テンポが揺らぎやすいリズムを押さえよう

本日は、上級者アンサンブルが行われました。
発表会に向け、とても順調に仕上がってきている上級者アンサンブル。
「いつ合わせても、素晴らしい出来!」を目指して、発表会までの残りあと2回、頑張っていきましょう。
本日は、お一人いらっしゃれなくなってしまったため、B♭クラリネット4名とバスクラリネットの計5名で合わせていきます。
演奏曲は、引き続きJ.バーンズ作曲『アルヴァマー序曲』です。
作曲家の求める適切なテンポで演奏しよう
以前から、こちらの曲の演奏テンポについては、後ろ向きにならないようにお話してきました。
吹く側・聴く側双方の心地良いテンポでの演奏が大切なのですが、先日「日本人がやたら速くアルヴァマー序曲を演奏するから、作曲者のバーンズが、ブチ切れたことがあるらしいですよ」と、個人レッスンにいらしている生徒さんからお聞きしました。
確かに、動画サイトで見ると、たまにびっくりするくらい速く演奏している団体がありますね。
「作曲者であるバーンズが怒った」というのは、とてもおもしろい話だなと思ったのですが、やはり曲には適切なテンポというものがあります。
速すぎても遅すぎても、作曲者が求めているものからかけ離れてしまうのです。
テンポの指示があれば、それに極力近く演奏することが、曲を作った人の意図に沿った仕上がりになりますので、自分たちの都合や好みだけで曲の速さを決めてしまわないように、気をつけてアンサンブルしていきましょう。
テンポが揺らぎやすいリズムを押さえよう

アルヴァマー序曲は、急-緩-急の作りになっています。
いずれの部分にも、テンポの揺れが起きやすいリズム・音の並びがありますが、現在の上級者アンサンブルは、ゆったりした中間部は、比較的安定して吹けていますので、前半と後半の速い部分で、特に揺らぎやすいリズムを押さえておきましょう。
以前、歯切れの良さを表現するために重要となったリズムが、今回もカギとなります。
tokyo-clarinet-school.com

1stから3rdまでの伴奏の後半(2拍目の裏から)のリズムに注目しましょう。
まず、タイというのは、ついつい間延びしがちです。
短くなってしまうことよりも、「タイだから伸ばさなきゃ」の意識が強くなるからです。
さらに、タイが次の拍のあたまにかけてかかっていると、裏拍のタイミングをなんとなく後ろに持っていきたくなってしまって、その分タイが伸びます。
また、3拍目の裏からの八分音符3つの並びは、前のタイのせいで少しテンポ感が崩れ、引っ張ってしまって遅くなります。
次の小節に入れば、また元のテンポには戻れるのですが、結局後半でもたつく…という繰り返しになると、「明らかに遅くなったり速くなったり(元に戻ったり)してるな」と、聴いている人達に感じられることはなくとも、不安定感は否めません。
タイに惑わされることなく、きちんと心の中で八分音符を刻み続けられるようにしていきましょう。
なお、八分音符の並びというのは、場合によっては、詰まってしまって速くなることも多いリズムです。
「じゃあどうしたらいいの!」と思われるかもしれませんが、「この音の並びは遅く(速く)なる」と、どちらかに偏るのではなく、「このリズムは安定的に吹くのが難しい」と捉え、揺らいでしまうことがないように、気をつけながら練習するようにしていきましょう。
最初から最後まで同じテンポ感で

今日も要所を押さえた合わせを進めたところ、最後の通しでは曲として一段と締まった仕上がりとなりました。
長めの曲なので、どうしても終盤で失速というか、落ち着いてしまいがちなのですが、曲の始めのテンポ感を維持したまま吹き切れると、最後の一音が終わったあとに、思わず大きな拍手をしたくなるくらい、かっこいい演奏となります。
発表会の日は、リハーサルのあと、しばらく時間が空いて、音出しができないままの本番となります。
どうやったら瞬時にこの曲のモードに入れるか、また、それをキープするにはどうしたらいいかを、個人練習の時から考えておいて下さい。
中間部を挟むため、ずっと一定のテンポで吹けばいいというわけではない点も難しいので、その部分にも気をつけながら練習するようにして下さいね。