音楽大学入試も差し迫った2018年2月16日(金)、東京クラリネット教室「第2回音大受験のおさらい会」が開催されました。

音大受験生が、本番に近い「知らない場所・知らない人の前」というシチュエーションで演奏するこの会は、普段の練習やレッスンでは気にならなかったちょっとしたことや、本番だからこそ露呈する苦手や悪い点に気づくことができる、貴重な場です。

今回は、前回もお越しいただいたマリンバ奏者と、伴奏ピアニストとして、著名なプロとの演奏や、試験の場を数多く経験されているピアニストに、試験官をお願いしました。

前回の参加者に、新しい受験生も加わり、そちらもまた違った雰囲気に。
全員揃ったところで、詳細を発表です。

前半は1人で会場に入る経験を

今回は、前半と後半で、異なったシチュエーションを体験してもらうことにしました。

受験生の志望校はまちまち。
全員の本番の状況に近づけたいのはやまやまですが、そうもいかないのが現状です。

そこで、前半は1人ずつ控え室へ入り、5分経ったらすぐに演奏会場へ移動。
たった1人で複数の試験官と向き合い、演奏をします。

そう伝えただけで、受験生の間にはピリッとした空気が漂いました。

『待つ時間』の緊張と向き合う

入試では、基本的に受験番号順に演奏することになりますが、今回はもちろん、受験番号などありません。
ですので、こちらの意向が入らないように、くじ引きで順番を決めることにしました。

1番を引いた生徒から、いざ控え室へ移動です。

移動する受験生にも、その場に残される受験生にも、不安と緊張の色が見えますが、このような経験こそおさらい会の最大の意義。
存分に緊張してもらいましょう。

控え室での心構え

控え室に入って音出しできる時間もまた、学校によって異なります。
1人で入れるのか、複数人で入ることになるのか、それもわかりません。

どちらになっても、自分のペースで、自分の音出しができるように、心構えしておきましょう。

特に、他の受験生と一緒に入った場合、周りが気になると思います。

「あの人、上手…」
「自分の方が吹けてるかも!」

そのような感情を持つことは、何もプラスになりません。

今までやってきたことを、試験会場で最大限発揮するために、自分と向き合って丁寧に音出しをしましょう。

心配なところをゆっくり吹いたり、出だしや音の切りをチェックしたり。
ただ闇雲に音を出すのではなく、気を配った音出しをすることで、自分自身落ち着くことができます。

音出しの場でやるべきこと

今回、控え室に移動した生徒には、このように伝えました。

「ドアが閉まった瞬間から5分間です」

入試は、このようにきっちりした時間管理がされます。
そしてこれも、緊張が煽られます。

「5分しかないんだ…!」などとは決して思わず、気になるところ、得意なところを、落ち着いて確認するようにしましょう。

できれば、スワブも通しておきたいですね。

焦って、控え室を出る直前にリードを変えたりするのは危険です。
入試の会場で確認のために音を出すことは、ほぼ無理だからです。

自分を信じて、選んできたリードで臨みましょう。

演奏さえ良ければいいわけではない

音出しの時間が終わったら、本番の会場に移動です。

前半は、名前は言わず、受験番号(ここでは演奏順)のみ試験官に伝えるよう、事前に説明しておきました。
たとえ番号だけだとしても、前回のおさらい会で学んだ通り、笑顔ではっきり言うようにしましょう。

2018年1月14日(日)、東京クラリネット教室「第1回音大受験のおさらい会」が行われました。 このおさらい会では、人前で演奏する機会がない生徒や、演奏経験が少ない生徒が、実技試験の本番さながらの環境で、試験官を目の前に自分の演奏を披露する練習ができます。 受験生達は、入試当日と同様に、知らない場所、知らない人達の前で演奏することとなります。 試験官としてお招きしたのは、音大を卒業し、現役プロとして活躍しているマリンバ奏者とヴァイオリン奏者。 参加者の受験生達は、東京クラ…

もし「試験会場で、吹くべき曲を指定される」ということがあるのであれば、その時もハキハキと返事をして下さい。

そして、今回気になったのが、礼のタイミングです。

入室し、譜面台に楽譜を置いて演奏する曲を開き、キャップを外す。
演奏後、キャップをし、楽譜を閉じる。

それぞれ、その後に礼では遅いです。

前述の流れは、ごく自然にやってしまうことですが、まずは試験官に向かって礼をしましょう。

楽譜を譜面台に置くことは構いません。

まず楽譜だけ置き、試験官と向き合い、礼をする。
その後に楽譜を準備し(演奏するページに付箋を貼っておくといいですよ)、さっとキャップを外して、吹く体制に入れば、「我々の前に立ってから、挨拶もせずに何をしているんだろう」という印象を与えずに済みます。

「そんな些細なことで…」と思われるかもしれませんが、今回の試験官のお二人も「気になる」とおっしゃっていたこと。

しっかりシミュレーションしておきましょう。

また、譜面台がセットされている位置から、「ちょっと斜めに移動したい」など、少し動かしたいと思った時は、絶対に足を使わないようにしましょう。

クラリネットを持っているので、重い譜面台を動かす時に、つい足で押してしまったりすることがあると思います。
私も、コンクールで同じことをしてしまったことがありますが、あとで審査員から「譜面台を足で動かすなんて、言語道断!」との注意を受けたことがあります。

「ガサツな行動をする人は、ガサツな演奏をする」と思われかねません。

演奏前に、余分な、そしてマイナスな印象をわざわざ植えつけてしまわないようにしましょう。

試験会場でも平常心

後半は、前半同様1人5分の音出し後、ロビーに戻り待機、全員の音出しが終わったところで、揃って会場に入室、という形をとりました。

揃って入室する目的は、『控え室での心構え』にも書いたように、他の受験生の出来に惑わされず、自分の力を発揮することです。

あとから聞いたところ、やはり演奏順が遅い生徒は「他の人の演奏に圧倒されてしまった」そう。

「自分は自分、人は人」です。

比べたところで、何も始まりません。
自分と、積み重ねてきた時間を信じて、堂々と吹き切りましょう。

客観的に自分の演奏を受け止める

前回は、試験官の先生に書いていただいた講評を受け取るだけでしたが、今回は面談の時間も設け、より細かく、アドバイスをいただくことができました。

クラリネットに関することや、曲の詳細については、もちろん私からお伝えしましたが、初めて試験曲を聴く方からの、広い視野での講評は、とてもためになったのではないかと思います。

入試では、クラリネットの先生ではない先生がいらっしゃる可能性もあります。

今回言われた客観的なお話を心に留め、ぜひ本番に活かして下さい。

緊張とうまく付き合う

最後に1つ。

もしも試験の日、起きてすぐ・ご飯を食べている時・大学に向かう最中…緊張していると感じたら、そのまま放っておきましょう。

そこで無理に抑えてしまうと、控え室や試験会場で、反動が来ます。

放っておけば、緊張疲れし、本番での極度の緊張状態を回避することができますよ。

落ち着いて、練習の成果を存分に発揮できることを祈っています。


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