クラリネット指導者が身につけておきたい強み
つい先日まで、真夏のような日差しが照りつけていたのに、急に秋が来てしまい、朝晩は羽織るものがないと肌寒いくらいですね。
ただでさえ、体調管理の難しい季節なのに、インフルエンザも流行っているようで、ますます気の抜けない日々。
しかも、また30℃超えの予報も出ているようです。
クラリネットを楽しく吹くためにも、この秋をどうにか健康に乗り切りましょうね。
さて先日、東京クラリネット教室は第12回発表会が無事に終わりました。
発表会で完全に1人で吹くという生徒さんは、非常にまれだと思いますので、本番がある時には伴奏者という存在が欠かせません。
しかし、この「伴奏者探し」が、我々管楽器奏者にとってはなかなか頭の痛い話。
自分の伴奏者を探すのも大変なのに、発表会の伴奏全てをお願いするとなると、さらにハードルが上がってしまいます。
そこで、今後「クラリネットを個人レッスンで教えていきたい」と思っている方に、身につけていただきたい武器のお話をしておきます。
ソロ演奏を左右する伴奏
専門的にクラリネットを学んでいる(学んできた)方でしたら、よくわかることだと思いますが、私達にとってピアノ伴奏というのは、とても重要なものです。
良い意味で何も考えずにのびのび吹かせてくれる伴奏者もいれば、合わせるためにこちらが気を張っていないといけない方もいます。
勉強している私達ですら、吹きやすい・吹きにくいがあるわけで、生徒さんにとってその差は、私達が感じるよりもさらに大きな違いになります。
今まで練習してきた成果を、発表会で存分に発揮してもらうためにも、伴奏と合わせることで生徒さんの気持ちの負担が増えないようにしていきたいですね。
クラリネット指導者が身につけておきたい強み
過去に所属していた教室で、生徒さんが伴奏の先生にすごく気を遣いながら演奏をしているのを見て以来、発表会では基本的に私が全員の伴奏をしています。(伴奏者を自分で探せる、専門的に学んでいる生徒を除く)
tokyo-clarinet-school.com
自分で言うのもなんですが、これは管楽器を専門に学んできた指導者としては、そこそこめずらしいと思います。
自分で伴奏ができるというのは、生徒さんの演奏がどうにか通るようになったくらいのタイミングから、気が済むまで合わせることができる、という点において、非常に大きなメリットです。
通常、クラリネットを始めとする管楽器教室のレッスンに通っていて、本番がある場合、その楽器の先生はピアノ伴奏はせず、ピアノ専攻で伴奏を専門にやっている知り合いにお願いすることが多いのですが、そうなると本番前に1回・数十分(良くて2回)合わせの時間を取ってもらえる、というやり方になります。
私自身がそもそも「伴奏合わせは質より量!」派なので、このやり方は、あまりピアノと合わせたことがない生徒さんには、なおさら過酷なのではないでしょうか。
自分以外の音が、同時にたくさん聞こえてきて、さらに自分とは違う動きをしている、というのは、動揺するには充分です。
そこで、今後個人レッスンの先生になりたいと考えている管楽器専攻の方々はぜひ、ピアノの技量を上げられるだけ上げておきましょう。
音大の一般入試には、ピアノの試験もありますし、入学してからピアノのレッスンもありますが、部活で管楽器を始めた人は、「ピアノなんてちゃんとやってこなかった…」ということも多く、「入試の課題曲しか弾けない」「試験では、一番簡単な課題曲を選んで弾く」という形で、学生生活を乗り切っている友人もたくさんいました。
もちろん、大学卒業後はピアノ演奏を必要とせず、授業の一つとして受けているだけであれば、全く問題ないことです。
しかしそれは、クラリネットの先生になりたいのであれば、自分のためにも、未来の生徒さんのためにも、よろしくありません。
「クラリネットより、ピアノの方が準備も片づけも楽だから」という理由で、高校時代はピアノばかり弾きまくっていた私ですが(それはそれでどうかと思いますが)、今それは大いに活きています。
当然、ピアノの専門家には勝てない部分も多々ありますが、「自分がその楽器を演奏する奏者だからこその伴奏」ができるのは、個人レッスンを行っている管楽器指導者としてのかなりの強みだと思っています。
「ピアノは苦手…」と避けずに、できるだけのことを、なるべく早いタイミングからやるようにしていきましょう。
伴奏者は音楽を一緒に作る存在
レッスンでたくさん伴奏合わせができることで、生徒さんに「伴奏というのは、カラオケのようなもの」ではなく、「一緒に音楽を作り上げる存在」だと感じてもらうことができます。
そう思ってもらえれば、ソリストの孤独感もなくなりますし(大げさな言い方ですが)、もっと音楽的に深みのある演奏を作っていこうと思ってもらえます。
「いてくれると、なんか吹きやすくて、音楽が作りやすいな」と思ってもらえる伴奏者を目指して、クラリネットだけではなく、ピアノの練習にも励んでいきましょう。