クラリネットを吹くのに必要な腹式呼吸。

部活で、レッスンで、しばしば聞く『腹式呼吸』。 クラリネットを始めとして、管楽器を吹くには不可欠なことですが、正しく理解していますか? 意外と、誤った認識が広まっているように感じるので、今回はわかっていそうでわかっていない『腹式呼吸』をしっかり理解していきましょう。 そもそも腹式呼吸って? まずは言葉の意味としての『腹式呼吸』。 空気を吸い込むと、肺に入るのはもちろんですが、その際、肺の下にある横隔膜を上げ下げしているかで、呼吸の仕方は「胸式」と「腹式」に分かれます。 …

意味はわかっていても、楽器を吹くとなると、うまくできない方も多いのではないでしょうか。

今回は、クラリネット演奏が格段に楽になる、腹式呼吸の身につけ方と、実際にクラリネットを吹く時に使えるようにするための練習方法を学んでいきましょう。

腹式呼吸を体感しよう

「理屈はわかってても、腹式呼吸ってできないんだよね」
「できてるのかできてないのか、わからないな」
という方のために、腹式呼吸の練習方法をお伝えします。

まずは、腹式呼吸の正解を知ることが大切。

簡単なのは、「体を横たえる」ことです。

仰向けで横になったら、お腹に手を当てて、呼吸に合わせて上下するお腹に意識を向けてみましょう。

吸ったら膨らみ、吐けばへこむ。
ごく自然に腹式呼吸ができていると思います。

その状態を、しっかり覚えましょう。
ここできちんとインプットすることが、後々クラリネットを持って練習する時に、大きな差となります。

ただし、寝ようと思って布団に入った時にこれをやってしまうと、気になってしまって寝つけなくなったりすることがあるので、注意して下さいね。

腹式の練習のポイントは前傾姿勢

腹式呼吸をしている状態がわかったら、次の段階は、体を起こしての腹式呼吸の体感です。

これが案外難しいので、いきなり楽器を吹く時のように普通に座ってやるのは、やめておいた方がいいと思います。

椅子に浅く腰かけたら、体を前に倒してみましょう。(かなり倒した方が、わかりやすいです)
手は、お腹に当てるか腰を掴むようにして、ゆっくりと息を吸い込みます。

お腹が膨らめば大丈夫。
きちんと腹式呼吸ができています。

できていたら、徐々に体を倒す角度を浅くしていきましょう。
最終的に、クラリネットを吹く姿勢まで持っていければ、この練習は終了です。

うまくできなかった時は

もしも「え、膨らまないけど」という方は、吸いながら自分の意思で膨らましてみましょう。
もちろん吐いたらへこませます。

始めのうちは、「わざと膨らませる」「わざとへこませる」で構いません。
いずれ呼吸とお腹が連動してきて、吸えば膨らむし、吐けばへこむようになります。

クラリネットを吹く姿勢で実践

腹式呼吸の感覚が掴めたら、クラリネットを構えてみましょう。

楽器を吹く姿勢ですので、背中はまっすぐ(反ったり丸まったりしては駄目です)、椅子の前の方に座って、足をしっかりついて下さい。

上半身から、余分な力が抜けるはずです。

準備ができたら、息を吐いてみます。
お腹に意識を向けて、へこんでいるかを確認しましょう。

その際注意するのは、「ふぅ」とため息をつくように、脱力しながら吐かないことです。

人の体の動きは対になっていますので、吐きながら脱力してしまうと、吸う時に力が入ってしまいます。

また、力を抜くと肩が下がるので、吸った時に肩が上がって、体の重心が上に上がり、胸式呼吸になってしまうのです。

あくまでも体(背中)はまっすぐにし、余分な力が抜けている状態からは動かないようにすることが大切です。

しっかり体の中の空気を出したら、力まずにたっぷり吸い込みましょう。

陥りやすいお腹の使い方

「これ以上吸えない」というところまで吸い込んだら、楽器に息を吹き入れるわけですが、その際の空気の出し方も、大切なポイントです。

歌を歌おうと息を吸い込み、歌っている最中、お腹がみるみるへこんでいく、ということは、そうそうないはずですが、いざクラリネットを吹くとなると

  • 吹く瞬間に「フッ」とお腹がへこむ
  • 吹いている間にどんどんお腹がへこんでいく

ということが、起きやすいはずです。

一気にお腹がへこむのは、音を出そうと勢いよく空気を押し出していることが原因です。

また、徐々にお腹がへこんでいくことに関しては、お腹の使い方を間違えているのと併せて、空気の使い方のイメージがしっかり持てていないことが考えられます。

では、空気の使い方の良いイメージとは、どんなものでしょうか。

腹式呼吸の際の息の正しいイメージ

吸い込んだ空気を、太い円柱状のものと仮定して考えてみましょう。

その円柱がどんどん細くなっていくのが、上記の「吹いている間にどんどんお腹がへこんでいく」状態です。

太い柱が細くなっていくということは、柱自体がぐらついてしまうので、体やお腹にぐっと力を入れて、そのぐらつきを抑え込む必要があります。

力を入れてしまっては、息が自然に出せないことは、もうおわかりですよね。
では、どうしたらいいのか。

円柱の太さは維持したまま、上から息を使っていくのが、理想の息の使い方、と言えます。

歌っている時は、この息の使い方が自然にできるので、お腹がへこんでいかないのです。

図にすると、

このようなイメージです。
薄い色が先に使われていく空気、濃い色が残っている空気です。

右図のように、吸い込んだ時の太さ(お腹の膨らみ)を維持することで、それが支えになり、クラリネット演奏時に、どこにも力を入れずに一定の息を保つことが可能になります。

そのことを気にしながら、適当な高さでいいので、一回「あー」と歌ってみましょう。
息を出しても、お腹の膨らみが変わらないことが改めて体感できたら、いよいよ最後の段階です。

クラリネットに息を入れてみる

イメージが掴めたら、いざクラリネットの中に息を吹き入れてみましょう。

この時に、頑張って大きい音を出そうとすると、呼吸や体の使い方は元に戻ってしまいます。

ひとまず、今は正しい腹式呼吸を身につけ、それを利用して余分な力を使わずに楽器を吹くことが目的ですので、体が楽であることに重点を置きましょう。

そのために、ここで使う息は、音が鳴るか鳴らないかくらいでも構いません。

一度、体の中の空気を吐き出し、たっぷりとお腹に吸い込んで、先の「円柱を上から使っていくイメージ」でそっと楽器に息を入れます。

いかがですか?
歌を歌う時のように、どこにも力を入れることなく、継続して息を体から出すことができましたか?

慣れてきたら、徐々に息の量を増やし、しっかりとした音が鳴らせるところまで持っていきましょう。

この時に、焦りは禁物。
今までやってきたことを変える時に、焦ってしまうと、現時点で吹きやすい「以前の吹き方」にあっさり戻ります。

少しずつ、きちんと身につけてから、普段の演奏で使える状態に持っていきましょう。

楽な演奏を目指して

正しい腹式呼吸が身につくと、体に力を入れることがなくなりますので、演奏が楽になります。

また、「なかなか息が続かない」といった悩みの解決の一助にもなります。

まずはクラリネットがない状態で、腹式呼吸を練習し、だんだんと楽器を吹く時にも使えるようにしていきましょう。


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