曲の持つ良さや雰囲気を最大限引き出す演奏とは

2024年5月25日、今年5回目の中級者アンサンブル・チームくらげが開催されました。
「もう夏なのでは?」と思いたくなるくらい、初夏の爽やかさを味わえない日々ですが、かと思うとガクッと気温が下がることもあり(湿度は高いですが)、体も気持ちも服装も、全てが悩ましいですね。
せめて、クーラーの効いた部屋で、好きなクラリネットを思いきり吹いて、外の不快さを少しでも忘れていきましょう。
本日も発表会ご出演予定のメンバーが揃いましたので、B♭クラリネット3名・バスクラリネット1名の計4名でアンサンブルしていきます。
演奏曲は、B.ストレイホーン作曲『A列車で行こう』と大石昌良作曲『ようこそジャパリパークへ』です。
個人個人が正しく吹く、のその先へ
別にこのクラスに限ったことではないのですが、3月から取り組み始めた曲の合わせも3回目。
ということは、今月を除くと発表会まで残り3回ということになります。
以前にもお話したことがありますが、曲というのは本番に吹けていればいいわけではなく、いち早く譜読み状態や、自分の演奏に没頭してしまう状況から脱却し、音楽的な精度を高めていかねばなりません。
割ける時間の半分を過ぎた来月以降は、より一層気合いを入れていただき、「いかにアンサンブルをするか」「どんな音楽を作り出していきたいのか」を追求していきましょう。
曲の持つ良さや雰囲気を最大限引き出す演奏とは

今回、チームくらげの皆さんが練習されている曲は、ジャズの定番と、ポップなアニメソングです。
「その曲らしさ」を出すための要素はいろいろありますが、
- 強弱
- アーティキュレーション
- テンポ
の3点はしっかり押さえておきたいところです。
強弱・アーティキュレーションの意味は、例えば「強い」「短く」など、端的に教えられたと思いますが、「どう強いのか」「どう短いのか」は曲に合わせて考え、変化させねばなりません。
かわいらしい曲調の楽曲を演奏するのに、力強いフォルテはいりませんし、スタッカートが書いてあるからただ軽やかに吹けばいいかと言ったらそうではなく、鋭さが伴っていないといけない、ということもあるでしょう。
この部分を考えずに、強弱やアーティキュレーションを画一的に解釈してしまうと、「楽譜通り吹いているはずなのに、何かが違う」ということが起きてしまいます。
また、テンポについてですが、特に、速い曲を演奏する場合「指が回らないから、遅く吹こう」と指定テンポより下げて吹くことがあるかと思います。(遅い曲を「苦しいから速めにやろうか」もありますね)
ぐちゃぐちゃになってしまうよりは、余裕を持って吹けるテンポにして良いのですが、下げてもかっこ悪くならない速さ以上に落とさないということは、必ず全員が意識をしておくようにしましょう。
作曲家が求めた速度というのは、当然その曲が魅力的に聞こえる速さですので、そこを自分達の都合で大きく変えることは極力割けるべきです。
ただ、ごくたまに「何を思ってこのテンポ指示にしたのだろうか…」というくらい、編曲した人が原曲の雰囲気を壊しかねないテンポの設定をしていることもあるので、その点は要注意です。
書いてある速度を鵜呑みにした結果、吹いている方も聴いている方も「???」になる、ということも起きかねませんので、編曲ものに関しては、元の曲(原曲)を第一に、曲を作っていくようにしましょう。
速い曲にしても、遅い曲にしても、「吹きやすいテンポ」にどうしても落ち着きがちですが、曲の良さを引き出す速さとは?という点に着目して仕上げていくことを、常に念頭に置いておいて下さいね。
ウキウキ演奏してそれを伝えよう

個人的な感想では、仕上げるのは『A列車で行こう』よりも『ようこそジャパリパークへ』の方が細かい部分が難しいなと感じています。
とはいえ、どちらの曲もウキウキした雰囲気の曲ですので、それをお客様に伝えるためには、奏者自身が楽しく演奏する必要があります。
最初にお話したように、それぞれが楽譜と一生懸命向き合っているばかりでは、曲を作るどころではなく、みんなで楽しさを出すことからはかけ離れてしまいます。
周囲に気を回せるようにすること、そして一緒に音楽を作り上げること、聴いてくれるお客様にウキウキ楽しい気持ちになってもらえるようにすることを意識して、本番に向けて曲を仕上げていきましょう。