新品のクラリネットを買う時の準備と手順
やっと過ごしやすくなってきたなと思ったら、あっという間に朝晩冷え込んできましたね。
日中はまだまだ日差しがきついので、寒暖差もあり、風邪でのどを痛めていたり、鼻声の生徒さんもちらほら。
また、今年は「秋の花粉症がひどい」という方も多い気がします。
今のところ元気に過ごされている方は、体調のキープに気をつけていただいて、調子があまり良くない方は、早く快復されますように念じています。
さて、そろそろ「新品のクラリネット購入は控えた方がいい季節」に入ってきますが、とはいえ価格が上がり続けている昨今、先送りしたらますます値上がりしてしまうかもしれませんので、購入を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、いわゆる普通の買い物のような気分で、楽器を買いに行ってはいけません。
「高額だから」という理由だけではなく、楽器購入というのは準備や手順が大切になるのです。
新品のクラリネットを買いたい!と思った時に、やるべきことをご説明していきましょう。
「クラリネットを買おう!」と思ったら
「クラリネットを買うぞ」と決意したら、
- 予算
- 新品か中古か
- どこのメーカーのどの型番か
など、いろいろと考えねばならないことがあります。
ある程度決まったら、「じゃあ購入!」となると思いますが、「すみません、楽器欲しいんですけどー」といきなり楽器屋さんに行くことは絶対に避けて下さい。
大きいお店、小さいお店に関わらず、楽器屋さんにも準備が必要なのです。
予約の連絡をすると、良心的なお店であれば、きちんと楽器の調整をしておいてくれますし、在庫の確保、試奏のための時間や場所の確保、担当者の手配などをしてくれます。
洋服やかばんを買うようなノリでクラリネットを買いに行ってはいけません!
もしも、ちゃんと予約して、楽器やマウスピースを選びに来ている方と重なってしまった場合などは、当然待たねばなりませんし、予約して来ている方にもお店の方にも「待たせちゃって申し訳ない…」と気を遣わせてしまうことになります。
さらに、吹かずに買うなんてことは、選択肢にありません。
手ぶらでお店に行くことも、ふら~っと行って「楽器下さい」も、やらないようにして下さいね。
新品のクラリネットを買う時の準備と手順
そうそう簡単に買い換えができるものでもありませんし、クラリネットを買うということは、一大事です。
それ相応の準備をし、自分に合った良い楽器を手に入れるために、やれることをやりましょう。
お店選び
まずは、どこで買うかです。
クラリネットを始め、楽器には継続的なメンテナンスが必要ですので、「売ったら(買ったら)終わり」になりがちなインターネットでの購入は避けるべきです。(試奏してから買う、ということも難しくなります)
また、「親身になってくれる」「腕のいい職人さんがいる」「調整や修理に通いやすい」「調整・修理にかかる時間が短い」という点も大切ですので、自分の希望・要望に応えてくれそうなお店を探しましょう。
予約
先程もお話したように、予約は必須です。
ここ最近は徐々に戻りつつあるようですが、新品の楽器の流通(特にクランポンの上位機種)が滞っていたりして、希望する楽器がお店にない場合もあります。
お互いにちゃんと準備できるように、必ず予約を入れましょう。
購入のための試奏手順
こちらも先述の通り、吹いて選ぶ必要がありますので、「クラリネットを吹ける一式(本体以外)」を持ってお店に行きましょう。
選ぶ時のチェック点としては、マウスピースを選ぶ作業に似ています。
tokyo-clarinet-school.com
ただクラリネット本体に関しては、「第一印象で弾(はじ)いて、もう吹かない」ということはやりません。(と言っても、第一印象で気に入った楽器に決まることが多いですが)
何度でも、納得行くまで吹いて、「これにする!」という楽器を見つけるのですが、その時に特に大切なのが
- 全体の吹きやすさ(息の入りやすさ)
- 音域や音による吹きむらがないか
- 響きのある楽器か
という点です。
吹きむらは、その場で調整してもらうと変化することがあるので、あまりに気になるようだったら、お店の方に相談してみましょう。
この中でも「響きがあるかどうか」というのは、今後のクラリネット演奏が楽しいかや、良い音色を追求することにつながっていきますので、見過ごすことはできません。
ただ、吹いている本人は意外と気づけなかったりするので、できれば音の違いを聴いてくれる方についてきてもらいましょう。
クラリネット吹きのお仲間に付き合ってもらって、吹いてくれている音を客観的に聴くのもいいですね。
私も、生徒さんの楽器選定に行く時は、「私が吹くので、どの音色が好きか聴いていて下さい」と、ご本人に確認していただいています。
なお、もう一つ大事なのが、「吹いていて気持ち良いかどうか」です。
マウスピースやリードでもあるように「吹きやすいけど、好きじゃない」楽器を買ってしまったら、演奏するのになんとなく気が重くなってしまいます。
妥協せず、総合力の高い楽器を見つけ出しましょう。
慣らし
購入後の話になりますが、新品のクラリネットには、慣らし作業が必要です。
購入から1ヶ月ほどは、演奏は毎日30分まで、5分ごとにスワブを通して下さい。
クラリネット本体は、長い時間をかけて乾燥させていますので、急に水分を含んだ息を長時間吹き込んでしまうと、管の内部が膨張し、表面が割れてしまいます。
今の職人さんの技術であれば、見た目ではわからないように直してくれますが、そうは言っても、一度管体が変形したことには変わりなく、完全に元に戻るわけではありません。
大切に育ててあげましょう。
また、エアコンが直接当たる場所での演奏も避けるべきですし、楽器を出してすぐに管体が冷えているからと、急にふーふーと息を入れまくるのも良くありません。(ついやりたくなりますが)
急な湿度や温度の変化に弱い、ということを、常に頭の片隅に置いておいて下さい。
片づける時もきっちり水分を除去してからしまうようにして下さいね。
良いパートナーを見つけるために
とにかく楽器の価格が上がっている今、「この楽器を一生吹いていこう」と決めて購入される方も多いと思います。
自分にとってより良い楽器を、気持ち良く購入するためにも、準備を怠らず、しっかり選んでお気に入りを見つけましょう。
また、先生に習っている時は、まずは先生に相談して下さい。
ちょうど先日、大学時代の友人と会って、楽器購入の話になったのですが、日本のトッププレーヤーに師事していたのに、学生時代に先生に相談せずこっそりクラリネットを買ったことがあり、「先生には怒られるし、くせのある楽器だったからその後大変だった」と嘆いていました。
ぱっとお店に行っての「楽器下さい」も、「(相談しないで)買っちゃいました」も、先を考えると良いことではありません。
ずっとかわいがれるクラリネットを手に入れるために、やれることを全てやって購入するようにして下さいね。