アンサンブルでの聴く力と聴かない力の使い分け
本日は、上級者アンサンブルが行われました。
前回お休みされた方からは、「すごく久しぶりですね~!」なんて声も聞かれましたが、実は発表会からは1ヶ月半しか経っていません。
いつもは「一瞬で時間が経つな…」と思うことだらけですが、人の感覚って不思議なものですね。
今日は、お一人ご都合がつきませんでしたので、B♭クラリネット4名・バスクラリネット1名の計5名で合わせていきます。(通しの時だけ講師も参加)
演奏する曲は、マスカーニ作曲『「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲』と、M.ルグラン作曲『キャラバンの到着』です。
弦楽器の奏法を曲の作り方の参考にしてみよう
ここ最近、よく「弦楽器の弓の使い方を、意識して見たことはありますか?」と、曲に取り組んでいる方のレッスンでお聞きすることがあります。
弦楽器と言っても、たくさんありますので、ここで言うのはオーケストラにいる弦楽器に限定しますが、常に一定の息を入れ続けて演奏する私達クラリネット奏者に対し、弦楽器の方々は弓を弦に下ろすスピードや、弾く時の弓を動かす速度で、音色や表現に幅を持たせています。
当然、弓に伝える力加減も変わるわけです。
その奏法は、私達が曲を吹く時のイメージに、とても役に立ちますので、ぜひ参考にしましょう。(誰でもいいのではなく、上手な人達の演奏を見て下さいね)
特に、『「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲』に関しては、弦楽器の繊細な弓さばきを想像しながら吹けるかは、仕上がりに大きく影響します。
クラリネットを吹く時は、弱い音も息の速さはキープせねばなりませんので、弓の使い方にならって「ひよひよ~」と息を出しては駄目ですが、イメージを掴むために演奏を見て、自分の吹き方に反映させていきましょう。
アンサンブルでの聴く力と聴かない力の使い分け
今取り組んでいる『キャラバンの到着』は、元々サックス五重奏だった楽譜を、クラリネット五重奏に書き換えて使っているのですが、「五重奏って、もう少し一緒に動く人いるよねぇ?」というくらい、それぞれが独立した役割を担っています。
もちろん、ハモって動くこともあるにはありますが、例えば「練習記号Aは、1stと2ndが同じ動きね」というような単位ではなく、「ここの数拍はこっちのパートと一緒で、この先はあっちと一緒」というように、目まぐるしく移っていくことばかりです。
同じことを吹いているパートの音は聴いて、吹き方を揃える必要は当然ありますが、この曲に関しては聴きすぎも良くなさそうな作りになっていますので、今の段階では、思いきって「聴かない力」も発揮していきましょう。
いずれは全てを把握して、違う動きとの掛け合いも楽しんで曲を作り上げていきますが、現時点でそれをやってしまうと、ただ不安になるだけになってしまいます。
ついさっきまで同じことを吹いていたのに、急に1人になると「え、合ってる?」と思ってしまうのは当たり前ですし、それによって落ちたり(吹けなくなってしまうこと)音が小さくなってしまっては、「他のパートを聴いていない方が良かったのでは」ということになりかねません。
まだまだ曲の仕組み、自分の動きが掴みきれない今は、とにかく自分を信じて、耳を使いすぎずにアンサンブルをしていきましょう。
しかしそれは、あくまでも「今」だけです。
自分が担当しているパートがきちんと吹けるようになってきたら、しっかり「聴く力」を使いましょう。
ただし、今後も「ここで他のパート聴くと、どうしてもわからなくなる」という箇所があった場合には、書いてある音を吹くことが最優先ですので、「聴かない力」も使って構いません。
うまく耳を使い分けていって下さいね。
曲ごとにモードを切り換えて臨もう
「メロディーだと思う方だけ吹いて下さい」ができる、『「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲』のわかりやすい構造に比べ、『キャラバンの到着』は、私も今後どう進めようかと頭を悩ませるくらい、本当にややこしい書かれ方をしています。
また、曲調も全く違いますので、もう一方の曲を引きずったまま吹いてしまうことがないように、個人練習の時からしっかり切り換えることを意識しておいて下さい。(それは前回の発表会の曲もそうでしたが)
来月は、両曲とももっと掘り下げていけるように、スコアを見たり音源を聴いたり、いろいろやっておいて下さいね。