出ていただけたらと思います。
What A Wonderful World(G.ダグラス・G.D.ワイス)
前回に引き続き、2回目のご出演の生徒さんです。
第12回発表会でもジャズに挑戦され、「課題が見えたので、それの克服を」ということで、今回も有名なジャズナンバーに取り組まれました。
曲の途中から、ちょっと大変になるアレンジの楽譜を使われていたので、その部分の練習は苦労されたのではないかと思いますが、前回よりもしっかり音も鳴り、経験を生かした演奏となりましたね。
今後もお忙しいとは思いますが、次回のご出演も楽しみにしています。
人生のメリーゴーランド(久石 譲)
こちらも、2回目のご出演の生徒さんです。
実は第12回発表会にも出演予定でしたが、直前に指を怪我されてしまい、前回は残念ながら不参加となりました。
今回は、その時に取り組まれていた曲とはガラッと雰囲気を変え、ジャズアレンジのジブリ作品を演奏されました。
オリジナルと同じ4分の3拍子ながら、たまに8分の6拍子のようになったり、中間部のソロをかっこよく吹くのが大変だったりしましたが、本番ではびしっと吹き上げられましたね。
吹奏楽で吹かれる機会もある方なので、曲がたくさんで大変かと思いますが、またソロにも挑戦なさって下さい。
アイノカタチ(GReeeen)
バンドアンサンブルに所属されながら、ソロにも精力的に挑戦されている生徒さんです。
今回は、お得意の歌ものの中でも、思い入れのある曲を選ばれました。
歌の曲でしたので、楽譜の書き換えから始まり、たくさんの調号に苦しまされながらの練習となりましたが、本番では気持ちがたっぷりこもった演奏となりましたね。
その思いは、聴いて下さっていた方々にも、しっかり届いたと思います。
少しゆっくりしたら、また次の選曲に入って下さいね。
春の歌(J.L.F.メンデルスゾーン B.)
発表会初出演の生徒さんです。
「発表会に出るならこの曲!」と早々に曲を決めて、練習に励まれてきました。
リハーサルでは、思っていた以上に緊張されたそうでしたが、その分本番では落ち着いて楽しく演奏できたとのことで、外は蒸し蒸しと暑い日でしたが、春の暖かい日差しに包まれているような、柔らかな音楽を奏でられました。
ご自身も、気持ち良く演奏されたのではないでしょうか。
次の発表会の参加表明もいただいていますので、選曲も楽しみです。
クラリネットとピアノのための幻想的小品(C.ニールセン)
こちらの生徒さんも、発表会初出演です。
春には新しい楽器を購入され、寄せ集めの練習会やアンサンブルに参加されたりもしていて、教室のレッスン以外にも精力的に活動されている方なので、発表会で演奏される曲がなかなか決まりませんでしたが、「これにします!」と決定されてからの追い込みはすごかったですね。
人前に立たれるのには慣れていらっしゃるので、初の発表会ということを感じさせない演奏となりました。
まだまだたくさん吹きたい曲がおありのご様子ですので、どんどん取り組まれて下さいね。
クラリネットソナタより 第1楽章(C.C.サン=サーンス)
発表会トリをお願いした方も、発表会初出演の生徒さんです。
取り組みやすいとはいえ、音大生も演奏するような難易度の曲を選ばれ、次回発表会で演奏予定の第4楽章と並行しての練習となりました。
音楽的な演奏も、ブレスの問題も、いろいろと大変だったと思いますが、レッスンのたびに素敵な音楽となっていき、本番では練習されてきた成果をしっかり発揮されました。
今回仕上げた音楽を生かしつつ、第4楽章も素敵に演奏なさって下さいね。
第二部
第二部は、アンサンブルです。
歌の翼に(J.L.F.メンデルスゾーン B.)
カノン(J.パッヘルベル)
まずは初級者アンサンブルです。
ご出演予定だった方のご都合がつかなくなってしまい、大学生の生徒さんに助っ人をお願いしての出演となりました。
少し難しい8分の6拍子の曲は、なかなかぴしっと縦の線を揃えるのが大変でしたが、本番では3人のまとまりを感じさせる仕上がりとなりました。
本番はアクシデントもありましたが、「終わり良ければ全て良し」ということで、きちんと収められるようになったところに安定感を感じられましたね。
次回はまたメンバーの入れ替わりがありそうですが、さらなる成長を期待しています。
スカボロー・フェア(イギリス民謡)
ウィーン、我が夢の街(R.ジーツィンスキー)
中級者アンサンブル最初のクラスは、チームぞうさんです。
2曲とも聴いていて楽しい曲なのですが、その分各パートの楽譜も、合わせるのもちょっと難しく、数回の自主練習を経て、本番に臨まれました。
クラスではなかったような、そこそこ大きめのずれが発生してしまい、演奏している皆さんは焦ったのではないかと思いますが、それでも誰一人演奏をやめることなく、しっかり曲の転換点まで吹かれたのは、これまでの積み重ねのおかげですね。
今回見えた課題を克服して、普段の仲の良さを演奏に反映できるようにしていって下さいね。
A列車で行こう(W.T.B.ストレイホーン)
ようこそジャパリパークへ(大石 昌良)
中級者アンサンブル2番目は、チームくらげです。
一時期は8名で発表会に出られていたので、人数的には寂しくなってしまいましたが、お一人ずつがしっかり音を鳴らされて、四重奏以上に感じる、迫力のある演奏を聴かせて下さいました。
発表会前日にクラスがあったことも関係してか、本番ではノリノリのテンポとなり、今までにない「高速A列車」になっていましたが、それはそれでかっこよかったですね。
次の曲との雰囲気の切り替えも、ばっちりだったと思います。
8人での本番は、当分拝見できなさそうですが、次回も楽しみにしています。
Take Five(P.デスモンド)
「千と千尋の神隠し」メドレー(久石 譲・木村 弓)
中級者アンサンブル最後は、チームかるがもです。
バスクラリネットのお手伝いをお願いして、今回は五重奏に取り組まれました。
変拍子でノリノリのジャズ曲と、映画の世界観を堪能できるメドレーということで、気持ちの切り替えも練習も大変だったかと思いますが、きっちり吹き分けされた本番となりましたね。
まだ発足して1年経っていないとは思えないくらい、皆さんの吹き方がぴったり揃っていて、毎月のクラスでは驚きの連続でした。
次の曲の相談も進まれているようなので、どんな曲を選ばれるのか楽しみにしています。
吹奏楽のための第一組曲(G.ホルスト)
アンサンブルクラス最後の演奏は、上級者アンサンブルです。
吹奏楽曲のクラリネット五重奏バージョンを、6名で演奏されました。
過去にやった吹奏楽曲もそうでしたが、5パートで吹奏楽の全パートをカバーせねばならないので、吹きっぱなしになりがちですし、「今、自分が吹いているのは何のパートなのか」という把握も大変です。
とはいえ、吹奏楽で吹いたことがある方も多く、「あ、ここのメロディーって〇〇が担当だよね」という意識をしながら、五重奏とは思えない、厚みのある演奏となりました。
なんと次回は8名ご参加の予定ですので、圧巻の演奏を期待しています。
講師演奏
生徒さんのソロ・アンサンブル演奏のあとは、講師演奏です。
今回も、齋藤 利理子さんに伴奏をお願いして、W.A.モーツァルト作曲『クラリネット協奏曲 イ長調 K.622より 第2楽章』を演奏しました。
前回は第1楽章を吹きましたので、その続きの楽章です。
第1楽章と同じく、A管(あーかん)での演奏となります。
基本的に、協奏曲(ソロ楽器+管弦楽)は3楽章形式で書かれているものが多いのですが、2楽章は「緩徐楽章」と呼ばれ、ゆっくりと奏する曲がほとんどです。
そんなわけで、前回の1楽章からは打って変わって、ゆったりと、音楽表現に集中して演奏することができました。
A管は、普段皆さんが使っているB♭管よりも、柔らかい音色がしますので、とても気持ち良く吹くことができますし、お客様にも心地良い音楽が伝わったのではないかと思います。
ちなみにホールは、思った以上によく響きました!
気になったら出てみよう!
今回の発表会は、初めてのご出演の方が4名もいらっしゃいました。
前回は客席にいらした方が、ステージに乗って下さっているのは、ありがたく、嬉しい限りです。
しかも皆さん、終わると同時に次回発表会のことを考えて下さっていて、やっぱり東京クラリネット教室の発表会は「魅惑の場」のようです。
先に書いたように、強制することは絶対にしたくありませんが、ちょっとでも発表会出演が気になった方は、ぜひ思いきって踏み出してみて下さいね。
次回発表会でも、たくさんの方に新しい体験をしていただけることを、願っています。
もちろん、何回も出て下さっている方のご出演も、お待ちしております!
ご出演の皆様、ご来場いただいた皆様、スタッフの方々、今回もありがとうございました。
これからもよろしくお願い致します。