東京クラリネット教室のレッスンに通われている生徒さんには、部活や一般の楽団、また当教室のアンサンブルなどで合奏に参加されている方がたくさんいらっしゃいますが、最近よく聞くのが「指が回らない」「ある一定のテンポ以上、速いパッセージが吹けない」ということ。

これは、指の練習で解決できる場合もありますが、もっと根本的な原因が潜んでいる可能性があります。

ついつい速さを追及した指の動かし方にばかり注目してしまいがちですが、今回は、もっと基礎的で大切なことを見直してみましょう。

楽器を握っていませんか

ご存知の通り、クラリネットは右手親指で楽器を支えて吹きます。

意外と皆さん気にしていないのですが、この右手親指が、他の4本の指の動きをアシストもするし、妨げもします。

手の構造上、親指はものを握ったり掴んだりするため、他の指と違う方向に向いていますね。

ということは、サムレストに引っかけて、親指で楽器を支えているだけのつもりが、実は知らず知らず握ってしまっているということがあるのです。

これが、指の機動性に直結してきます。

親指以外の指だけ動かす

理想的な右手の動かし方は、親指は全く動かさず、他の指だけを動かすことです。

まずは、手の力を抜きましょう。

ただし、「力を抜く」と言っても、腕をだらんとすると当然楽器は構えられないので、だらんとした時の状態と同じ形を維持することが大切です。

うまく力が抜けると、

このような形になると思います。

親指の位置に注目して、次の写真を見て下さいね。

親指以外の4本は、少し広がりましたが、全く親指が動いていないのがわかりますか。

クラリネットを吹いている時の指の動かし方は、これが理想です。

親指には、楽器が乗っかっているだけ。
他の4本を根元からパタパタと、最小限動かすようなイメージです。

感覚を掴むために、左手で右手の親指を軽く持って固定し、他の指を動かしてみましょう。
親指を動かさず、他の指をパタパタ動かせましたか?

相当軽い力で動かせたと思いますが、楽器を吹く時も、それ以上の力はいりません。

何度か繰り返して、指の力と、動かし方をしっかり捉えておくと、実際に楽器を持った時との差に、気づきやすくなります。

親指に力を入れない

一方、

このように、親指が上に動いてしまうような動かし方になってしまうと、親指と他の4本の指で、楽器をぐっと握りしめるような力が働いてしまいます。

実際には、親指の力によってクラリネット本体が変形するわけではないので、親指がこの写真のように上がることはないのですが、上方向の力が発生しているのは事実です。

その力を抑え込まないと、楽器は安定して構えられませんので、他の4本の指も、釣り合いを取るために握らざるを得なくなり、それが「知らず知らずのうちに握ってしまっている」状態に繋がります。

もし、右手だけで楽器を持てるようであれば、それは握っているから。
本当に無駄な力が抜けていれば、片手で楽器を持つことはできません。

速いパッセージを難なく吹くためには、親指以外の指を、楽器を握って持つことに使っては駄目です。

握らなくても楽器は落ちない!

どうしても、クラリネットがぐらついたり、落ちてしまったりしそうな感覚に陥って、右手で楽器を握りたくなる感覚は、わからなくはないのですが、力が入っていると指の動きは鈍くなります。

きちんとマウスピースをくわえて、右手親指にサムレストを引っかけていれば、楽器が落ちることは絶対にありません。

また、先程の写真では、親指が水平になっていましたが、楽器を支える時には、管体に対して斜めに当てるようにすると、安定度が増し、力が入りにくく、指が動きやすくなります。

今回お話した「親指以外の指だけを、上下させる感覚」をしっかり身につけ、指が速く動かせるようになるための基礎作りをきちんとしてから、細かい練習に臨みましょう。


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