クラリネットのレッスンをしていると、「吹く時に力が入ってしまう」という悩みがある方や、力が入っている自覚はないものの「なんかしんどい…」と感じられている方が多いなぁと、しばしば思います。

「力が入っていて多少負担があっても、音が出ればいいんじゃない?」と思われるかもしれませんが、楽器を吹く上での力は、音が汚くなったり、息が続かなかったりと、邪魔にしかなりません。

楽に吹くためにも、力が入ってしまう理由と、その対処法を考えていきましょう。

気持ちに起因する理由

一言で「力が入る」と言っても、その入り方や抜き方には違いがあります。

無駄な時間を費やさなくていいように、しっかり陥りやすい状態を把握しておくことが大切です。

大きな音を出そうとしている

気合いを入れて何かをする時、「体ゆるゆる~。どこにも力なんて入ってません」なんてことはありませんね。
ぐっと、力を込めるはずです。

クラリネットを吹く時も同じで、「大きな音を出すぞ」と思うと、どうしても気合いが入りやすく、それに伴って、体全体に力が入ります。

しかし、体に力が入れば、体は硬くなり、息があまり吸い込めない・吐き出せない、という事態が起きます。

そこで「しまった、体に力が入っている!」と気づければいいのですが、クラリネット吹きにはストイックな方が多く、「音が大きくならないのは、頑張りが足りないからだ…」という発想になってしまうことが、非常に多いのです。

そうなると、ますます頑張って力を入れ、ますます音が鳴らなくなり、もっと頑張って…と、悪循環にいとも簡単に陥ります。

さらには、体に力が入るに伴い、口もグッと締めてしまい、体から息が出ない上に、楽器に息が入らない、という状態になってしまいます。

そうなると、クラリネットを吹くことが、「ただひたすらしんどいこと」になりかねません。

大きな音に必要なのは、充分な息です。
決して力ではありません。

一度体の中の息を吐き出して肺の中を空にしたら、たっぷりと息を吸い込み、体の中から自然に息が出てくるイメージを持って、音を鳴らします。

風船をぷうっと膨らまし、ぽいっとしたら、風船から一定の空気がシューッと出続けますよね。
その時に、もちろん風船は「頑張って、たくさんの空気を出し続けねば!」などとは思っていないわけで、自然な状態で空気が出ています。

音を鳴らす時には、自分が風船になったかのような気持ちで体から空気が出せると、余分な力が抜け、スピードのある息をたっぷり楽器に送り込むことができます。

お腹で支えようと頑張っている

これは、間違った「腹式呼吸」の認識によるものです。

部活で、レッスンで、しばしば聞く『腹式呼吸』。 クラリネットを始めとして、管楽器を吹くには不可欠なことですが、正しく理解していますか? 意外と、誤った認識が広まっているように感じるので、今回はわかっていそうでわかっていない『腹式呼吸』をしっかり理解していきましょう。 そもそも腹式呼吸って? まずは言葉の意味としての『腹式呼吸』。 空気を吸い込むと、肺に入るのはもちろんですが、その際、肺の下にある横隔膜を上げ下げしているかで、呼吸の仕方は「胸式」と「腹式」に分かれます。 …

クラリネットを吹いている時に、どこかに力が入っている(頑張っている)ことが「正しいこと」と思っていませんか?

それは誤りです。

正しい腹式呼吸を身につけ、どこにも余計な力が入らずに楽器を吹くことを目指しましょう。

物理的な原因

座り方が良くない

一生懸命吹いている時、特に「もう苦しいんだけど、少しでも音を長く伸ばしたい!」と思いながら吹いている方に多く見られるのが、後ろに傾いた座り方です。

この写真では、大して倒れてないようにも見えますが、よく見ると背中と足が直角ではないですね。

この座り方が、地味に音に影響します。

試しに、クラリネットは持たずに、背筋を伸ばして椅子に座り、この写真のようにほんの少しだけ、後ろに倒れてみましょう。
すると、腹筋にぐっと力が入るはずです。

後ろに倒れようとする体を支えねばいけないので、腹筋に力が入るのは当然のことです。
しかし「当然だから仕方ない」というわけにいかないのが、楽器演奏の難しいところ。

そのまま声を出してみると、響きのない、少し細い声になりますね。

クラリネットを吹くとしても、もちろん同じことが起こります。

そして、その細い音をしっかりした音にしようと、『大きな音を出そうとしている』に書いたように、さらに体に力を入れてしまいますので、後ろに倒れるのは良くない、ということになります。

足をしっかりつき、背中はまっすぐ、椅子の座面に対して直角になるように座るようにしましょう。

このように座れていれば、座り方については、問題ありません。

楽器を握っている

クラリネットは、口と右手親指だけで楽器を支えています。

正しく持てていれば、この2点だけで、ぐらつくことなくきちんと楽器を安定させることができるのですが、どうしても手が小さかったり、「たったの2点」という心もとなさでなんだか不安だったりと、どうしても楽器を握りしめるような持ち方になりがちです。

特に右手は、

  • 利き手の人が多い
  • 親指が指穴を押さえないので暇
  • 指穴が大きいので、ずれないようにと頑張る
  • 左手に比べて遠いので、指穴を押さえようと必死になる

など、様々な要素で「握らないなんてあり得ない!」状況に、ついついなってしまいます。

しかし、楽器を持っていない状態でぐっと握りこぶしを作っていただいてもわかるように、その握った力は指だけに留まらず、腕や体にも力が入る要因となります。

体に力が入った場合の弊害は、ここまで読んでいただいているので、よくおわかりかと思います。

また、力を入れた指は、速く回りませんので、細かく速いパッセージで転んでしまったり、思うように指が動かせない事態になります。

もし、このように

指が反ってしまっていたり、指先が白くなっている場合は、クラリネットを握ってしまっています。

正しくは、親指と、その他の指で楽器をぐっと挟むような感覚ではなく、親指は添えるだけです。

他の4本の指も、穴をふさげればいいわけですから、力はいりません。
むしろ、力が入ることは、指がずれてしまいやすくなります。

右手に力を入れると、手首が痛くなってしまう原因にもなりますので、握りしめるような持ち方にならないように気をつけましょう。

体のどこにも力を入れずに吹く

クラリネットに限らず、楽器を吹いている方々の中に、「演奏する時には、頑張らないと」「吹いている時は力が入って当然」という認識があるように感じます。

しかし、プロの演奏家が、がっちがちに力を入れて演奏する姿は、目にしたことがないはずです。

力が入ってしまう理由を分析して、余裕のある、豊かな演奏を目指しましょう。


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