安定感のある演奏のために着目する点とは

本日は、上級者アンサンブルが行われました。
こちらのクラスで、年内のアンサンブルは全て終了です。
東京クラリネット教室には、4つのアンサンブルクラスがありますが、いずれのクラスも活動休止はあったものの、無事に吹き納めができ、ほっと一安心です。
今日は、お二方お休みでしたので、B♭クラリネット4名と、バスクラリネットの方の代わりに講師が入ってのアンサンブルです。
私がこのクラスでバスクラリネットを吹くのは久しぶりなので、邪魔をしないようにと妙な緊張感がありますが、一緒に頑張っていきたいと思います。
演奏曲は、A.リード作曲『エル・カミーノ・レアル』です。
「気にすること」と「気にしすぎること」の違い
今日やるべきことを確認するためと、曲を思い出す作業のために、まずは通しです。
今回はバスクラリネットがいつもの方と違う、ということもあったと思いますが、1回目の通しではふわふわしたような、パーツがきちっとはまりきっていないような、「悪くはないけど、締まった演奏ではない」仕上がりになってしまいました。
これは、バスクラリネットの様子に、大いに気を配っていただいたのが、主な要因だと思います。
アンサンブル含め、「人と合わせる」ということの経験値が上がってくると、自分の演奏以外の部分に気を回せるようになってきます。
また、他のパートの動きやタイミングを推し量ったりすることもできるようになり、それはそれでアンサンブルの精度が上がることにつながりますので、とても良いことです。
しかし、適度に「気にする」のは大切ですが、「気にしすぎる」方向に進んでしまうと、以前お話したように「探る」ことにつながり、演奏がばらける原因になりかねません。
あくまで「気にする」に留めること、過剰に周囲の様子をキャッチしてしまわないことを、常に心がけましょう。
安定感のある演奏のために着目する点とは

今回挑戦している『エル・カミーノ・レアル』は、長め(約10分)の作品で、テンポの変化が多く指示されています。
そこで、「確実なテンポチェンジ」「一定のテンポのキープ」が、求められてきます。
以前から、このクラスでは特にテンポに着目して練習を重ねてきましたが、どんな時にテンポがぶれてしまうのかを知っておくことで、安定性のある演奏をすることができるようになります。
テンポチェンジに関しては、テンポが変化する部分の入りからのフレーズを繰り返し練習することで、「その部分を吹く時は、そのテンポが当たり前」という状態に持っていきましょう。
これは、根気よくやることでのみ、身につきます。
また、テンポのキープについては、先に書いたように「ぶれる原因」を探り、意図的にそれを避けるようにしていくことが大切です。
- 裏から出る場合の休符や、タイが長い
- 細かい音符をさっと終わらせたくて速くなる
- 細かい音符を丁寧に吹こうとして遅くなる
- スラーで美しく吹こうとすると間延びする
- スタッカートが詰まる
- 頭打ち・後打ちをしていると、詰まっていく・延びていく
- ブレスが間に合わない
など、奏者による「吹きぐせ」が、テンポに影響を与えます。
目立つ動きであればなおさら、周囲は引っ張られてしまいますので、まずは自分がどんな演奏の仕方をしているか、くせがあるのかを、録音などを活用して、しっかり把握して下さい。
自分のくせがわかったら、メトロノームを使って、伸び縮みのない演奏を目指していきましょう。
新しいセッティングに挑戦

アンサンブルクラスでは、基本的に講師は皆さんの正面の位置にいるのですが、今回はそこでバスクラリネットを吹いていたので、メンバーの方々から「バスクラがそこにいると吹きやすいです」という声が上がりました。
昨今、以前のアンサンブルセッティングでは考えられなかったくらい、奏者同士が離れて座っていますし、確かに真ん中にバスクラリネットがいれば、拠り所が場の中心にいるので、みんなが吹きやすく、まとまりやすいかもしれません。
ということで、最後の通し&録音では、五重奏の真ん中にバスクラリネットをセッティングしてみました。
終わってみると、皆さん口々に「やっぱり吹きやすい!」とのこと。
アンサンブルの場合、定型のセッティングというのはありますが、奏者が吹きやすいのが一番ですので、本番はこの座り方で臨むことになりました。
今後も、「どうやったら、みんなが演奏しやすいか」という点に注目して、セッティングを決めていくと良いかもしれませんね。
来年もよろしくお願い致します!
そんなわけで、全クラス無事に2021年のアンサンブルが終了しました。
皆様ご多忙な中、毎回のご参加ありがとうございました。
来年もますます楽しく、かっこいい演奏を目指してアンサンブルしていきましょう!
寒くなってきましたので、お体にはどうぞお気をつけて、皆様良いお年をお迎え下さいね。