クラアンで『アイネクライネナハトムジーク』
2024年11月25日、今年11回目の初級者アンサンブルが行われました。
「なんだか急に冷え込み始めたな」と思っていましたが、もう11月も終わりなので、当然と言えば当然ですね。
前回のレッスン日誌に「咳だけひどい風邪が流行っている」と書いたのですが、その後発熱でお休みされる生徒さんが続出していて、そちらも油断ならないなぁと思っているところです。
乾燥もひどいですし、日中も去ることながら、寝る時の環境にも気を配りたいですね。(私は念のためマスクをして寝ています)
初級者アンサンブルは、しばらくお休みされている方もいらっしゃるものの、9月に新しい方が加わって下さり、現在はB♭クラリネット3名(内1名お手伝い)でアンサンブルに取り組まれています。
そして、現在の演奏曲は、W.A.モーツァルト作曲『アイネクライネナハトムジーク第2・3楽章』です。
寒い時期のクラリネットの吹き始め
だんだんと、寒さだけではなく湿度も下がり始め、木でできた楽器にはちょっと怖い時期がやってきました。
特に、今年クラリネットを購入された方は、初めての冬ですので、割れには相当気をつけて楽器を扱いましょう。
水分(湿度)と、急な温度変化には要注意です!
部活などで吹いている方は、「ケースから出したばかりのクラリネットが冷え冷えで、音程が全然合わないから、必死でフーフー息を入れる」なんてことをすることがあると思いますが(私もやってました)、これは実はご法度です。
- 冷えた楽器に温かい息を入れる→管内の結露(=水分・湿度)
- 管体は冷えたままで、呼気により内部のみ温まる→急な温度変化
というわけで、やってはいけないことしかありませんね。
管内が水分を含み、急に温まると、内部の木は膨張しようとしますが、冷えたままの楽器表面はその膨張についていけず、ピシッとヒビが入ってしまうのです。
「今までもやってたけど大丈夫だったから、そんなの大げさでしょ」と思われるかもしれませんが、それは運が良かっただけです。
寒い時期にクラリネットを吹く時は、早めに楽器を出して室温に馴染ませておいたり、手などで時間をかけて表面を温めておくことが大切です。
また、吹き始めは5分くらいで一度スワブを通すようにして、管内に余分な水分が付着した状態を長く維持しないようにしましょう。
クラアンで『アイネクライネナハトムジーク』
モーツァルト作曲の『アイネクライネナハトムジーク』は、弦楽器のための曲です。
弦楽合奏でも演奏されますが、弦楽四重奏(もしくは五重奏)で耳にする機会が多いかもしれませんね。
第1楽章の旋律はあまりに有名なので、曲名を知らなくても「聴いたことある!」という方も多い曲ではないかと思います。
弦楽器の曲をクラリネット(管楽器)で演奏する時に、一番難しい(と私が考えている)のが「音の余韻」です。
クラリネットは、息を吹き入れて奏でますので、息を入れるのをやめれば当然音は切れます。
ブレスに気を取られ、前の音が「ぶちっ」とぶっきらぼうになってしまうのは、それが原因ですね。
一方弦楽器は、胴(楽器の本体部分)が空洞になっていますので、弾くのをやめても胴の中で音が響き、余韻が残ります。
この「音を鳴らし終わったあとの余韻」というのを、クラリネットで表現するには、相当気を遣わねばなりません。
実際には音がなくなってしまうのを、奏法でカバーする必要があるからです。
やり方を失敗すれば、音を押してるようにも聞こえてしまいますし、全く逆の抜きすぎているような演奏にもなってしまいます。
しっかりと「どんな音を鳴らしたいか」「どんなふうに聴かせたいか」のイメージを持って、理想に近づけるように、吹きやすい音で何度も繰り返し練習しましょう。
弦楽器の音を聴いて、聞こえ方を確認するのも大事なことです。
また、今やっている『アイネクライネナハトムジーク』は、同じ八分音符・同じ四分音符でも、第2楽章と第3楽章で求められる音の形や向きが違いますので、そこにもきちんと意識を向けましょう。
第2楽章は置きに行くような音(音の方向が下向き)、第3楽章は少し弾むような音(上向き)です。
当然、同じように演奏していては、吹き分けはできませんので、その違いを表現する練習も必要になってきます。
文章で書くと、とても漠然としていて申し訳ないのですが、弦楽器で奏される『アイネクライネナハトムジーク』の音源を何度も聴いたり、その他の曲でも弦楽器の音に触れてみて、どのように表現すると良いかを考えていきましょう。
もちろん強弱も大切
音楽の表現には、音の形やアーティキュレーションも大切ですが、強弱をつけることも忘れてはいけません。
今回使用している楽譜(クラリネット三重奏版)には、第2楽章・第3楽章ともに、フォルテとピアノしか出てきません。(ほんの少しだけ、クレッシェンド・デクレッシェンドはあります)
「あ、次はフォルテだな」と思って、なんとなくその前から強弱が変わることをほのめかしてしまったり、ピアノの指示の前に弱くなってしまったり、ということは絶対に避けましょう。
「subito」の指示はありませんが、ぱっと切り換えられると、メリハリが生まれて、楽しく聞こえるようになります。
また、「ピアノのボリュームが上がっただけのフォルテ」「フォルテのボリュームが下がっただけのピアノ」なのか、「強弱によって、曲の雰囲気が変わっている」なのかは、譜面上は見た目が同じ強弱記号から、読み取らねばなりません。
それは、1曲の中で変化することもあります。
「こっちのフォルテは力強いけど、この先は音楽のスケールの変化だけ」というようは場合も多々ありますので、楽譜とにらめっこしながら音源を聴いたりして、楽譜からの読み取り・聞き取りと、表現の違いを音に出せるように していきましょう。
シンプルゆえの難しさ
モーツァルトの楽曲は、一見簡単そうに見えます。
あまり細かい音がないことに加え、十六分音符などが出てきても、跳躍というよりは順次進行(お隣の音に進む)の方が多いからです。
しかしこの「簡単ぽく見える」が曲者。
ちょこっと出だしや縦の線がずれたり、よろっとしてしまうと、相当目立って、ごまかしが利かないのです。
まずは各自がメトロノームできっちり練習して、合わせる時はブレスの速さやタイミング、テンポの共有をして、ずれのない演奏を目指していきましょう。
その上で、音楽的な仕上げも考えていけるといいですね。
素敵なモーツァルト、楽しみにしています。