錦糸町にあるザ・クラリネットショップが、アジアで始めて取り扱いをしたという『JLVリガチャー』。

発売から1年が経過し、ご存知の方も増えてきたかと思います。

昨年、ザ・クラリネットショップの店長さんに熱く勧められ、試奏をしてみましたが、これが驚愕の一品!
吹いた瞬間「ほ、欲しい…!」と思ったほど。(まだ買えてませんが)

従来のリガチャーとはあまりに違ったので、今回はどこがどう違って、何がすごいのかをお話したいと思います。

特徴その1・不思議な形

JLVリガチャーと言って、まず最初に思い浮かぶのは、この特徴的な形でしょう。

一瞬「え、どうやってつけるの?」と思ってしまいそうな、スマートなフォルム。
計算し尽くされ、このような形になったそうです。

つけ方は

こうです。

慣れるまでは、つけるのに少し苦労します。
なぜなら「マウスピースに入っている2本線に対して、リガチャーをこの位置に…」ということができないからです。

つける位置の目安は、リードをつける前に確認します。

また、リガチャーの微妙な高さの差が、吹きやすさ(リードの振動の仕方)に直結するのも、難しさに輪をかけます。

特徴その2・リードの振動を最大限引き出す

私が長年使っているリガチャーは、BGのL4Rです。(長年と言っても、もちろん時期を見て新調はしています!)

このリガチャーは、革素材がマウスピースをべたっと覆うような形状をしていますが、リードに接する部分にはM字にプレートが入っているので、リードに触れる面は少ない作りになっています。

「リードの振動を極力妨げない」という点においては、このリガチャーは条件を満たしていると思います。

ご存知のように、クラリネットのリガチャーには、金属・革・紐などの素材、順締め・逆締め・ネジがない…など、いろいろなタイプがあります。

選ぶ基準は、もちろん好みによる部分が大きいのですが、わざわざ「リードが振動しにくいリガチャーをつけよう!」と思う方はいないですよね。

JLVリガチャーは、リードの振動を最大限引き出すことに着目した設計になっています。

リードに接しているのは

この4点のみ。
さらには、この接地面をでこぼこにして、リードに接する部分を最小限まで抑えているそうです。

これにより、リードの振動がリガチャーによって妨げられることが避けられ、リードの自由度が上がるのです。

特徴その3・リードとテーブルの密着性

マウスピースには、「テーブル」と呼ばれる部分があります。

この赤丸部分の平らなところです。

「演奏後にリードを外してみたら、テーブルが濡れていた」という経験は、かなりの方がしているのではないでしょうか。

これは、従来のリガチャーだと、リードとテーブルの密着性が低く、マウスピースに吹き入れた息が、漏れてしまっていることを表します。

一方、JLVリガチャーは、リードを押さえている面が少ないにも関わらず、リードとテーブルが密着するので、息が外に漏れることなくマウスピースに入り、テーブルが濡れるようなこともありません。

そして、マウスピースに入れた息が全て音になるので、とても楽な吹奏感を得ることができます。

特徴その4・吹けなくなったリードが甦る!?

「特徴その1」で書いた「微妙な高さの差が、吹きやすさ(リードの振動の仕方)に直結する」について、ご説明しておきましょう。

それは、リードとテーブルの密着性が高いからこそだと思われるのですが、同じリードでも、リガチャーを0.何ミリか上下させるだけで、吹き心地が変わります。

例えば本番中、お気に入りのリードがへばってきたな…なんて時には、ほんの少しだけリガチャーを上につけると、リードの振動面の広さがわずかながら狭くなることにより、なんと吹きやすさが甦ります

また、「ちょっと疲れ気味なのか、今日はこのリード重いかも…」という時などは、少しリガチャーを下げてみましょう。
途端に息の入りが良くなるはずです。

そんなわけで、JLVリガチャーを使用すると、使えるリードが大幅に増えるとか。

「全然差がわからない!」と思ったら、ちょっと大きめにずらしてみると、違いを感じられるはずです。

特徴その5・マウスピースを響かせる、という発想

私の使っている、BGのL4Rを上から見た写真です。
先程も書きましたが、このリガチャーは、革素材がマウスピースを覆っています。

一方、JLVリガチャーが、マウスピースと接しているのは

赤丸内の2点だけです。

ここに、今までのリガチャーにはなかった発想が取り入れられています。

それはマウスピース自体を響かせるということです。

JLVリガチャーの開発者と直接お話しされたという、ザ・クラリネットショップの店長さんによると、「コップに例えると、とてもわかりやすいんですよ」とのこと。

「手でぎゅっと全面を握ったコップを、爪で弾いてみても、響きが止まってしまって『コッ』という音しかしないけれど、コップを2本の指先でつまむように持ち、それを弾いてみると『チーン』と響きますよね」だそうです。

確かにその通り!

もちろん、先人がいろいろと頭を悩ませてきた部分だとは思いますが、ここまでマウスピースとリガチャーが接している面が少ないものは、かつてなかったのではないでしょうか。

特徴その6・リガチャーのパーツ全てがとても響く

このリガチャーは、専用の工具を使うと全てがばらせるそうなのですが、どのパーツも、例えばテーブルに落としてみると、『チャリーン』ときれいに響くそうです。

それは、パーツ自体がよく響けば、リガチャーも当然響くという発想から。

そんなわけで、振動を妨げられず最大限の響きを引き出されたリードとマウスピースから生まれた音が、響く素材で作られたリガチャーへと伝わることで、さらに倍音豊かな響きへ変わるのです。

特徴その7・計算され尽くされた金属の配合比率

JLVリガチャーは、現時点で5種類あり、いずれも真鍮にメッキをかけています。(1種だけメッキなし)

同じ形のリガチャーでも、メッキの素材によって、吹き心地や響きが変わることは、皆さんご存知かと思います。

しかし、JLVリガチャーの5種類の差は、皆さんが思っているものとはちょっと違います。

私が気に入ったものは、よりによって一番高いプラチナメッキだったのですが、「プラチナメッキなんかかけるから高いんじゃん…」と思っていたところ、そうではないとか。

真鍮は、金属を混ぜ合わせてできている合金なのですが、その比率を変えることができます。
ベースは銅と亜鉛だそうですが、そこに他の金属を混ぜ込むことで、様々な特徴を持った新しい金属を作り上げられます。

このプラチナメッキのものに関しては、金の含有率がかなり高く、見た目は24金メッキのものと区別がつかないくらい、きれいな金色をしているそう。

作っている人達でも、一見してわからないとのことで、プラチナメッキをかけることにしたんだとか。

「なるほどー!金は高いしね」と思った半面、「いやでも、もっと安い金属のメッキにしたら、もう少し価格が抑えられたのでは…」とも思ったことは、内緒です。
(ちなみに昨年の話だと、純金製のものも作っているところだとか。なんと50万円!!)

ですので、このリガチャーに関しては、単なるメッキの違いではなく、中の素材に違いがあります。

普段、リガチャーに対して「いつもシルバーを選んじゃうんだよね」「金メッキが好きなんだ」というこだわりのある方も、全種類試してみることをお勧めします。

特徴その8・溶接なし!個体差なし!

JLVリガチャーは、金属でありながら、一切溶接をしていません。
金属を丸めたりする加工もしていません。

1枚の板をこの形に削り出しているそうで、そのため驚異のほぼ個体差なし!
選定の必要がありません。

輸入を開始してすぐの頃、このリガチャーを試しに来たプロ奏者に選定してもらったところ、「強いて言うなら…って感じで選べなくはないけど、ほとんど差がない…」と言われたとか。

リガチャーの選定で、頭を悩ませていた時間を考えると、とてもありがたいことですね。

特徴その9・パーツの調整でE♭クラリネットにも使える

このリガチャー、先述の通り専用工具が用意されています。

その工具を使って調整することで、なんとE♭クラリネットのリガチャーとしても使えるそう。

「そんなにしょっちゅうE♭クラ吹かないしな…」なんて方も、そのまま使えちゃうんです。
(もちろんその間はB♭管には別のリガチャーを用意する必要がありますが…)

また、開発者がサックスの方ということで、サックスのリガチャーも展開していて、ソプラノサックス用のJLVリガチャーをB♭管に、B♭管用のリガチャーをソプラノサックスにつけたら、その組み合わせの方が気に入った!というサックス奏者の方もいたとか。

なんとも懐の深いリガチャーですね。

一度試してみる価値あり!

アジア上陸1年を迎えたJLVリガチャー。
ザ・クラリネットショップで教えていただいた特徴をご説明してみましたが、いかがだったでしょうか。

もちろん、気に入る方・気に入らない方がいらっしゃるかと思いますが、もしも気になるのであれば、試してみる価値あり!だと思います。

最近では、取り扱っているお店も増えてきたようですよ。

ただ、かなり楽に吹ける印象なので、「前のリガチャーにはもう戻れないかも…」という話も聞きました。
私もJLVリガチャーを試した翌日に、いつものリガチャーを吹いて「え、こんなんだったっけ」と思ったのが正直なところ。

すぐに感覚は戻りましたが、その辺もちょっと覚悟しつつ、ぜひ試奏してみて下さいね。


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