三連符の吹き分けで曲に幅を持たせよう
2023年10月21日、今年第10回目の中級者アンサンブル・チームぞうさんが開催されました。
気づけば10月も下旬。
早すぎやしませんか…
そして、いつになく、発表会と発表会の間隔が短い気がしますが、今できることをしっかりやって、約4ヶ月後には素敵な演奏をお客様に聴いていただきましょう。
こちらのクラスは、全員揃われることが多いので、今日もB♭クラリネット3名と、バスクラリネット1名の計4名で合わせていきます。
演奏曲は、グランドマン作曲『Caprice for Clarinets』と、賛美歌『アメイジング・グレイス』です。
本番での演奏曲順をどうするか
今日、楽器を出して準備している時に、「演奏順ってどうしますか?」とご質問がありました。
本日のクラスの進め方のお尋ねかと思ったのですが、そうではなく、発表会でどちらを先にやるか、というご相談でした。
今まで、どのアンサンブルクラスも、複数曲やる場合は「ゆっくりな曲」→「速い曲」という流れがほとんど。
なぜかと言うと、華々しく終われると聴き映えもしますし、吹いている方も聴いている方も「終わった!」という感じが出るので、本番向きなのです。
ですので、いつもは「曲順はこうですよね~」と、選択肢も特になく決まるのですが、今回わざわざ聞かれた理由は、「速い方の曲がオープニングっぽい曲だから」ということだと思います。
「オープニングっぽい曲」と言われても、ピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、吹奏楽で定期演奏会の経験者なら「あー、そういうことね!」と合点が行く曲調なのです。
もちろんそういう場合は、定番の「ゆっくり」→「速い」という演奏順にこだわる必要はありません。
ばしっと演奏を始めて、しっとり終わるのもありです。
「どういう順番で演奏すると吹きやすいか」
「どちらを先にすると、聴いていて楽しそうか」
などの着眼点で、演奏曲順を決めていけるといいですね。
三連符の吹き分けで曲に幅を持たせよう
今取り組んでいる『アメイジング・グレイス』は、八分音符と三連符が絶妙に使い分けられていて、遅いテンポの中にも推進力となるリズムがちりばめてあり、美しく、流れのある曲です。
八分音符は、拍をたっぷり使って、遅れないぎりぎりのタイミングで動くことで、たっぷりと歌い込むことができます。
一方、三連符は円運動を意識して、どちらかと言うと(あくまでどちらかと言うと)さらっと進むように吹くと、先述の推進力となりますので、あまり引っ張らない方がいいでしょう。
しかし今回の編曲は、後半で少しテンポが上がり、さらに9小節後には「Blues feel」という指示が出てきます。
ここからは、メロディーの一部を除いて、基本的に動く時は三連符がベースになっているのですが、こちらの三連符はあっさりと吹かずに、拍をフルに使って吹くようにします。
先程までの三連符を文字にした時に、「タタタ」というイメージだとすると、後半からは「タァタァタァ」と吹く感じです。(拍からはみ出しては駄目ですよ!)
そうすることにより、テンポよりもゆったりと聞こえる、雰囲気のある音楽にすることができます。
曲によってリズムの吹き方や拍のはめ方を使い分けることはもちろん、同じ楽曲内でも吹き方に差をつけることで、「ただ単なるテンポの違い」「曲調を変える指示があるだけ」という状態から脱し、幅のある音楽へとレベルアップさせることができるようになります。
「この曲のこの音符の吹き方はこう」と決めてしまわずに、テンポや曲調に関して何らかの指示があったら「ここではどう吹くべきなのか」を常に考えるくせをつけていきましょう。
吹き方の引き出しを増やしておく
今回お伝えした三連符もそうですが、八分音符や十六分音符も、拍に対してどのようにはめるか、ということで、曲の表情は大きく変わります。
テンポよりも遅く聞かせたり、逆に速いように聞かせることもできるのです。
ただ普段から、例えば音階練習の時などに、いろいろなはめ方を練習していないと、曲でいきなりやることは難しくなります。
メトロノームをかけて、「1拍をどう使うか」という練習をコツコツ積み重ねておきましょう。
その上で、今吹いている曲はどうやって吹くのが相応しいのか考え、豊かな表現につなげていけるようにしたいものです。
次回のアンサンブルまでに、各自で研究して、それを曲に取り入れるようにしておいて下さいね。